卵管閉塞・狭窄を乗り越えて自然妊娠へ導く漢方薬の力とは?

この記事の監修者
片山智子
漢方薬なごみ堂 / 漢方薬剤師
片山 智子
東京・横浜・札幌などで漢方薬の経験を積んで参りました。 女性薬剤師として、女性ならではのデリケートなお悩みをご相談ください。お身体の状態をよく伺った上で、あなたに合った漢方薬をご提案させていただきます。 なかなか相談できない…などと一人で悩まずに、一度ぜひご来店ください。

不妊治療の一環として卵管造影検査を受けた際に、「卵管閉塞」「卵管狭窄」「卵管水腫」と診断され、自然妊娠は難しく、体外受精が必要だと医師から伝えられ、ショックを受けたという方は少なくありません。

しかし、漢方薬を用いて体質から整えることで、卵管の通りや癒着、水腫の状態を改善し、自然妊娠に至った例も数多くあります。

本記事では、卵管閉塞や狭窄の原因を漢方的にどう捉えるのか、どのような処方が選ばれるのか、そして実際に妊娠された方の事例などを詳しくご紹介します。

 

1.卵管閉塞や卵管狭窄で苦しむあなたへ

不妊治療での卵管造影検査を受けたところ、卵管閉塞、卵管狭窄、と診断され、自然妊娠が厳しく、妊娠するためには体外受精しかないという説明を受け、ショックをうけたという方が多くいらっしゃいます。

しかし、卵管の閉塞や狭窄、水腫を漢方薬で改善することで、自然妊娠される方もいらっしゃいます。

どのように卵管の状態を漢方薬で改善していくのか、詳しくご説明していきます。

 

2.卵管閉塞とは?症状や原因を理解しよう

卵管閉塞とは、卵管の通り道が何らかの理由で塞がってしまう状態を指します。
卵管狭窄は卵管の通り道が狭くなった状態です。

精子は膣から子宮を遡上し、卵管を通って、卵管采でキャッチされた卵子と出会います。卵管の中で卵子と精子が受精し、受精した胚は細胞分裂をしながら、卵管内を通って子宮内に移動し、着床します。
そのため卵管は自然妊娠にとっての命綱とも言えます。

 

 

卵管閉塞や狭窄の原因は、クラミジア感染や、子宮内膜症による癒着などが考えられ、骨盤内炎症により、卵管にも炎症が起こると考えられます。
また炎症が起こると、炎症部分に水がたまりやすくなり、卵管水腫を引きおこす場合もあります。

卵管閉塞や卵管狭窄になっていても、自覚症状がほとんどなく、不妊検査ではじめて知る方が多いです。

 

3.漢方からみる卵管閉塞の原因とは

※漢方では身体の構成要素を(気・血・水)に分けて考えます。

「お血」とは血の粘丁度の増大や、血流障害を表します。
「お血」はストレス(気滞)や冷え、食生活、生活習慣の乱れなどで生じやすくなります。

「お血」になると、組織変成や、組織増殖癒着などの原因になります。
「お血」によって子宮筋腫や子宮内膜症、卵管閉塞、狭窄などの骨盤内炎症が引き起こされます。
また炎症のある部分には「痰湿」つまりよどんだ水や停滞した水分が発生し、卵管水腫の要因になります。

卵管閉塞や狭窄、水腫は「お血」「痰湿」「気滞」「冷え」などの体質的な要因が原因として考えられ、漢方薬の活血剤化痰剤理気剤散寒剤などを服用することで、体質から改善していく事が可能です。

 

 

4.卵管閉塞に効果が期待できる漢方薬や中成薬

芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)

下腹部の張りや痛み、「お血」による冷えや生理痛がある方に効果が期待できます。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

便秘・のぼせ・イライラがあり、瘀血が強いタイプにおすすめします。

温経湯(うんけいとう)

手足が冷え、月経周期が不安定な人に。血と気を温めて巡らせる働きがあります。

爽月宝(そうげつほう)

破血と化痰のはたらきの生薬が配合されており、浮腫みや水腫に効果があります。

※漢方は病名ではなく体質(証)に合わせて処方されるため、自己判断せず専門家に相談し服用開始してください。

 

