子宮内膜症の症状から改善方法まで徹底解説|漢方で根本から体質改善を目指そう

この記事の監修者
片山智子
漢方薬なごみ堂 / 漢方薬剤師
片山 智子
東京・横浜・札幌などで漢方薬の経験を積んで参りました。 女性薬剤師として、女性ならではのデリケートなお悩みをご相談ください。お身体の状態をよく伺った上で、あなたに合った漢方薬をご提案させていただきます。 なかなか相談できない…などと一人で悩まずに、一度ぜひご来店ください。

生理痛や排卵痛、腰痛が年々ひどくなり、不安を感じていませんか?子宮内膜症は、多くの女性に見られる疾患で、生理のたびに進行し、不妊症の原因になることもあります。その一方で、「ホルモン剤や手術以外の治療法がないのでは?」と悩んでいる方も少なくありません。

本記事では、子宮内膜症の症状や原因、漢方を用いた改善のメリット、改善事例、さらに日常生活でできるケア方法を詳しく解説します。自然な体質改善を目指し、不快な症状を解消するためのヒントを見つけてください。

【1】子宮内膜症の症状

①こんな症状ありませんか?

※最近生理痛がひどくなった
※痛み止めを飲んでも効かなくなった
※生理の時に塊が出る
※生理の量が増えた
※排卵痛や排便痛や性交、腰痛がするようになった

など今までと身体の状態が違ってきて不安になっている方も多いのではないでしょうか。子宮内膜症は女性ホルモンの影響で、悪化しますので、放っておくと、生理のたびに悪化します。
また子宮内膜症は不妊症の原因にもなります。病院やクリニックでは、ピルなどのホルモン剤での治療や手術をすすめられますが、ホルモン剤を服用したくない、手術はしたくない、といったお悩みの方も多いのではないでしょうか。

【2】子宮内膜症の原因は・・・

月経血は膣を通って体外に排出されますが、一部が卵管を通って骨盤内に逆流し周囲の組織に癒着をおこし、様々な痛みをもたらします。生理のたびにこの現象が起きるため、年々癒着がひどくなり、生理中以外にも、排便痛や、性交痛などの痛みが悪化していきます。

内膜症の発生しやすい場所は、卵巣、ダグラス窩、卵管などがあげられ、卵巣に発生すると、卵巣嚢腫チョコレート嚢腫となり、卵巣機能低下の原因になり、不妊症の原因となります。
発症のピークは30歳から35歳にあると言われ、妊娠希望をする年齢と重なります。そのため子宮内膜症の改善は妊娠を希望する方にとってとても重要だと考えます

                                  
生理がおこるたびに女性ホルモンの主にエストロゲンの影響で悪化することから、エストロゲンにさらされない、妊娠中は悪化しないため、妊娠経験や、妊娠回数が少ない方は、発症しやすいと言えます。

結婚や妊娠が高齢化している現代においては、子宮内膜症は現代病とも言えます。また冷え性や、疲れやすいといった全身機能の低下の方も、発症しやすい要因と考えられます。

【3】漢方を用いた治療

ここまでは西洋医学的な観点で子宮内膜症について説明してきましたが、
東洋医学的な観点から子宮内膜症を見ていくと、子宮内膜症やそれに伴う生理痛などの原因は、「お血」と考えられます「お血」とは血流の悪化と血液の停滞、微小循環障害と考えられます
「お血」が慢性化することで、血液の粘稠度が増大し、凝固の亢進、血栓、癒着、繊維化、血腫など、様々な病態となり、その一つに子宮内膜症や卵巣嚢腫などがあると考えられます。

生理のたびに血液が卵管を逆流し、骨盤内に入り込み血液が停滞することでお血となり、癒着や繊維化をおこし子宮内膜症となります。

漢方薬でこのお血を改善することで、子宮内膜症や子宮内膜症に付随する痛みを改善していきます。

身体全体の機能とお血の関係について説明します。

東洋医学では、 身体の構成要素を 「気」「血」「水」に分けて考えます。

「気」は 体の生命エネルギー の ようなもの

「血」や「水」 を巡らしたり体を温めたり 色々な外邪(ウイルスや病気)といったものから守る力です。気の不足した状態を「気虚」と言います。気虚になると、免疫力が低下し、疲れやすくなったり、細菌感染などにかかりやすくなります。また身体を温める機能の低下から、身体が冷えやすくなります。
ストレスがかかり気がうまく流れず滞った状態を「気滞」と言います。気滞になるとリラックスできず、イライラしやすくなったり、交感神経が優位となる為、血管が収縮し血流が悪くなり「お血」の原因となります

