25Aug
胃のもたれや胸やけ、下痢や便秘などが続くものの、病院の検査では「異常なし」と言われてしまう・・・。こうした症状は「機能性胃腸症」や「機能性ディスペプシア」と呼ばれ、胃腸の機能がうまく働いていないことが原因と考えられます。
ストレスや冷え、加齢、ホルモンバランスの乱れが引き金となることも多く、根本的な体質改善が必要です。
この記事では、胃腸の不調に対する漢方の考え方や代表的な漢方薬の紹介、実際に改善した事例、そして日常生活で取り入れられるセルフケアまで、詳しく解説していきます。
1.慢性的な胃腸の不調に苦しんでいる方へ
胃腸障害と一言でいっても、症状は様々です。
胃の痛み
胃のもたれ
胸やけ
吐き気
みぞおちのつかえ
みぞおちや食道、胃の灼熱感
便秘
下痢
下腹部の痛み
おなかの張り
このような不快な症状がありながら、内視鏡などの検査を受けても原因となる胃潰瘍などの病気が見つからない場合を、「機能性胃腸症」と言い、胃腸の機能低下や機能異常によるものです。
「機能性ディスペプシア」は、胃もたれやみぞおちの痛み、みぞおちの灼熱感などが続くにもかかわらず、内視鏡検査などで器質的異常が見られない病気です。
胃腸の働きは、自律神経が調整しているため、ストレスなどで、胃腸障害を起こすことが非常に多いといえます。
漢方薬を服用することで、自律神経のバランスを整えて、根本的に胃腸の症状を改善することができます。

2.胃腸障害の原因と種類を理解しよう
一つの原因として、ストレスがかかることで交感神経が優位となり、副交感神経の働きが低下し、胃腸機能が低下していきます。またストレスによってお腹が張ったり、ガスがたまりやすくなるという症状も起こります。
次の原因として、加齢により消化酵素などのはたらきが鈍くなり、食べ物を消化しきれなくなり、胃腸障害を起こしやすくなります。
その他の原因としては、女性ホルモンのバランスの乱れで、PMSなどから、吐き気や胃のもたれなどの症状が起こることもあります。
3.漢方が考える胃腸障害の原因
漢方視点で胃腸障害を考えると、
「脾胃気虚」「肝気鬱血」が考えられます。
脾胃気虚とは

「気」は身体の生命エネルギーのようなものです。「気虚」になると身体のエネルギーが低下します。特に「脾胃気虚」になると、疲れやすい、だるいといった症状とともに、消化機能自体が低下し、胃もたれや、食欲不振、消化が悪く、おなかが張るなどの症状が出やすくなります。
また、便秘や下痢、食べるとすぐに排便したくなったり、一日に何回も排便したくなるという症状になることもあります。
脾胃気虚に対し改善の漢方薬は「補気健脾剤」です
次に肝気鬱結とは

「肝」は疏泄をつかさどるというように感情や情緒をのびやかに保ち、全身の機能を円滑に推進する働きがあります。
ストレスなどにより「肝」の疏泄が停滞した状態を「肝気鬱血」といい、イライラや、気分の落ち込みといった症状とともに、胃もたれや、胃のつかえ、ムカムカ、胸やけ、お腹や、わき腹のはり、便秘や下痢といった胃腸症状が出ます。
肝気鬱結に対しての改善の漢方薬は「疏肝解鬱剤」です。
4.胃腸障害に使用される代表的な漢方薬の紹介
六君子湯(りっくんしとう)
食後に胃もたれ、膨満感があるタイプや脾胃虚弱タイプ。
疲れやすく、食が細い方向けです。補気健脾剤です。
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
ストレスによる胃痛、胸やけ、吐き気があるタイプ。
みぞおちや胸のつかえ、逆流性食道炎に使うことも多い。
柴胡疏肝湯(さいこそかんとう)
ストレスが強く、胸やわき腹のつかえた感じ、肩こりなどがあり、胃腸の不快感を伴うタイプ。
肝と脾胃に働き、胃腸機能を改善する。肝気鬱血タイプの改善の疏肝解鬱剤です。
真武湯(しんぶとう)
加齢などにより、エネルギー不足で、冷えや下痢や軟便がある方。
冷えと水分代謝異常による下痢を、冷えをとりながら、補気することで、症状を改善する。
女神散(にょしんさん)
イライラやうつ症状、PMSなど、生理前などホルモンの変化に伴い症状が悪化する方。
これらの処方を組み合わせて服用いただく場合もあります。
※服用の際は、漢方薬専門の薬剤師にご相談ください。

