生理不順に悩む女性へ|漢方で自然に整えるホルモンバランス

この記事の監修者
片山智子
漢方薬なごみ堂 / 漢方薬剤師
片山 智子
東京・横浜・札幌などで漢方薬の経験を積んで参りました。 女性薬剤師として、女性ならではのデリケートなお悩みをご相談ください。お身体の状態をよく伺った上で、あなたに合った漢方薬をご提案させていただきます。 なかなか相談できない…などと一人で悩まずに、一度ぜひご来店ください。

「最近、生理の周期が安定しない…」「もう何カ月も月経が来ていない」
そんな不安や悩みを抱えている女性も少なくありません。
実は、生理は脳・ホルモン・卵巣など、複雑なシステムでコントロールされており、ストレスや年齢、体質の変化によって簡単に乱れてしまいます。

特に女性の身体は繊細で、ちょっとした生活の変化でもバランスが崩れやすく、それが生理不順として現れることも。そんなとき、体質や根本原因にアプローチできるのが「漢方薬」です。

ホルモン剤に頼りたくない、でもしっかり改善したい。
そんなあなたにとって、この記事が新しい一歩となることを願っています。

1.生理が周期がバラバラで不安・・・「生理不順」漢方薬での改善とは?

生理は卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)のはたらきによってコントロールされています。それらのホルモンの分泌は脳の視床下部や下垂体からの指令のホルモンや、卵巣などが連携して行っています。これらに異常が起こると、ホルモンバランスが崩れ、生理周期が不順になります。

生理不順にはいろいろなタイプがあります

「無月経」妊娠以外で生理が三か月以上こない。
「稀発月経」月経周期が2から3か月と長い
「頻発月経」月経周期が短く、月に2回以上生理がある。

生理不順であっても排卵しているか、排卵していないかによって状況も違います。基礎体温を付けることで、排卵の有無や、ホルモンの状態を確認することができます。

出典元:生理のミカタ

排卵すると、黄体ホルモンの働きで基礎体温が上昇します。
正常な生理周期の場合は生理開始日から14日目前後で排卵します。その後黄体期(高温期)が14日間前後あるため、28日前後が正常な月経周期です。

稀発月経や無月経の場合は、排卵が遅い、または排卵していないことが多く、低温期が長くなり、月経周期もそれに伴い長くなります。

頻発月経の場合は、排卵が早く、その分月経周期が短くなり、生理が月に2度来ることもあります。

40代半ばを過ぎると、排卵が早くなる傾向にあり頻発月経となる人が多いです。またその時期を過ぎると、排卵が定期的におこらなくなり、稀発月経となり、閉経を迎える状態になります。

生理不順の原因は様々ですが、主なものとして以下の通りです。

◇年齢的なもの
思春期や更年期はホルモンのバランスが安定せず、生理不順になりやすいです。

◇ストレスや生活環境の変化
ストレスや、引っ越し、職場が変わるといった、環境の変化で、一時的に生理不順になることがあります。

◇ホルモンの異常
多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、甲状腺の病気、卵巣機能不全(POI)など

◇過度なダイエットや、激しいスポーツ
過激なダイエットや激しいスポーツは、生命維持に身体の機能が優先されるため、無月経や生理不順になることがあります。

◇肥満
太りすぎは、排卵障害につながり、生理不順になることがあります。

 

2.生理不順の原因とは?漢方から考えてみよう。

漢方では体の構成要素を(気・血・水)に分けて考えます。

ストレスがかかると「気滞」となり、「お血」を生じやすくなります。
自律神経のバランスが乱れると、ホルモンのバランスも乱れていきます。

気から血への流れが悪くなることで、生理不順も起こりやすくなります。

また漢方では体の機能を五臓(肝、心、脾、肺、腎)に分けて考えます。

「肝」は疏泄をつかさどるといわれ、精神や情緒をのびやかに保ち、全身の機能を円滑に推進する働きがあります。「肝」の疏泄が停滞した状態を「肝気鬱血」といい生理不順の原因となります。
特に肝気鬱血となると、生理周期が一定しない、早く来たり、遅れたりという状態になります。

「腎」は生殖機能に影響します。
腎虚」になると、生殖機能が低下し、卵巣機能低下や卵巣機能不全となり、生理不順や無月経の要因となります。

「気滞」「お血」「肝気鬱血」「腎虚」などを漢方薬で改善することで、生理不順を正常な生理周期に整えていきます。

 

3.生理不順に使われる代表的な漢方薬や中成薬と特徴

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)