「血」は身体を滋潤したり 栄養素を運んだり、 ホルモンのバランスに影響

「血」の流れが悪い状態を「お血」と言い、血流の悪化から、血液の粘稠度が増大し、凝固の亢進、血栓、癒着、繊維化、などの病態が発生し、子宮内膜症や子宮筋腫などの原因となります。「血」が不足した状態を「血虚」と言います。血の不足の血虚から、「お血」が発生することもあります。

「水」は 血液以外の液体を表す

「水」が滞った状態を「水滞」や「痰湿」といいます。水が身体の中で停滞してしまう事で、むくみやすくなり、身体が冷えやすくなります。身体の冷えはそれにより、血液の粘稠度が増し「お血」の原因となります。

「気虚」「気滞」「お血」「血虚」「水滞」「痰湿」などの体質を「証」といい、その証により、漢方薬での改善処方が決まります。

「気虚」の改善の漢方薬は「補気剤」
「気滞」の改善の漢方薬は「理気剤」
「お血」の改善の漢方薬は「活血剤」
「血虚」の改善の漢方薬は「補血剤」
「水滞」の改善の漢方薬「利水剤」
「痰湿」の改善の漢方薬は「化痰剤」です。

また「気滞」や、「お血」、「水滞」などの要因は1つでも、気・血・水はお互いに、影響しあうため、気滞、お血、血虚などが同時に発生している方もいらっしゃいます。

例えば、子宮内膜症があり(お血)疲れやすく(気虚)生理前に身体がむくむ(水滞)といったお悩みの方の改善には
(お血)を改善する「活血剤」、
(気虚)を改善する「補気剤」
(水滞)を改善する「利水剤」が必用となります。
活血、補気、利水剤の配合された漢方処方が適した漢方薬となります。
どのような働きの生薬(活血剤なのか、補血剤なのか、補気剤か・・・など)から構成されているかで、漢方薬の特性が決まってきます。
子宮内膜症があるという事は、「お血」は必ずあると考えますが、そのお血になった原因に、気虚があるとか、血虚があるとか、お血以外の要因も改善することで、
子宮内膜症の速やかな改善につながります。

漢方を用いる場合のメリット
漢方薬を用いた場合のメリットはピルのように、生理を止めて、またはホルモンの分泌を止めて治療するのではなく、ホルモン分泌の状態を維持しながら、改善できます。そのため、妊活や不妊治療と並行して子宮内膜症の改善ができます。
治療期間は個人差がありますが3~4か月を目安に服用して下さい。

子宮内膜症治療に用いられる代表的な漢方

折衝飲(せっしょういん)

活血剤と補血剤から構成されているため、血流を改善し、血液を補う事で、子宮内膜症の改善をはかる処方。鎮痛効果の高い生薬の配合もあり、生理痛が強い方にお勧め。

芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)

活血剤と補血剤、理気剤から構成されている。そのため血流が悪く、ストレスや、PMSなどがある方に良い。子宮収縮のはたらきから、子宮内や、骨盤内のお血の排出、悪露排出に効果がある。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

お血により、のぼせやすいタイプで、イライラや精神不安が強く生理痛、頭痛、肩こりがある方。

【4】漢方を用いる場合の注意点や留意

漢方薬は自然由来の生薬でできているため、ホルモン剤などに比べると副作用も少なく、安心して服用いただけます。

漢方薬を効果的に服用するためには、自分の体質に適した処方を服用することが大切です。そのためには漢方専門の薬局で問診を受けることが大切です.。詳しく症状や体質を伝え、最も適した漢方薬を服用しましょう。
漢方薬は毎日継続して服用することで、体質を改善し、子宮内膜症やそれに付随した、生理痛などの症状を改善します。痛みがある時や生理中だけでなく、それ以外の期間も服用して「お血」体質を改善して、子宮内膜症を根本から改善します。

