1.子宮筋腫で月経過多になっている方へ、漢方による改善法の解説
「子宮筋腫のため月経過多がひどく、貧血でつらい」
「子宮筋腫のため月経過多がひどく、漏れてしまうのではないかといつも不安」
「子宮筋腫が不妊の原因と言われたけど、妊娠を諦めたくない」
「月経血に大きな塊があり、不安になる」
このようなお悩みはありませんか?
子宮筋腫は良性腫瘍ではありますが、子宮筋腫が悪化すると、生理痛がひどくなったり、月経過多による貧血や、不妊症などの原因にもなります。
子宮筋腫でも、月経過多になる方とそうでない方の違いは子宮筋腫のできる場所によって違ってきます。「粘膜下筋腫」や「筋層内筋腫」は、子宮の内側が変形するため、生理の量が増えたり、だらだらと、生理が続くなどの症状が現れ、月経過多となります。
子宮筋腫の原因は東洋医学では「お血」つまり血流障害や、血液の粘調整の増加によるものと考えます。お血になると、組織変成、組織増殖がおき、子宮の筋層に瘤を形成します。
漢方薬での子宮筋腫による月経過多は、子宮筋腫の原因である、お血の改善を第一とし、出血を軽減する止血のはたらきの漢方薬や、貧血改善の補血剤などを組み合わせて服用いただき、月経過多や貧血の改善をはかります。
2.子宮筋腫による月経過多の影響を解説
月経過多が続くと貧血となり、動悸や倦怠感などの症状がでてきて、日常生活に支障をきたします。
子宮筋腫自体が不妊症の原因となります。月経過多による貧血や不正出血が不妊症をさらに悪化させる要因になります。
また、月経血が漏れてしまうのではないかといつも不安になったり、睡眠中も漏れることが心配で、トイレに行き、睡眠の質が落ちてしまう事もあります。
生理がだらだら続くという方は、生理用品を使っている期間が長いため、肌や陰部のかぶれの原因にもなります。
3.子宮筋腫による月経過多を改善する漢方の考え方(気・血・水)
子宮筋腫に漢方薬が効く理由を漢方の仕組みから丁寧に解説します。
中医学では身体の構成要素を大きく「気」「血」「水」に分けて考えます。
◆「気」は 身体の生命エネルギー のようなもの。自律神経のバランスに影響します。
「血」や「水」 を巡らす原動力です。気の不足を「気虚」と言います。気虚になると、疲れやすくなったり、やる気が出ない、倦怠感、冷えといった症状が出てきます。また「血」をめぐらせる事が出来なくなり血流障害である「お血」を発生する要因となります。
◆「血」は身体を滋潤したり栄養素を運んだり、 ホルモンのバランスに影響します。
「血」の流れが悪い状態を「お血」と言い、「血」が不足した状態を「血虚」と言います。「お血」は子宮筋腫の主たる原因です。お血になると、組織変成、組織増殖がおき、子宮筋腫を形成する要因となります。
また子宮筋腫による月経過多が、「血虚」を引き起こします。「血虚」は貧血、動悸、立ち眩み、めまいといった症状の原因になります。
◆「水」は 血液以外の液体を表します。
「水」が滞った状態を「水滞」や「痰湿」といいます。身体に水をためやすくなり、冷えの原因になり、冷えが「お血」を生じるため子宮筋腫の悪化につながります。
「お血」「血虚」「気虚」「気滞」「水滞」などの体質を「証」といい、その証により、漢方薬での改善処方が決まります。
「お血」の改善の漢方薬は「活血剤」
「血虚」の改善の漢方薬は「補血剤」
「気虚」の改善の漢方薬は「補気剤」
「気滞」の改善の漢方薬は「理気剤」
「水滞」の改善の漢方薬は「利水剤」
「痰湿」の改善の漢方薬は「化痰剤」です。
子宮筋腫の場合は「お血」が大きな原因なので、お血を改善する活血剤を第一とし、月経過多の方には止血剤、貧血がある方には補血剤、冷えがある方には冷えをとる散寒剤などの漢方薬を組み合わせて処方します。
また活血剤の中に分類される破血剤は鬱血の除去および凝血や血腫の分解吸収に働くので、すでにできた筋腫を溶血しながら、小さくしていく事が可能です。なごみ堂では、筋腫を積極的に小さくしていく破血剤の入った中成薬なども使用し、効果を早く実感頂けるように処方しています。
4.子宮筋腫と月経過多に効果がある漢方薬
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
瘀血を改善する活血剤を中心とした処方です。血流を改善します。
折衝飲(せっしょういん)
お血を改善する活血剤が中心で、特に腰から下の痛みに、効果がある為、生理痛がひどい方にお勧めです。
芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)
補血剤と止血剤の生薬で構成されている処方の為、子宮筋腫で月経過多、生理がだらだらと続く方、貧血の症状がある方の改善に適しています。活血剤と組み合わせて服用いただく事が多いです。
温経湯(うんけいとう)
身体を温める散寒剤と補血剤で構成されているため、冷えによる血行不良を改善し、月経痛を和らげます。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
子宮の血流を促し、筋腫の成長を抑える働きがあります。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
ストレスや自律神経の乱れを整え、ホルモンバランスを調整します。ストレスにより、血流が悪化している方に適しています。子宮筋腫では他の活血剤と組み合わせて服用する場合が多いです。
※これらの処方を組み合わせて服用いただきこともあります。服用される場合は、専門の薬剤師にご相談ください。
5.子宮筋腫と月経過多の症状の改善事例
38歳
30代なかばより生理の量がだんだん増えてきて、生理痛もひどくなってきた。
年齢的なものかと思っていたが、月経血がナプキンから漏れるようになってきた。
婦人科にいくと、子宮筋腫があると言われた。血液検査をすると、貧血もあるので、手術を勧められた。
仕事や家事もあるので、出来れば入院しての手術はしたくない。また手術後の体調不良を考えると、出来れば漢方薬で改善したいとのご相談。
漢方薬服用で、月経血が以前よりも少なくなり、月経血の塊がへって、色もきれいになってきた。
月経血が減った事で、貧血による、倦怠感や動悸も改善された。
漢方薬を服用開始から6か月経過したところで、病院で検査をしたら、貧血の数値が改善されており生理の量も以前のように漏れるほどではなく、体調もいいので、様子を見ましょうと言われ、手術を回避することができた。
41歳
1.5センチが2つと、3センチの筋腫がある。大きくなりつつあり、それが5センチになったら手術をしましょうと医師から言われている。ここ数年の血液検査で、貧血気味で、生理の量も増え、生理痛も重くなっている。
生理がすっきり終わらず、だらだら出血が続き、2週間くらい出血している。
筋腫をこれ以上大きくしたくない。月経過多と、それによる貧血を改善したいとの事で、ご相談に来られた。
漢方薬を服用開始して、だらだら出血がなくなった。塊や量も減ってきて、貧血も改善された。また貧血からの倦怠感も、貧血の改善と共になくなった。
6.子宮筋腫や月経過多と妊娠の関係性
子宮筋腫やそれに伴う月経過多は不妊症の要因になります。
子宮筋腫の出来ている場所にもよりますが着床を妨げる場合もあります。
また月経過多による貧血は長引くことで、卵巣機能や黄体機能に影響し、不妊の原因になります。
また子宮筋腫があるという事は、「お血」体質が考えられ、血流障害からの冷えなどは妊孕性(にんようせい)を下げる要因になります。
妊娠を希望される方は、漢方薬を服用することで、子宮筋腫の原因である「お血」を改善し、さらに月経過多による、「血虚」を改善することで、妊娠しやすい体質づくりをすることをお勧めします。
7.まとめ
子宮筋腫による月経過多でお悩みの方が多くいらっしゃると思います。
貧血がひどくなり、手術やホルモン剤などの治療をすすめられている方も多いと思います。
子宮筋腫になる方と、ならない方の違いは、遺伝的なものやその他の要因もありますが、「お血」と呼ばれる、血流障害も要因の一つです。手術や、ホルモン剤などを使っての治療は、一時的にその筋腫が小さくなっても、「お血」体質が変わらない限り、再発やその他の病気の原因となる可能性もあります。
漢方薬は毎日飲むことで、子宮筋腫やそれに伴う月経過多の改善をすることができますし、
その他の病気の予防にもつながります。
漢方薬を効果的に服用するには、体質に合った漢方薬を服用することが大切です。
漢方専門の薬剤師に相談しながら服用することをお勧めします。
なごみ堂薬局では、個人の症状や体質、今までの経緯や、妊娠を希望する、あるいは希望しないなど、状況にあわせて、漢方薬をお選びします。
遠方の方は、お電話で詳しく症状や体質などをお伺いしできれば、全国へ配送できます。
子宮筋腫でお悩みの方は、是非一度ご相談ください。
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