妊活に取り組んでいる方であれば、生理周期の把握や健康状態の確認のために、日常的に体温を気にしている方も多いのではないでしょうか。
妊活にあたって基礎体温の記録をとることをおすすめされることも多いと思います。
妊活に取り組む際に苦戦する点として「低体温(冷え体質・冷え性)」が挙げられます。身体の「冷え」は様々な不調の原因とされており、妊活においても悪影響があると言われています。
こうした「冷え」に悩む人に注目されているのが温活です。
身体の「冷え」に悩む方に是非知って欲しい温活についてご紹介します。
【1】「温活」とは
「温活」とは日々の生活習慣や食生活を見直して体温を高め、美容と健康の促進を目指す活動を指します。
①「温活」が注目されている理由
昔の人と比べると現代人の基礎体温は低くなっているといわれています。
およそ1.0℃前後、基礎体温が低くなっているといわれており、現代人の平熱が低めであることがわかるでしょう。
一般的に体温は36.5℃以上が理想だといわれており、平熱が36.5℃以下の場合、冷えによって体調不良が起こる可能性も高くなるとされています。
こうした体温低下に伴う体調不良を改善したい人たちの間で取り組む方が増加しているのが「温活」です。
②「冷え」の原因
(1)筋肉量が少なくなっている
基礎体温低下の背景として「筋肉量が少なくなっている」ことが原因の一つとされています。筋肉量が少ないと、体内で熱が作られにくくなり、冷えを感じやすくなります。
また、筋肉が基礎代謝量の多くを生み出すため、筋肉が少ないと基礎代謝量が低下し冷えやすくなります。
日常的に運動する機会が減っていたり、過度なダイエットによって筋肉量が減少すると冷えにつながるため注意が必要です
女性に冷えを感じる人が多いのも、男性と比べ女性の方が筋肉量が少なく脂肪が多いためであるとされています。
(2)食生活の乱れ
食べ過ぎや偏食も冷えを感じる原因とされています。
食べ過ぎによって消化のための血液が胃腸に集中すると、筋肉をはじめとした他の体内器官に血液の供給が滞ってしまうため、熱がつくられにくくなり、冷えを感じることに繋がります。
また、偏食によって摂取する栄養素の偏りが生じ、鉄分やビタミンが不足してしまうことで血流が悪くなることも冷えの原因の一つであるとされています。
(3)自律神経の乱れ
日々のストレスや寝不足によってホルモンバランスが崩れ、自律神経の乱れに繋がります。自律神経が乱れることで血流が乱れ、体温調整機能が不安定になることが冷えの原因となっています。
(4)水分の摂取と排出のバランスが不安定であること
摂取する水分の量と排出する水分の量のバランスにも気をつける必要があります。
一般的に、水分は多く摂ったほうがいいといわれていますが、これは体内の不要な水分を排出できる体質の方には効果的な考え方になります。
体が冷えている場合は、汗をかきにくくなるため、不要な水分を体外に排出しにくくなり水分過多となっています。
水分が体内に溜まると冷えを感じやすくなります。
【2】「冷え」による悪影響
①「冷え」による悪影響
昔から体の冷えは「万病のもと」とも考えられており、体温が低下することで、体調不良が起こりやすくなるといわれています。
症状や程度は人によって様々ですが、肩こりやむくみといった不調、免疫力の低下、生理不順などの症状などを引き起こすとされています。
②「冷え」が不妊につながる理由
冷えは体内器官への血液供給の滞りや、血流の悪化が原因の一つとなっています。血液の流れが乱れることで卵巣・子宮に栄養素が行き渡らないことや、女性ホルモンの分泌が悪くなることで生理不順や子宮内膜症など、不妊につながる症状や病気となる可能性が高まります。
【3】漢方を用いた温活
①東洋医学の「冷え」に繋がる考え方
東洋医学において、体の表側である皮膚や筋肉の部位を“表”と捉え、体の内側である消化管などの内臓を“裏”と捉えています。
“裏寒”とは、主に消化管などの内臓が冷えることによって機能が低下している状態のことです。
東洋医学では、“気・血・水”という考え方に基づき体の状態を捉えます。
目には見えない生命エネルギーを“気”、主に血液のはたらきを“血”、水分代謝や免疫に関わる部分を“水”と表します。
また漢方には五臓(肝、心、脾、肺、腎)の考え方があり、生殖機能は五臓の中では腎に含まれます。
腎の機能が低下した状態は腎虚(じんきょ)と呼ばれ、腎虚になると男女共に生殖機能が低下し、卵子の老化や精子の老化が始まります。
裏寒の手前では、“水”が滞って、まるで毒のように体にはたらきかけてしまう“水毒”という状態になることがあります。
水毒になり、体に水分がたまりやすい状態になると裏寒になりやすく、食欲が低下し栄養不足になることがあります。
栄養不足は免疫力や精神力の低下につながり、結果不妊の一因になる場合があります。
こうした東洋医学の考えに基づく冷えにつながる症状が3点ありますのでご紹介します。
②「冷え」に繋がる症状
東洋医学において、冷えにつながると考えられている原因と症状は大きく分けて3点あります。
気虚 ききょ | エネルギー不足によって、熱が生まれにくくなっている。 疲れやすく、カゼを引きやすい、寒がりといった症状を伴う。 |
瘀血 おけつ | 血液の流れや働きに障害が起こり、熱が運ばれにくくなっている。 便秘気味で月経痛や肩こり、肌荒れなどを伴う。 |
水毒 すいどく | 体の水分量が多かったり、偏ったりしているため、水分がたまっているところに冷えが起きている。 頭痛や頭重感、むくみ、耳鳴り、頻尿などを伴う。 |
主に上記3点を軸に体質や状態、冷えに伴うほかの症状などを考慮して、その人にあった漢方薬が選定されます。
③温活に用いられる漢方薬
「冷え」改善に向けて用いられる代表的な漢方薬をご紹介します。
(1)芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
血流を改善する活血剤、血液を補う補血剤、ストレスを上手く流していく、理気剤がバランスよく配合されています。
ストレスによる生理不順や、多嚢胞性卵巣症候群の方に適しています。また胃腸を整える補気剤も配合されているため、胃腸の弱い方でも安心して服用いただけます。
(2)芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)
血液を補う補血剤と、不正出血の改善の止血の働きの漢方薬が配合されています。
貧血傾向にある方や、生理前にいつも少しの出血があって生理が始まる、黄体機能低下の方の改善に使用される漢方薬です。
(3)温経湯(うんけいとう)
呉茱萸や生姜などの散寒剤が配合され、身体を中から温めてくれます。
また補血剤の当帰、川芎、芍薬、の配合もある為、血液を補いながら、
身体全体の機能を高めてくれます。
【5】漢方薬なごみ堂のご紹介
今回の記事では「温活と漢方」についてご紹介いたしました。
漢方薬なごみ堂では皆さんのお悩みの症状・体質・治療歴、月経周期、などを専任の薬剤師が詳しくお伺いします。
しっかりとお話をお伺いすることで、お客様の現在の状態を確認し、無理なく体質改善できる方法をご説明します。
また、服用中・服用後などのご様子もお伺いし、その都度症状への不安を解決するお手伝いをいたします。
今回ご紹介いたしました「冷え」ひいては「不妊」の症状にお悩みの方は是非一度お話しをお聞かせください。改善の糸口をご提案させていただきます。