「40歳になったけれど、まだ子どもは産めるかな?」
「高齢不妊って何歳から?」
と悩んでいる方もいるのでは、ないでしょうか。
不妊について悩んでいるカップルは約10組に1組とも、それ以上とも言われています。そのおもな原因は妊娠を考える年齢が上がったことです。年齢が上がると、卵子や精子も老化してしまうので、妊娠しにくくなってしまうのです。
この記事では、不妊の原因や漢方薬局と医療機関の治療方法の違い、高齢不妊で漢方薬を使うときよくある疑問について、解説します。この記事を読むと、高齢不妊で漢方薬を使うときに必要な情報が入手できます。
目次
不妊とは?
ここでは不妊についてとその原因を解説します。
不妊とは?
「不妊」とは、妊娠を望んでいる健康な男女が避妊をせず、性交をしているのに、1年以上妊娠しない状態のことをいいます。
何歳からが高齢かという線引きはありません。若くても妊娠しにくい方はいますし、比較的年を重ねていても、元気に妊娠して出産される方は多くいます。しかし、近年、出産を考える年齢が高くなってきたために、一般に妊娠を考えたときには生活習慣病などにかかっていて健康状態が若い時よりも良い状態にはないかもしれません。このような場合を高齢による不妊と呼んでいます。
不妊の原因
不妊の原因があるのは、男性と女性のいずれか、もしくは両方の場合がありますが、何もない場合もあります。原因の内訳は、男女、ほぼ半々と言われています。
不妊の原因を女性側と男性側にわけて、表にまとめました。
女性側の原因 | 男性側の原因 |
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排卵異常の原因には、女性ホルモン分泌に影響する病気や、ホルモンバランスの異常、極端な体重減少や肥満などがあります。卵管に詰まりがあると、精子と卵子が受精しても、受精した卵(胚)が子宮に戻れないので、妊娠は成立しません。クラミジア感染症にかかったために卵管炎が起こったり、子宮内膜症があったりすると、卵管が詰まっている可能性があります。
頸管状態や免疫因子によっては、精子が子宮内に侵入しにくくなるので、この場合も妊娠が起きにくくなる可能性があります。子宮の形態異常や病気などがあれば、受精した胚が子宮に着床できないので、妊娠に至りません。また、加齢で卵子が老化している場合も、妊娠しづらいことが知られています。日本生殖医学会によれば、出産数は30歳から少しずつ減少、35歳を過ぎると顕著になり、40歳を過ぎると急速に減少するとされています。
男性の理由で最も多いのが、造精機能障害です。造精機能障害とは、精子の数が少ない、精子の運動性が悪いなどの状態をいいます。精索静脈瘤で精巣内の温度が高い場合も、精子の数や運動性が低下してしまいますが、特に原因はないのにもかかわらず、精子が作られないこともあります。その他に男性側の原因であげられるのは、勃起障害(ED)や膣内射精障害のためにセックスの時に射精不能になる「性機能障害」や加齢による精子の質の低下です。精子の質が低い状態になるのは、女性よりは遅いですが、35歳ごろから少しずつ始まります。
女性は内診や経膣超音波検査、子宮卵管造影検査、ホルモン検査、男性は精液検査(産婦人科や泌尿器科でしている)をすれば、原因がわかる場合もあります。
不妊治療の違い
漢方薬局では妊娠から出産までを考えたトータルな体づくりを目標にして治療しています。一方、医療機関では受精にターゲットを合わせた不妊治療をしているのが、大きな違いです。ここでは、漢方薬局と医療機関での治療について、解説します。
漢方薬局での治療
漢方では、人間の身体は、気(き)・血(けつ)・水(すい)からできていると考えます。気・血・水とは、以下のようなものです。
【気・血・水とは】
要素 | 働き | |
気 | 元気の源、エネルギー | 身体を支える原動力 |
血 | 血液 | 身体の器官や組織に栄養を与える |
水 | リンパ液などの体液や汗 | 摂取した飲食物の水分を消化吸収し、身体を潤す |
この「気・血・水」の中のいずれかが不足したり、流れが滞ったりすると、心や体の不調が起こると考えるのが漢方です。妊娠に至らないのもどこかに過不足や滞りがあるからだと考えます。人によって、過不足や滞りはさまざまです。
「高齢不妊の場合補腎剤が成功の鍵」
また漢方には五臓(肝、心、脾、肺、腎)の考え方があり、生殖機能は五臓の中では腎に含まれます。
腎虚になると、男女共に生殖機能が低下し、卵子の老化や精子の老化が始まります。
腎虚は30歳くらいから徐々にすすみ35歳くらいから急速に腎虚がすすみますので、そのために35歳くらいから妊孕性(妊娠する為の力)が落ちるとされています。
