原因不明の不妊症に対して漢方でできること

この記事の監修者
片山智子
漢方薬なごみ堂 / 漢方薬剤師
片山 智子
東京・横浜・札幌などで漢方薬の経験を積んで参りました。 女性薬剤師として、女性ならではのデリケートなお悩みをご相談ください。お身体の状態をよく伺った上で、あなたに合った漢方薬をご提案させていただきます。 なかなか相談できない…などと一人で悩まずに、一度ぜひご来店ください。

【1】不妊に対する東洋医学の考え方

(1)東洋医学が目指しているもの

不妊治療を行うにあたって、一般的には病院やクリニックで検査を行い、原因となる点を改善するために投薬や手術を行い、妊娠を目指すのが西洋医学の不妊治療です。

一方で、漢方をはじめとした東洋医学においては「身体が本来持つ自然治癒力や生命力を高める」ことを目指して治療を行います。

体の不調を内側から、根本的に治すことを目指し治療を行うため、体質の改善や、根本的な原因の治療を目指し根気強く治療を行っていきます。

(2)東洋医学と西洋医学の違い

東洋医学と西洋医学で最も大きな違いは、治療についてのスタンスとなります。

西洋医学においては、明確な症状が出ていたり、原因がはっきりと分かっていたりする病気に対して、その症状や病気に対して効果のある薬を使った治療を行います。

一方で、東洋医学では「何となく体調が悪い」など、原因がよく分からない症状や病気に対し、自然治癒力を高める漢方薬を用いた治療を行います。

また、西洋医学では、悪い部分を手術や薬で除去する事を治療としているのに対し、東洋医学では、自然治癒力を高める事や病気の予防が治療のメインとなっている点も、大きな違いとなります。

東洋医学西洋医学
症状なんとなく悪い

原因がわからない

明確な症状

原因が判明している

治療方法自然治癒力を高める効果のある薬を摂取する

(2)原因不明の不妊症について

不妊症の治療にあたって、西洋医学の観点から様々な検査を受けたが、原因がわからず、治療も進まず困っているという話をよく耳にします。

こうした原因不明の不妊で悩む方には是非東洋医学でのアプローチをおすすめしたいと考えています。

従来の不妊治療でなかなか効果が得られなかった症状に対して、漢方を用いた体質改善や本来持っている自然治癒力を高める治療が効果を発揮し、成果を得られたケースが多数あります。

治療方法の選択肢として漢方を用いた治療もご検討ください。

【2】東洋医学が大切にしていること

(1)大事なのは身体を”調える”こと

東洋医学の考え方においては、身体が調っていないと、さまざまなところに影響を及ぼす可能性があるとされています。

そのため、何よりまずは身体を調えていくことが重要であると考えられています。

不妊治療にあたっても、妊娠に向けて健康な身体へと調えていくことが主な漢方の役割となっており、特別なことをするわけではありません。

(2)妊娠の可能性を高めるためにゆっくり体質改善

不妊症に対しては、病院やクリニックでの対症療法的な治療(ホルモン療法や人工授精など)が一般的に実施されています。

一方で、東洋医学の観点においては、お一人おひとりの体質、体型、生活環境に応じて様々な漢方薬を選び、その人に適切な治療を行うことを目指しています。

お一人おひとりの状態に合わせて丁寧に処方し、ゆっくりと体質を改善していくことが重要であるという考え方のもと、「妊娠の可能性を高めること」に注力するのが東洋医学のアプローチです。

漢方薬なごみ堂でも、お悩みのご相談をいただく際には、まずはじっくりお話を伺っています。

【3】不妊に至るタイプ別の症状

東洋医学においては、妊娠を難しくしている原因となる不調をタイプごとに分けて判断をしています。お一人おひとり異なる不調を抱えておられますが、大きく分けると4タイプに分けることができます。

(1)腎虚(じんきょ)

東洋医学において成長・発育・生殖などに関わる泌尿器・生殖器・腎臓などの機能を「腎」と呼びます。

「腎」の機能が低下したり、不足している状態を「腎虚」と呼びます。

年齢、ストレス、栄養不足、睡眠不足などが要因となって、腎虚が進行すると、女性ホルモンの分泌や卵巣の機能が低下し、妊娠が難しくなることがあります。

(2)瘀血(おけつ)

瘀血とは、血液の循環が悪くなる状態を指します。

血液の循環が悪化することで卵巣や子宮への適切な栄養供給が困難になることで妊娠が難しくなることがあります。

また、下半身の冷えや月経の異常、さらには子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患の原因となります。

(3)気血両虚(きけつりょうきょ)

妊娠には血液だけでなく気のエネルギーも重要です。

気血両虚の状態では、子宮や卵巣への栄養供給が不足してしまい、健康な卵子や子宮内膜の形成が難しくなることで妊娠が難しくなります。

(4)肝気鬱結(かんきうっけつ)

ストレスが原因で気の流れが滞る状態(気滞)であり、全身の機能低下や瘀血、特に女性の場合は月経の異常や生理痛、胸の張りなどの症状が現れることがあります。

【4】漢方にできること

タイプ別の不妊の症状に対して、漢方薬ができることは体調を調えて症状を徐々に改善させることです。特に下記の3点が漢方薬の強みとして挙げられます。

(1)卵子や精子の質をよくする

骨盤内の血流量を増やし、卵巣や精巣に安定的に栄養が届くようにサポートしたり、卵子や精子の栄養となる「気」「血」「精」といった栄養物質を補います。

(2)子宮内膜を元気にする

質のよい子宮内膜にするために、子宮の血流を安定的に維持し、子宮内膜の発育や着床のための変化をサポートします。

(3)年齢に伴う機能低下を改善する

妊活する年齢層が上がっている状況において、加齢による体の変化をサポートすることが大変重要です。東洋医学では生殖機能である「腎」の働きを助ける「補腎」という方法を使って、加齢による機能低下を支えていきます。

【5】漢方薬についてのよくある質問

Q:不妊治療で婦人科にも通院中ですが漢方薬も併せて使うことはできますか?

A:漢方薬と病院のお薬を併用することで、より効果が高まったり副作用を軽減することもあります。

まずは、漢方専門の薬剤師にご相談ください。

Q:すでに長期に渡って不妊治療を続けています。漢方薬は、長く飲み続けないと効かないと聞きますが本当ですか?

A:お血を改善することで血の流れが良くなり冷えなどは比較的早く改善されます。

卵巣機能の改善などは、3~6か月前後はかかると思われます。

このように、どこに効果が表れるかで、改善の期間も違ってきます。

【6】漢方薬なごみ堂のご紹介

(1)まずはしっかりとお話を伺います。

漢方薬なごみ堂では皆さんのお悩みの症状・体質・病気の経過についてを経験豊富な専任の薬剤師が詳しくお伺いします。

しっかりとお話をお伺いすることで、お客様の現在の状態を確認し、無理なく体質改善できる方法をご案内しております。

(2)厳選された生薬で作られた漢方薬をご提供いたします

ご提供する生薬には特にこだわり、上質な生薬で作られた漢方薬をご提供いたします。また伺ったお話を吟味し、症状や体質に合わせてしっかりお選びいたします。

(3)服用開始から経過観察、結果が出るまでサポートいたします。

服用中・服用後などのご様子もお伺いし、その都度症状への不安を解決するお手伝いをいたします。

体調の変化や効果の有無などを一緒に相談しながら、お一人おひとりにあわせたご提案を差し上げることを目指しています。