5.卵管閉塞を乗り越え妊娠した事例

31歳

<<ご相談内容>>
結婚して3年が経過。
子宮内膜症や子宮腺筋症、卵巣嚢腫、両卵管閉塞と診断を受け、体外受精を提案されている。
以前に卵管を通す手術と、卵巣嚢腫の手術をしているが、両方とも再発しているといわれた。
生理痛は激痛で、生理中は二日間は仕事を休む。排卵痛や性交痛もあり、骨盤内癒着がひどいと、病院から指摘されている。日常生活も痛みで気分が沈みがち。

<<漢方薬服用後>>
服用から一か月で、生理痛がかなり楽になり、仕事を休むことはなかった。排卵痛や性交痛もなくなり、痛みがないことから、タイミングをとることがストレスにならなくなった。
痛みがないことで、気持ちもリラックスできる。
漢方薬服用から約二か月で自然妊娠されました。

<<考察>>
お血のため、がちがちに癒着していた骨盤内が活血剤や破血剤、化痰剤を服用することで、
緩むことができて、生理痛などの痛みが早い段階で改善され、その後自然妊娠に至ったケースです。ご本人様もビックリされていました。

 

34歳

<<ご相談内容>>
結婚して一年が経過。
不妊治療を始めて、卵管造影検査をしたところ、両卵管閉塞と診断を受けた。
体外受精を提案されたが、まだステップアップには抵抗がある。
冷え性でむくみやすく、生理痛と排卵痛がある。体外受精をするにしても、体質改善をしたうえで、チャレンジしたいと考え、ご相談に来られた。

<<漢方薬服用後>>
漢方薬服用から一か月で、むくみがとれ、身体が楽になった。
生理痛も以前よりも、改善された。排卵痛はまだあるが以前ほどではない。
痛みが改善され、気持ちも前向きになれ、しばらくはタイミング療法でチャレンジすることに。

漢方薬服用から4か月で自然妊娠されました。

<<考察>>
漢方薬は、活血剤などで血流をよくし、子宮や卵巣や卵管の状態を改善するとともに、
理気剤なども服用いただくことで、気持ちがリラックスでき、それも相乗効果となり、妊孕性(にんようせい)の向上につながったと思われます。

 

6.体質改善の始め方、自分に合う漢方を探す

前述のように、卵管閉塞や狭窄、水腫はストレスや、冷え、生活習慣や食生活の乱れが要因の一つと考えられます。冷えや「お血」「痰湿」の原因になる、甘いものの食べ過ぎや、冷たいもののとり過ぎなど偏った食生活が考えられる方は、バランスの良い食事を心がけましょう。

また適度な運動は血行を良くし、「お血」の改善につながります。日常生活に運動をとり入れましょう。

ストレスは交感神経が優位となり、血管を収縮し、「お血」を引き起こします。お風呂は湯船につかる、ストレス発散できる時間を確保する、といったリラックスできる環境を作りましょう。

漢方薬を効果的に服用するためには、自分に適した処方を服用することが大切です。
「お血」が原因なのか、「気滞」や「冷え」が原因なのかを見極め、その改善の為の処方を服用することが大切です。そのためには漢方薬専門の薬剤師に相談し、自分に適した漢方薬を服用しましょう。

 

7.まとめ:できることを一緒にはじめましょう

卵管閉塞や狭窄だから妊娠できないと決めつけず、可能性を広げる努力をしましょう。

卵管の状態が良くないという事は、卵管だけでなく、子宮や卵巣も血流が悪かったり、冷えている可能性もあります。
妊娠力を高めるには、卵管以外にも、子宮や卵巣も「お血」や「痰湿」「冷え」などが無く、これらの機能が充実していることが大切です。

漢方薬を服用することで、偏った体質を改善し、妊娠しやすい身体へと導きます。
漢方薬はご自宅で毎日服用することで、体質を改善できます。遠方の方は、お電話で詳しくお話をお伺いし、漢方薬を配送することもできます。

一人で悩まず、お気軽にご相談ください。