【産後の体調不良】つらい症状不調を漢方薬で解決!気虚・血虚・お血を整えて育児を楽にする方法

この記事の監修者
片山智子
漢方薬なごみ堂 / 漢方薬剤師
片山 智子
東京・横浜・札幌などで漢方薬の経験を積んで参りました。 女性薬剤師として、女性ならではのデリケートなお悩みをご相談ください。お身体の状態をよく伺った上で、あなたに合った漢方薬をご提案させていただきます。 なかなか相談できない…などと一人で悩まずに、一度ぜひご来店ください。

1.つらい産後の体調不良を漢方薬で改善しよう

お産は女性の生涯の中で嬉しい大イベントの1つですが、その一方で身体にとって、大きな負担がかかります。出産後、育児をしながら、家事や仕事へのスムーズな復帰は、皆が望んでいることですが、体調不良によってそれがスムーズに進まないという方が多いのも、現実です。

産後の体調不良は

倦怠感
睡眠不足
産後のうつ症状
悪露が止まらない
産後の脱毛
貧血
乳汁分泌不全

などがあげられます。

中医学では、産後の母体の体力の消耗は
気虚(体力の消耗)
血虚(妊娠時の貧血、出産時の出血)
陰虚(出産時の発汗)
を「三虚」と認識し、体力回復の為の漢方薬でのケアを重要視します。

2.産後体調不良の原因を考える。メカニズムを解説。

産後の体調不良は誰しも経験することではありますが、重症化しこじれてしまう方と、しばらくすると元の身体の状態に戻る方もいます。

◆産前と産後では、ホルモンの状態が急激に変化します。それに身体がついていけないと、体調を崩す要因になります。
◆また妊娠中から貧血があり、加えて産後も授乳により貧血が悪化する事も体調不良の要因です。
◆また産後の悪露排出がうまくいかないと、血行不良となり、子宮の回復が遅れたり、母乳の出が悪くなる原因となります。

3.産後体調不良に効果が期待できる漢方のアプローチ方法

産後の体調不良を漢方で改善できる理由を丁寧に解説します。
中医学では身体の構成要素を大きく「気」「血」「水」に分けて考えます。

 

◆「気」は 身体の生命エネルギー のようなもの。自律神経のバランスに影響します。
「血」や「水」 を巡らしたり、体を温めたり 色々な外邪(ウイルスや病気)といったものから守る力です。気の不足を「気虚」と言います。気虚になると、疲れやすくなったり、やる気が出ない、倦怠感といった症状が出てきます。出産後の体力消耗から「気虚」を引き起こします。気がうまく流れず滞った様態を「気滞」と言います。気滞になるとイライラや気分の落ち込み、うつ症状が出てきます。

◆「血」は身体を滋潤したり栄養素を運んだり、 ホルモンのバランスに影響します。
「血」の流れが悪い状態を「お血」と言い、「血」が不足した状態を「血虚」と言います。産後悪露排出がうまくできないと、「お血」の原因になります。また母乳は血液から作られるため授乳によって「血虚」になります。そのため産後は「お血」や「血虚」が進んできます。特に血虚」になると、抜け毛が増えたり、乳汁分泌不足になったり、不眠、不安感といった精神症状を誘発します。

◆「水」は 血液以外の液体を表します。
「水」が滞った状態を「水滞」や「痰湿」といいます。むくみやすくなったり、冷えの原因になります。
このように気血水の流れが悪くなりバランスがスムーズにとれなくなると、様々な症状が出てきます。

「お血」「血虚」「気虚」「気滞」「水滞」などの体質を「証」といいます。
産後の体調不良の原因は主として「お血」「血虚」「気虚」が考えられます。

産後の体調不良の改善には活血剤や、補血剤、補気剤の配合された漢方薬が効果があります。

 

4.実際に処方してきた漢方薬を紹介

芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)

活血剤を中心に補血剤などバランスよく配合されています。子宮収縮をうながす為、悪露排出にも効果があります。

帰脾湯(きひとう)