冷え性・貧血・疲れやすい人に向いています。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

イライラ・不眠・PMS傾向のある人に。「肝気鬱結」タイプに効果が期待できます。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

下腹部が張って痛む・経血に塊が多い人向けです。「お血」タイプに効果が期待できます。

温経湯(うんけいとう)

手足が冷える、ほてりもある、おりものが少ない方に適しています。

亀鹿二仙膠(きろくにせんきょう)

おりものが少なく、卵巣機能の向上を目的として服用されることが多いです。「腎虚」タイプに効果が期待できます。

これらの処方を組み合わせて服用いただくこともあります。
※服用の際は漢方薬専門の薬剤師にご相談ください。

4.生理不順が関連した具体的事例

27歳

<<ご相談内容>>
もともと生理不順だったが、初回相談の時は4か月生理が来ない状態。お母さんが心配して相談に来られた。仕事が芸能関係でスタイルを維持するため、ダイエットをいつもしている。オーディションの前は特に食事をセーブしがち。むくみも気になる。ピルで生理をおこすことはしたくない。お母さんも、ホルモン剤はなるべく飲ませたくないとのお考え。
<<漢方薬服用後>>
漢方薬服用開始とともに、基礎体温を付けていただいた。
漢方薬服用開始から、2か月後に自然排卵し、生理がきた。
その後は、30日周期で生理が来るようになった。基礎体温からも排卵していることがわかる。
いつも気になっていた、むくみも以前より軽減された。

 

43歳

<<ご相談内容>>
40歳を過ぎたころから生理が不順になってきた。
一か月に2回生理が来ることもあり、貧血気味になり身体が疲弊する。
職場の部署が変わり、仕事のストレスが要因と思われる。
イライラすることが多くなり、カーっとして子供を叱ってしまうこともある。
睡眠が浅く、よく夢を見る。イライラするとつい食べたくなり、甘いものをたくさん食べてしまう。
体重が2年で7キロ増えた。
<<漢方薬服用後>>
イライラが以前よりぐっと減った。腹の立つこともあるが、「まあいいか・・・」とやり過ごせるようになった。漢方薬服用から3か月で月経周期が28日で来るようになった。
どんどん増えて不安になった体重もイライラがなくなり過食することが減って、少しづつ減ってきている。以前よりぐっすり眠れるようになり、疲労感や倦怠感も減ってきた。

 

5.生理不順を整える生活習慣

◇ストレス対策
ストレッチやヨガ、ウォーキングなどの適度な運動はストレス解消とともに血流改善になるため、習慣化しましょう。
◇冷え対策
冷えは血流を悪化させる原因となります。特に下半身を温め、足湯や半身浴などを日常に取り入れましょう。
◇十分な栄養をとる
食事は動物性たんぱく質を多くとり、ビタミンやミネラルの補給の為、野菜も適度にとりましょう。
甘いものや糖質に偏った食事はひかえましょう。
◇無理なダイエットは避ける
無理なダイエットは女性ホルモンに必要な栄養が足りなくなり、生理不順や無月経の原因になります。
◇休養と睡眠
過労を避け、十分な睡眠をとるようにしましょう。

 

6.相談は漢方の専門家へ

生理不順はホルモンバランスが乱れているというサインです。
ホルモンバランスが乱れる原因は様々です。
その原因を見極めるためには、生理不順となり始めた時期なども確認し、ストレスがあるかないか、生理周期が短いのか、長いのか、それともバラバラなのか、生理痛の有無、また生理以外にも体調や体質などを詳しくお伺いすることが大切です。
自分に合った漢方薬を服用するためには、専門の薬剤師にこれらの事を伝え、適切な漢方薬を服用することが大切です。

 

7.まとめ

生理不順が気になっているがホルモン剤は使いたくない、副作用が心配といった方もいらっしゃると思います。
漢方薬は自然由来の生薬からできており、副作用が少なく安心して服用いただけます。
生理の状況以外にも、体調や体質を詳しくお伺いすることでその方に適切な漢方薬をお選びすることができます。
また漢方薬で体質改善することで、生理不順以外にも、生理痛が軽くなった、イライラが減った、肌の調子が良くなった、という声もよく聞きます。
また、自律神経やホルモンのバランスが整うことで、今後の病気の予防にもつながります。

漢方薬は毎日自宅で服用することで改善ができます。
遠方の方は、お電話やラインでご相談し、ご自宅に配送も可能です。
一人で悩まず、お気軽にご相談ください。