自分の体質をご存知ですか?

漢方薬を服用する上で、自分の「体質」を見きわめるということは、とても大切なことです。
同じ不妊症という悩みをかかえている方でも、例えば(暑がり・寒がり)胃腸が(強い・弱い)体力が(ある・疲れやすい)など、体質は人それぞれです。
不妊症の女性に多い6つの体質『陽気不足・血虚・気滞・瘀血・陰虚火旺・痰湿』に分けて説明します。
もちろん、この中のいくつかの体質を合わせもった方も多いと思います。
それぞれの体質によって用いる漢方も違ってきます。
❶ 陽気不足(ようきぶそく)

体の気(エネルギー)が不足し、体を温めるエネルギーである腎陽の機能が低下した状態。

基礎体温の特徴

  • 体温が全体的に低い
  • 高温期と低温期の差が小さい(0.3℃以内)
  • 高温期の日数が少ない(10日未満)
  • 高温期に体温が低くなる日が多く、不安定である
  • 低温期が長い
月経の状態

  • 色は薄い赤色で水っぽい
  • だらだらと出血が続く
  • 月経前に不正出血がある
その他の状態

  • 排卵後や月経中に下痢や軟便、むくみが起こりやすい
  • 食が細い
  • 疲れやすく、風邪をひきやすい
  • 手足や腰が冷える
  • 性欲がない
  • 流産を経験したことがある
❷ 血虚(けっきょ)

体に栄養と潤いを与え、妊娠に大きなかかわりのある血の量が不足したり、機能が低下した状態。

基礎体温の特徴

  • 低温期が長い
  • 高温期が短い(10日未満)
月経の状態

  • 月経血の色が薄く、ピンク色に近い
  • 量が少なく日数も短い
  • 月経後に疲れやすい
その他の状態

  • 血色が悪い
  • 立ちくらみを起しやすい
  • 不眠がちで、夢をよくみる
  • 落ち込みやすい
  • 子宮内膜が薄い
❸ 気滞(きたい)

体のエネルギーである『気』のめぐりが悪くなった状態。

基礎体温の特徴

  • 体温の変動が激しい
  • 低温期から高温期への移行に時間がかかる
月経の状態

  • 月経周期が不安定
  • 月経痛がひどい月とそうでない月がある
その他の状態

  • 月経前におなかの張りやイライラ、ため息、肩こり、頭痛などが起こりやすい
  • 低温期から乳房が張り、高温期にはひどく痛む
  • ストレスに弱く、情緒不安定
  • 高プロラクチン血症がある
❹ 瘀血(おけつ)

血のめぐりが悪くなった状態。

基礎体温の特徴

  • 月経が始まっても、なかなか体温が下がらない
  • 月経中、一度下がった体温がまた上がる
月経の状態

  • 赤黒い色をしている
  • レバー状の塊や、粘膜のような塊が混じる
  • 月経痛がひどい
  • 月経前後は頭痛がひどくなる
  • 月経前におなかが張って硬くなる
その他の状態

  • 子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫、卵管癒着、子宮腺筋症などがある
❺ 陰虚火旺(いんきょかおう)

体に必要な潤いである陰が不足した状態。

基礎体温の特徴

  • 高温期は37℃以上の日が多い
  • 低温期の体温が高め/周期が短い
  • 排卵が月経周期10日目前後と早い
月経の状態

  • 月経血が糸をひき、ねばねばしている
  • 色が鮮紅
その他の状態

  • おりものが少ない、あるいは全くない
  • 手のひら、足の裏がほてる
  • のぼせやすい
  • のどが渇きやすい
  • 寝汗をよくかく
  • 肌が乾燥している
  • 便秘しやすい
❻ 痰湿(たんしつ)

体の中に、余分な水分がたまっている状態。

基礎体温の特徴

  • 低温期が不安定、あるいは基礎体温が一相性であるい
月経の状態

  • 量が少ない
  • 月経が遅れがち、または無月経
  • 色が薄い
その他の状態

  • 排卵前後以外でもおりものが多い
  • 太り気味である
  • 排卵期以外のおりものが多い
  • 舌にぺったりと苔がついている
  • むくみやすい
  • 卵巣嚢腫がある
  • 多嚢胞性卵巣症候群といわれている
[ 参考著書 ] 心と体にやさしい不妊治療 – 周期療法
(監修:川瀬 清、発行所:株式会社文芸社)