5.胃腸障害が改善した事例紹介
19歳男性
<<お悩みの症状>>
小学校高学年のころから、腹痛に悩まされている。
おなかが冷えていて、張った感じがして、食事を多くとることができない。
身体全体が冷えてて、特に足先が冷たい。
身長が174センチあるが、体重が52キロで、やせていてなかなか太れない。
<<漢方薬服用後>>
漢方薬は補気健脾剤を服用いただいた。漢方薬服用開始から2週間で、おなかの冷えや、張りがとれてきた。前よりも食事を多くとれるようになった。お腹が張らないので、気持ちも楽になった。足先の冷えも改善され、元気になった。
漢方薬服用から6か月で体重も増え60キロと標準体重になった。
43歳男性
<<お悩みの症状>>
胃腸が弱く、下痢しやすい。胃や食道に灼熱感がある。病院での検査は異常が無く、機能性ディスペプシアと診断されている。病院で処方された薬を服用し、一年以上たつが症状が改善されない。
20代の時より、ストレスを感じやすく、いつもイライラや気分の落ち込みなどを感じながら生活している。
<<漢方薬服用後>>
漢方薬は疏肝解鬱剤を中心として、服用いただいた。悩みやすい性格は変わらないが、以前より、イライラや落ち込みがなくなった。
服用開始から1か月で、胃や食道の灼熱感がなくなった。胃や食道に不快感がないため、食欲が出てきた。あれだけいろんな胃腸の薬を飲んでも改善されなかった灼熱感や不快感がとれて、驚かれていた。
6.生活習慣の見直し
◇ストレスケアの工夫
過度なストレスは、胃腸障害の大きな要因です。呼吸法、瞑想、アロマなど、自分に合ったストレスケアの方法を生活にとり入れる。
◇食事の見直し
ビタミンB群、鉄分、良質なタンパク質を積極的にとる。食欲がない時は無理せず消化に良いものを、よく噛んでゆっくり食べる。飲み物は常温かぬるめのものを、少量ずつ飲む。
◇冷えを防ぐ
温活で自律神経の安定を図る。お風呂は湯船につかり、リラックスできる環境を作る。
◇適度な運動
ヨガやストレッチ、外でのウォーキングは気持ちをリフレッシュでき、副交感神経がはたらき、胃腸の働きがよくなります。
◇睡眠環境を整える
良質な睡眠は、副交感神経のはたらきが優位となり、胃腸の働きがよくなります。早い時間に布団に入るようにし十分な睡眠時間を確保しましょう。遅く寝ても朝は決まった時間に起きるようにして、体内リズムを整えましょう。
7.まとめ:根本から変えていく胃腸の健康
胃腸が正常にはたらき、問題なく飲食でき、排泄できることは人間の生命エネルギーの源とも言えます。身体は食べ物で作られますので、食欲がなく、食事が十分に取れない、胃もたれがする、胸やけがするといった症状が長引く場合は、それ自体も問題ですが、今後の病気が発生する原因にもなります。
病院で検査したが、原因がわからない、薬を飲んでも症状が改善しないという方は、漢方薬で体質から整え、根本から改善することで、胃腸の働きを正常にしていくことができます。
漢方薬は生薬からできており、長期間の服用も安心です。漢方薬を効果的に服用するためには、自分の症状や体質に適した漢方薬を服用することが大切です。そのためには漢方薬専門の薬剤師に相談し、適切な漢方薬を服用することをお勧めします。ご自宅で毎日服用することでお悩みの症状を改善できます。
一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
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