なごみ堂ではお客様の今までの病状の経過や、自覚症状、体質などを詳しくお伺いし、お客様の子宮内膜症の改善に適した漢方薬をお選びします。

【5】日常からできる子宮内膜症のケア

子宮内膜症は「お血」が原因です。「お血」つまり、血流障害を改善するには、身体を冷やさないことが大切です。粘性のあるものは、冷えるとドロドロして流れが悪くなるため、血液も冷えることで、お血になりやすくなります。なるべく身体を温める食事や飲み物、ショウガやニンニク、根菜類をとるようにしましょう。
また血流を改善するには、適度に運動をして、筋肉を鍛える事も大事です。
最近はパソコンを使ってのデスクワークという方が多く、家電も便利になり最低限の家事で済むようになってきました。そのため筋肉量が昔に比べて減っている女性が多いように思います。筋肉があまりにも減ってしまうと、血管を刺激することができず、血流が停滞してしまいます。筋力低下はむくみやすくなり、冷えの原因にもなります。ウォーキングなどの運動を取り入れて、適度に筋力を鍛えて、身体を冷やさないようにして、血流を良くするように心がけましょう。

子宮内膜症改善事例:28歳

発症時期:25歳ころから生理痛がひどくなり、病院(産婦人科)で診察・検査をしたら、子宮内膜症と診断された。以前は痛み止めを飲めば楽になっていたが、半年前より薬が効かなくなってきた。また生理前の痛みもひどくなってきた。そのことを医師に伝えると、子宮腺筋症もあるのではないかと言われ、ピルを服用するか、子宮の全摘手術するかと提案された。
ピルは飲みたくないし、まだ未婚の為、子宮の手術はしたくないとの事。お住まい遠方の為お電話で、くわしく症状と体質を伺い、漢方薬は郵送し、服用いただいた。
漢方薬服用後経過:漢方薬服用から1か月で痛みはかなり軽減された。痛み止めは1番ひどい生理2日目だけ服用したが、あとは飲まずに過ごせた。PMSもあったがそれも服用前よりはいい感じがするとの事。月により多少の波はあるが、痛みはほとんどなく安定してきたので、病院でMRIの検査で子宮の厚さなどを計測したところ、子宮内膜症、子宮腺筋症はなくなってると言われた。

子宮内膜症改善事例:31歳

発症時期:20歳過ぎから生理痛がひどくなってきた。婦人科で受診すると、子宮内膜症、卵巣チョコレート嚢腫と診断された。26歳になり結婚して不妊治療を始めたが、5年経過しても妊娠に至らず。生理痛もどんどんひどくなり、排卵痛、性交痛もするようになった。痛み止めを飲んでも効かない時も多い。痛みがある事から妊活に前向きになれず、なごみ堂にご相談に来られた。
漢方薬服用後経過:漢方薬を服用を開始してから約1か月で、生理が来た。痛みは服用前よりかなり軽減された。生理痛は、腰が重いくらいで、痛み止めを飲まなくても大丈夫だった。性交痛が無くなり、妊活に前向きになれたことが嬉しいとの事。
漢方薬服用開始から2か月で自然妊娠されました。

【6】まとめ

子宮内膜症は生理がおこるたびに悪化して、骨盤内で周囲の組織に癒着をおこし、生理痛や、排卵痛、腰痛などを引き起こします。痛みがある時期も、最初は生理中だけだったのが、痛みのある時期が長くなり、月のうち半分は痛み止めを服用するようになったり、その痛み止めもあまり効かなくなったり・・・どうにか改善したいというご相談の方が、多く来られます。痛みは日常生活の質を下げ、気持ちも晴れずPMSなどを引き起こします。
漢方薬は、子宮内膜症の原因である「お血」を改善することで、すでにできている、子宮内膜症の癒着を改善し、痛みが徐々になくなってきます。
子宮内膜症を改善することで、妊娠を希望する方は、妊孕性を上げることができます。
また妊活や不妊治療と並行して子宮内膜症の改善をすることが可能です。
子宮内膜症や、卵巣嚢腫、またそれによる不妊症でお悩みの方は是非一度ご相談ください