「生理痛が年々ひどくなっている」「痛み止めが効かない」など、子宮腺筋症でお悩みではありませんか?子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮筋層に発生することで、月経痛や過多月経、不妊などの症状を引き起こします。
医師による手術や婦人科で処方されるホルモン剤に頼らず、自然な方法で改善したいと考えている方におすすめなのが漢方による改善です。漢方は、体質を根本から改善し、子宮腺筋症の症状を軽減することを目指します。この記事では、子宮腺筋症の症状、原因、そして漢方を用いた治療法や日常生活でできるケアについて詳しく解説します。
【1】子宮腺筋症の症状
子宮腺筋症とは
子宮腺筋症は子宮内膜に類似した組織が、子宮筋層内に発生、発育し、子宮の壁が厚くなり子宮が大きくなる病気です。
女性ホルモンの影響で悪化するため、生理のたびに悪化します。
子宮腺筋症でよくある症状
◇月経痛がひどい ◇月経痛がだんだん悪化している ◇お腹が張った感じや、痛みがある ◇月経血に塊がある ◇月経量(出血)が多い ◇排便痛や、性交痛がある ◇妊娠を希望しているが、妊娠しない |
放置していると組織が増大していくため、痛みがひどくなったり、月経量が増えることで貧血が悪化します。
また妊娠を希望している方は、不妊症や流産の原因にもなります。
【2】子宮腺筋症の原因
①子宮腺筋症となる原因
東洋医学では子宮腺筋症は「お血」が原因とされています。「お血」とは簡単にいうと「血流障害」ですが、それ以外にも微小循環障害、鬱血、充血、血液の粘稠度増大を含みます。それによって、組織変成や、増殖性病変、つまり、子宮筋腫や、子宮腺筋症、子宮内膜症、の原因となります。
②子宮腺筋症になりやすい人
子宮腺筋症のなりやすいタイプの方とは、血流が悪い方、また冷えがあると、血流が悪くなるため、冷え性の方も、子宮腺筋症になりやすい要因と言えます。ストレスも血流を悪化されるようになるため、ストレスを感じている方も、子宮腺筋症になりやすいタイプと言えます。
【3】漢方を用いた子宮腺筋症の治療
漢方薬でこのお血を改善することで、子宮腺筋症と、それに付随する痛みを改善していきます。
身体全体の機能と「お血」の関係について説明します。
東洋医学では、 身体の構成要素を 「気」「血」「水」に分けて考えます。
「気」は 体の生命エネルギー の ようなもの
「血」や「水」 を巡らしたり体を温めたり 色々な外邪(ウイルスや病気)といったものから守る力です。
気の不足した状態を「気虚」と言います。気虚になると、免疫力が低下し、疲れやすくなったり、細菌感染などにかかりやすくなります。また身体を温める機能の低下から、身体が冷えやすくなります。身体の冷えは「お血」を悪化させる要因となります。
ストレスがかかり気がうまく流れず滞った状態を「気滞」と言います。気滞になるとリラックスできず、イライラしやすくなったり、交感神経が優位となる為、血管が収縮し血流が悪くなり「お血」の原因となります。
「血」は身体を滋潤したり 栄養素を運んだり、 ホルモンのバランスに影響
「血」の流れが悪い状態を「お血」と言い、血流の悪化から、血液の粘稠度が増大し、凝固の亢進、血栓、癒着、繊維化、などの病態が発生し、子宮腺筋症や子宮内膜症、子宮筋腫などの原因となります。
「血」が不足した状態を「血虚」と言います。血の不足の血虚から、「お血」が発生することもあります。
「水」は 血液以外の液体を表す
「水」が滞った状態を「水滞」や「痰湿」といいます。水が身体の中で停滞してしまう事で、むくみやすくなり、身体が冷えやすくなります。身体の冷えはそれにより、血液の粘稠度が増し「お血」の原因となります。
「気虚」「気滞」「お血」「血虚」「水滞」「痰湿」などの体質を「証」といい、その証により、漢方薬での改善処方が決まります。
「気虚」の改善の漢方薬は「補気剤」 「気滞」の改善の漢方薬は「理気剤」 「お血」の改善の漢方薬は「活血剤」 「血虚」の改善の漢方薬は「補血剤」 「水滞」の改善の漢方薬「利水剤」 「痰湿」の改善の漢方薬は「化痰剤」です。 |
また「気滞」や、「お血」、「水滞」などの要因は1つでも、気・血・水はお互いに、影響しあうため、気滞、お血、血虚などが同時に発生している方もいらっしゃいます。
例えば、子宮腺筋症があり(お血)イライラしやすく(気滞)生理前に身体がむくむ(水滞)といったお悩みの方の改善には
