不妊・不妊症治療には漢方!東洋医学の力で妊活!

この記事の監修者
片山智子
漢方薬なごみ堂 / 漢方薬剤師
片山 智子
東京・横浜・札幌などで漢方薬の経験を積んで参りました。 女性薬剤師として、女性ならではのデリケートなお悩みをご相談ください。お身体の状態をよく伺った上で、あなたに合った漢方薬をご提案させていただきます。 なかなか相談できない…などと一人で悩まずに、一度ぜひご来店ください。

漢方を使った不妊治療とは?クリニックに通わない妊活も可能

「何度も不妊治療に挑戦したけど子供を授かれない」

「病院やクリニックに通わなくても妊活はできる?」

WHOの報告書によると、世界の成人人口のうち約17.5%が不妊を経験しており、日本以外でも不妊症に悩む方は多くいます。

不妊治療には、人工授精・体外受精・ホルモン療法などの西洋医学的な治療がありますが、妊娠できない患者さんも少なくありません。

しかし、西洋医学的な不妊治療では効果がなかった患者さんでも、漢方で不妊治療が成功した事例が多くあります。

また、人工授精・体外受精などと漢方薬を組み合わせて妊娠できた患者さんも多いため、不妊治療に漢方薬は有効だとされています。

本記事では、漢方薬を用いた不妊治療の考え方・男女別に不妊の原因を解説します。

不妊治療に使われる漢方薬も解説していくので、不妊症で悩んでいる方は参考にしてください。

「参考:公益社団法人日本WHO協会

不妊症とは

妊娠検査薬

不妊症とは、妊娠を望んでいる健康的な男女が性行為を行っているのにもかかわらず、1年以上妊娠ができない状態を指します。

厚生労働省の「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」によると、2021年時点で39.2%の夫婦が不妊を心配したことがあると回答しています。

また、実際に不妊治療や検査を受けたことがある方の割合は22.7%となっており、不妊に悩む夫婦は少なくありません。

近年では、晩婚化などの理由で出産の高齢化が進んでおり、さらに妊娠がしづらい状況です。

不妊は女性だけではなく、男性側に原因がある可能性も考えられます。

女性・男性に分けて、不妊症の原因を紹介します。

「参考:不妊症 | 日本産婦人科学会

「参考:不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック

女性側の原因

不妊の原因が女性側にある場合、以下の理由が考えられます。

女性側の原因概要
排卵因子月経周期の乱れが不妊の原因となるケースです。

ホルモンバランスの乱れにより引き起こされるため、日常生活でのストレスなどに気を付ける必要があります。

また、疾病によりホルモンバランスが乱れている場合もあるため、ホルモン検査などを受けたほうが良い場合もあります。

卵管因子卵管は、卵子を取り込んだり、精子を輸送したりするなどの役割があります。

子宮内膜症・性器クラミジア感染症・骨盤内の手術経験などがある場合、卵管が塞がり妊娠しづらくなる可能性があります。

子宮因子粘膜下筋腫という子宮内の良性腫瘍がある場合、着床しづらくなり不妊につながるリスクがあります。

粘膜下筋腫は月経量が多かったり、月経時の痛みが強かったりするなどの症状があるため、思い当たる女性は病院やクリニックで診察を受けてみましょう。

頸管因子排卵期の「おりもの」が少ない場合は精子が通過しづらくなり、不妊症の原因となる可能性があります。

子宮部の炎症や手術により、引き起こされる場合があります。

免疫因子免疫に異常が生じて、精子の運動を妨げてしまうケースがあります。

男性側の精子が健康であっても、妊娠できなくなる可能性があります。

上記のように原因がわかる不妊症以外にも、原因不明の不妊症になる場合もあります。

基本的には加齢にともない妊娠しづらくなるため、早期に病院やクリニックを受診して対策を取るのが重要です。

「参考:一般のみなさまへ – 生殖医療Q&A(旧 不妊症Q&A):Q4.不妊症の原因にはどういうものがありますか?

男性側の原因

不妊の原因が男性側にある場合は、以下の理由が考えられます。

男性側の原因概要
造精機能障害精子を造るうえで異常が生じた場合に、不妊症の原因となる可能性があります。

精子の数が減ったり、動きが悪くなったりするなどの理由で、受精能力が減少します。

性機能障害勃起障害(ED)や射精障害が原因となり、不妊症になるケースです。

不妊治療のプレッシャーからEDになったり、勃起はできても射精できなかったりする場合があります。

精路通過障害睾丸で造られた精子の通り道が塞がれている状態です。

通り道を設ければ、不妊を改善できる可能性があります。

EDや射精障害は、時間を経るにつれて悪化していく可能性もあるため、早期に病院やクリニックで相談するのが大切です。

「参考:一般のみなさまへ – 生殖医療Q&A(旧 不妊症Q&A):Q4.不妊症の原因にはどういうものがありますか?