病院で治療をする場合も卵子の老化が原因で上手く治療がすすまないという方が多いです。
そのために高齢不妊の場合は、補腎剤の服用が妊活を成功させる鍵になると言えます。
漢方薬局では、多くの場合、以下のようなことを目標に、漢方薬を処方して、治療します。
- 血液の流れ(冷え)を改善する
- 気の流れを改善する
- 卵巣や子宮、ホルモン分泌系の機能を高める
人による過不足や滞りを知るために、漢方薬を処方する場合には十分な時間をかけた相談やカウンセリングが必要です。自分に合っている漢方薬だと、服用し続けるうちに体質が改善され、次第にホルモンの状態が整い、卵巣や子宮機能も安定、妊娠しやすい体に変化していきます。
自分にあった漢方薬を服用するためには、ぜひ、漢方の専門家に相談してください。
不妊症でよく使用される漢方薬について、下記に説明いたしましたので、ご覧ください。
また、下記には不妊症体験談もあります。こちらもご覧ください。
医療機関での治療
医師による治療は西洋医学の考え方に基づいて行われ、検査して原因があれば、以下のような治療をします。
【医療機関での治療】
原因名 | 治療法 | |
女性 | 排卵障害 | 排卵誘発法とタイミング法や人工授精などを併用。 |
卵管狭窄や閉塞 | 卵管癒着剥離術や卵管形成術で卵管を開通させる、もしくは体外受精。 | |
子宮内膜症 | 腹腔鏡下子宮内膜症病巣除去術をしてからタイミング法・人工授精・体外受精。年齢が高い場合はすぐに体外受精。 | |
男性 | 乏精子症 | 男性側の治療や、人工授精、体外授精(状態によっては顕微授精)。 |
無精子症 | 精管閉塞がある場合は精路再建手術か、精巣精子採取術と顕微授精など。 | |
勃起障害や射精障害 | 勃起障害治療薬などで治療もしくは、人工授精。 |
参考:日本産婦人科学会|不妊症
「タイミング法」とは、排卵日を推定して性交する方法です。卵胞の大きさや尿中ホルモンを測定して排卵日を推定するので、排卵日前後頃に数回の通院が必要です。「排卵誘発法」とは、薬物で排卵を促す方法です。排卵障害の場合だけでなく、排卵が正常でも人工授精による妊娠率を上げるために使うこともあります。「人工授精」とは、精液から良い状態の精子を取り出し、洗浄濃縮、最も妊娠しやすい時期に子宮内に入れる方法です。
原因がわからない場合には、排卵と受精を助ける治療をします。一般的に、タイミング法から初め、排卵誘発法、人工授精、体外受精というように、月経の数周期で妊娠しない場合を目安に治療法をステップアップさせていきます。
高齢不妊で漢方薬を使うときよくある疑問
Q1.病院の不妊治療と併用できますか?
A. 併用できます。
漢方では母体の状態を整えることを最初に考えるので、服用し続けると、丈夫な卵子になり、子宮や卵巣を含めて元気な体になります。
病院の不妊治療では、医療技術を使って、妊娠状態をつくります。しかし卵子が弱っていれば、受精せず、妊娠にも至りません。漢方薬で元気な卵子にしておけば、そのようなリスクも減少します。また子宮の状態も良くなるので、妊娠したのに流産してしまったという悲しいことを防ぐ効果もあります。
Q2.市販薬の漢方薬ではだめですか?
A. 自分に適した漢方薬を服用するためにも漢方専門の漢方薬局で相談されることをお勧めします。
Q3.男性不妊にも漢方は効きますか?
A. 男性にもおすすめできます。
男性に対しても体質を改善し、よく動く、元気な精子をつくる手助けをします。漢方薬で血行を改善すると、精子にも栄養がよく届くようになります。また、ストレスの影響で精子の状態が劣化していることもあるかもしれません。漢方薬で気の流れを改善すれば、質の良い精子になる可能性があります。生殖機能の強化やストレスによる性機能障害にも漢方薬は作用します。
ご夫婦で服用される方もいるようです。以下の記事に詳細がありますので、よろしければ読んでみてください。
Q4.どれぐらい飲めば妊娠できますか?
A. 個人差があります。服用後の周期で妊娠する方もいます。卵胞の発育の過程を考慮すると、4か月~半年服用するつもりでいると良いでしょう。
まとめ|高齢不妊とは?漢方薬局での治療とよく使う漢方薬について解説!
この記事では、不妊の原因や漢方薬局と医療機関の治療方法の違い、高齢不妊で漢方薬を使うときよくある疑問について、解説してきました。
妊娠を考える年齢が上がったために、卵子も精子も老化して、不妊に悩むカップルが増えています。漢方薬は、妊娠から出産までを考えてトータルな体づくりをしてくれるので、病院で不妊治療をしている方や病院に行く前に妊娠しやすい身体作りをしたいという方にもとても有益です。「不妊症かな?」と気になっている方は、どうぞ、一度漢方薬の専門薬局へ相談されることをおすすめします。