(お血)を改善する「活血剤」、
(気滞)を改善する「理気剤」
(水滞)を改善する「利水剤」が必用となります。
活血、理気、利水剤の配合された漢方処方が適した漢方薬となります。
どのような働きの生薬(活血剤なのか、補血剤なのか、補気剤か・・・など)から構成されているかで、漢方薬の特性が決まってきます。
子宮腺筋症があるという事は、「お血」は必ずあると考えますが、そのお血になった原因に、気虚があるとか、血虚があるとか、お血以外の要因も改善することで、
子宮腺筋症の速やかな改善につながります。
①漢方を用いた場合の効果効能
漢方を用いる場合のメリット
漢方薬を用いた場合のメリットはピルのように、生理を止めて、またはホルモンの分泌を止めて治療するのではなく、ホルモン分泌の状態を維持しながら、改善できます。そのため、妊活や不妊治療と並行して子宮腺筋症の改善ができます。
治療期間は個人差がありますが3~4か月を目安に服用して下さい。
②子宮腺筋症治療に用いられる代表的な漢方
牛膝散(ごしつさん)
活血剤と理気剤から構成されているため、血流を改善し、ストレスをうまく流していく事で、子宮腺筋症の改善をはかる処方。牛膝などの鎮痛効果の高い生薬の配合もあり、生理痛が強い方にお勧め。
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
活血剤と補血剤、理気剤から構成されている。そのため血流が悪く、ストレスや、PMSなどがある方に良い。子宮収縮のはたらきから、子宮内や、骨盤内のお血の排出、悪露排出に効果がある。
芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)
補血剤、止血剤で構成されているため、子宮腺筋症による、過多月経や貧血の改善に効果があります。
【4】漢方を用いる場合の注意点や留意点
漢方薬は自然由来の生薬で作られるため、ホルモン剤などに比べると副作用も少なく、安心して服用いただけます。
漢方薬を効果的に服用するためには、自分の体質に適した処方を服用することが大切です。そのためには漢方専門の薬局で問診を受けることが大切です。詳しく症状や体質を伝え、自分に合った漢方薬を服用しましょう。
漢方薬は毎日継続して服用することで、体質を改善し、子宮腺筋症やそれに付随した、生理痛などの症状を改善します。痛みがある時や生理中だけでなく、それ以外の期間も服用して「お血」体質を改善して、子宮腺筋症を根本から改善します。
なごみ堂ではお客様の今までの病状の経過や、自覚症状、体質などを詳しくお伺いし、お客様の子宮腺筋症の改善に適した漢方薬をお選びします。
【5】日常からできる子宮腺筋症のケア
子宮腺筋症は「お血」が原因です。「お血」つまり、血流障害を改善するには、身体を冷やさないことが大切です。粘性のあるものは、冷えるとドロドロして流れが悪くなるため、血液も冷えることで、お血になりやすくなります。なるべく身体を温める食事や飲み物、ショウガやニンニク、根菜類をとるようにしましょう。
また血流を改善するには、適度に運動をして、筋肉を鍛える事も大事です。
最近はパソコンを使ってのデスクワークという方が多く、家電も便利になり最低限の家事で済むようになってきました。そのため筋肉量が昔に比べて減っている女性が多いように思います。筋肉量が減ってしまうと、血管を刺激することができず、血流が停滞してしまいます。筋力低下によりむくみやすくなり、冷えの原因にもなります。ウォーキングやストレッチなどの運動を取り入れて、適度に筋力を鍛えて、お風呂はシャワーですませず、なるべく湯船につかるようにして、身体を冷やさないようにして、血流を良くするように心がけましょう。
【6】まとめ
子宮腺筋症と診断され、手術やホルモン剤での治療しか手立てがないと、お悩みの方も多いと思います。漢方薬は毎日服用することで、子宮腺筋症を改善しながら、それに伴う痛みや、月経過多なども軽減することが可能です。
事例紹介
子宮腺筋症で生理痛がひどく、痛み止めも効かなくなり、病院からは子宮全摘手術を提案されているという20代の女性がご相談に来られました。漢方薬を服用いただき、痛みは一か月服用した時点で、軽くなりました。
漢方薬服用から約1年半経過で病院の診察を受けて検査したところ、子宮腺筋症がない状態になりました。
子宮腺筋症でお悩みの方は、漢方薬という選択肢もあるという事を、もっと多くの方に知ってもらいたいと思います。