「補血剤」「補気剤」から構成されているため、疲れや、不安感、不眠、動悸などに効果があります。

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

イライラや不安感、考えてしまい眠れない方に効果があります。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

育児のストレスや、落ち込み、悲しくなりやすいといった、精神的な起伏の多い方に適しています。

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)

疲れや貧血などの「血虚」に対して効果がある。授乳中の体力維持にも有効です。第2子や第3子を希望されている方は、血の消耗を防ぐためにも服用をお勧めします。

※これらの漢方薬を服用される方の体質にあわせ、組み合わせて服用いただく事もあります。
※服用される場合は、専門の薬剤師にご相談ください。

5.産後体調不良から回復した事例

37歳

産後3週間ぐらいして、食欲が無くなり、倦怠感や、不安感が出るようになった。
不妊治療ののち授かった、待望の子供なのに、育児がつらくて、子供をかわいいと思える余裕が無い。
初めての育児は、なれないことばかりで、不安な事も多く、日中は子供と二人だけになり、話をしたり相談する人もいない。動悸がしたり、胸がつまるような症状が出始めて、このままだとまともに育児が出来ないと感じ、ご相談に来られた。

漢方薬を服用し始めて、10日くらい経過して、食欲が出てきた。胸がつまったりという症状や、動悸もなくなった。服用開始から一か月で、不安感も無くなり元の状態に戻る事が出来た。
身体のだるさも無くなり、育児も無理なく出来るようになり、子供もかわいいと思えるようになった。

32歳

産後2週間ぐらいして、イライラや気分の落ち込みがひどくなった。そのうち治るかと思ったが、どんどんひどくなる。
もともと几帳面な性格だった為、育児や家事が思うように出来ない事にストレスを感じる。
乳汁も出にくく、完全母乳にしたいのに、出来ないこともストレス。食欲が無くなり、それが余計に母乳の出を悪くして、悪循環になっている。睡眠もまとまってとれないため、睡眠不足から、倦怠感があり、集中力が無くなり、頭が働かない感じがする。
イライラが止まらない様子を見て、ご主人が漢方薬を勧めて、ご相談に来られた。

漢方薬を服用し初めて、早い段階でイライラすることがかなり減った。食欲も出てきて、それと共に母乳の出も良くなった。母乳がしっかり出るので、赤ちゃんも夜長い時間寝てくれるようになり、睡眠もまとめてとれるようになり、倦怠感も改善された。

 

6.出産前にできるセルフケア

※事前に地域のサポートなどがあるか調べておいて有効に活用しましょう。
※身体を冷やさないように気を付けて、冷たいものはなるべく触らない、産後は歯磨きの水も温水を使いましょう。素足にならず、靴下やスリッパをはきましょう。
※身体を温める食事をとり、栄養価の高いたんぱく質やミネラルの豊富な、食事をとるようにしましょう。胃腸に負担がかからないよう、スープにして食べることをお勧めします。
※相談できる場所を持つようにしましょう。家族やご主人、友達など、相談できる相手をもつことが大切です。

7.まとめ 漢方で産後の体調不良を和らげ、からだを整える

産後の体調不良は、多かれ少なかれ誰にでもある事です。しかし症状が重くなったり、長期化したり、それが原因で第2子や第3子を授かりずらくなるかたもあります。そうならないためにも産後の体調不良の原因である気虚(体力の消耗)、血虚(妊娠時の貧血、出産時の出血)陰虚(出産時の発汗)を漢方薬を服用することで改善し、体力回復と情緒の安定をはかり、元気で楽しく育児が出来るようにしていきましょう。
なごみ堂では、産後体調不良の具体的な症状と体質をお伺いし、改善の為の漢方薬をお選びします。
漢方薬は、毎日自宅で服用することで、産後の体調不良の症状を改善できます。
遠方の方は、お電話で詳しく症状や体質などをおうかがいし、全国へ配送できます。
産後の体調不良でお悩みの方は、是非一度ご相談ください。