漢方を用いた不妊治療の考え方

気血水

漢方を用いた不妊治療は、体外受精・人工授精・ホルモン療法などの西洋医療とは異なります。

漢方では不妊治療として、妊娠しやすい健康的な母体を作るのが主な目的です。

漢方薬を使用して、血の巡りをよくしたり虚弱体質を改善したりするなどの方法で健康的な身体を作ります。

漢方薬を使う東洋医学の考え方として、「気」「血」「水」の3要素を解説します。

気・血・水の3要素

漢方を用いた東洋医学では、「気」「血」「水」の3要素で人体が構成されているとして、治療方法を探します。

3要素の具体例は、以下の通りです。

東洋医学の3要素概要
エネルギー。気が不足すると、疲れやすい・イライラするなどの症状が見られます。
血液。全身に栄養を送る血液が不足すると、栄養不足・肩こり・目の疲れなどの症状が見られます。
血液以外の水分。水が不足すると、のどの渇き・下痢・鼻水・肌荒れなどの症状が見られます。

3要素の中で不妊症にかかわるのは、「気」「血」の2つです。

ストレスが多いと気の巡りが悪化して、体調不良につながります。

また、血の流れが悪くなると、冷えや臓器の機能低下により、不妊症の原因となります。

そのため、不妊治療では「気」「血」の改善を目的とした漢方が処方されるケースが多いです

また漢方には五臓(肝、心、脾、肺、腎)の考え方があり、生殖機能は五臓の中では腎に含まれます。

腎虚になると、男女共に生殖機能が低下し、卵子の老化や精子の老化が始まります。

腎虚は30歳くらいから徐々にすすみ35歳くらいから急速に腎虚がすすみますので、そのために35歳くらいから妊孕性(妊娠する為の力)が落ちるとされています。

そのために高齢不妊の場合は、補腎剤の服用が妊活を成功させる鍵になると言えます。

不妊症に用いられる漢方薬

漢方薬

漢方薬は、生薬を組み合わせて作られるため、多くの種類があります。

数多くある漢方薬の中でも、不妊治療によく用いられるものを紹介します。

すでに病院やクリニックで妊活を行っている患者さんでも、自分にあった漢方薬を服用することで妊娠確率を上げられる可能性があります。

また、一般的に漢方薬は西洋薬と比較すると副作用が少ないといわれていますが、漢方薬も医薬品ですから、服用される場合は漢方薬専門の薬剤師に相談することをおすすめします。

芎帰調血飲第一加減(きゅうちょうけついんだいいちかげん)

芎帰調血飲第一加減は血のめぐりを良くする活血剤、血液を補う補血剤、ストレスを流す理気剤などバランスよく配合されていて、冷え性やストレスからの生理不順などに使用されます。

参馬補腎丸(じんばほじんがん)

補腎の働きから、卵巣機能低下や高齢不妊の方などに服用いただきます。身体を温める補陽薬が多く配合されている為、冷えがあり、疲れやすく、身体がいつもだるいといった方にお勧めです。

温経湯(うんけいとう)

温経湯は、月経不順や月経困難などに用いられる漢方薬です。

冷えを解消して体を温め、血の巡りをよくする効果があり、「血」による不妊を改善します。

冷え性・血液循環の改善に用いられる桂皮(けいひ)、胃腸機能の改善機能を持つ半夏(はんげ)が含まれており、健康的な身体状態の維持に効果的です。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散は、冷え性や貧血、生理不順などの女性に多い症状を改善するために用いられる薬です。

当帰芍薬散は、女性特有の症状である月経不順・生理痛を改善する当帰(とうき)、血管を広げて血の流れを良くする芍薬(しゃくやく)が含まれています。

月経不順は不妊症の原因となるため、当帰芍薬散の服用により改善される可能性があります。

また、妊娠の準備に必要なホルモンの分泌を促進する働きもあるため、不妊治療に適した漢方薬です。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸は、女性ホルモンの乱れが原因の精神不安やイライラなどの「血の道症」に用いられる漢方薬です。

精神不安やイライラなどの症状は、ストレスの原因にもなるため、不妊症治療に効果的です。

桂枝茯苓丸には、胃腸の働きを改善する茯苓(ぶくりょう)、血液循環をよくする牡丹皮(ぼたんぴ)などの生薬により、不妊症の改善に効果があります。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

加味逍遥散は、さまざまな生薬が含まれており、月経不順・冷え性・月経困難などに用いられる漢方です。

加味逍遙散には、イライラを抑える効果がある山梔子(さんしし)、柴胡(さいこ)、薄荷(はっか)、血の巡りをよくする生姜(しょうきょう)、牡丹皮(ぼたんぴ)など、数多くの生薬が使われています。

加味逍遙散はあまり元気がなく疲れている患者さんでも使える漢方であり、あまり苦味が強くない点が特徴です。

まとめ

本記事では、不妊治療の定義や原因、不妊治療に用いられる漢方薬について解説しました。

不妊症の治療には、体外受精・人工授精・ホルモン調整などの方法もありますが、効果が得られない患者さんも少なくありません。

西洋医療で手に負えない不妊症でも、漢方薬を使用すれば改善する場合もあります。

「漢方薬を使った妊活を試してみたい」という患者さんは、当薬局へご相談ください。

漢方薬なごみ堂は、中国の漢方医と交流のある薬剤師・漢方専門の薬剤師が在籍しております。

当薬局では、不妊症の相談を無料で行えるため、男性・女性問わず悩んでいる方は、気軽にお問い合わせください。