「女性の不妊症って漢方薬で治療できるの?」
「どんな原因でも飲む漢方薬はいっしょなの?」
と考えている女性の方もいるのではないでしょうか。
使う漢方薬は不妊の原因や服用する人の体質によって違います。
しかし注意点もあるので、それらに配慮しながら服用しましょう。
この記事では、女性の不妊症の原因、原因別おすすめ漢方薬、女性が漢方薬で不妊治療する場合の注意点
について、解説します。この記事を読むと、女性が漢方薬で治療する場合の詳細が理解できます。
女性の不妊症の原因とは?
不妊の原因は、男性、女性、その両方、またはどちらにもないという場合があります。
ここでは不妊症の原因について、説明します。
不妊症の原因は、以下の表のとおりです。
【不妊症の原因】
原因 | 主に該当する人 |
1.夫婦生活 | 男性・女性 |
2.精子・受精卵の状態 | 主に男性 |
3.卵管の状態 | 主に女性 |
4.排卵の状態 | 主に女性 |
5.卵子・受精卵の状態 | 主に女性 |
6.着床 | 主に女性 |
妊娠を望んでいる健康な男女が避妊せずで性交していても、一定期間妊娠しない状態が「不妊」です。
この「一定期間」を日本産科婦人科学会では一年間と定義しています。
不妊症の中で夫婦生活に原因がある場合には、男性がEDで夫婦生活が行えない、女性の生理痛がひどくそれが原因で慢性的な腹痛や腰痛に至り夫婦生活が営みにくくなったなどがあげられます。
また排卵の状態がストレスや体調不良の影響を受けることはよくあります。
それは心身状態がホルモン分泌に影響を与えるからです。
女性の子宮頸管という部分は、子宮の出口を閉めて防御している筒のような部分です。
排卵が近づくとこの部分の粘液が精子の通りやすいように変化しますが、粘液の分泌が少なかったり、精子の貫通に望ましくないと精子は侵入しにくくなり、妊娠は起きにくくなります。
子宮筋腫や先天的な形態異常があると子宮内膜の血の巡りが悪かったり、過去に手術や炎症による癒着などがあったりすると、子宮内に受精卵がたどつき着床しても育つことを妨げるようとします。
「参考:日本産婦人科学会|不妊症」
【女性の不妊症の原因別】おすすめ漢方薬
女性の不妊症に使う漢方薬は、服用する人の体質のほか、原因によって違う場合もあります。
ここでは、女性不妊症に使う漢方薬を原因別に紹介します。
紹介する漢方薬は例なので、あくまでも参考にとどめてください。
夫婦生活
もともとの原因が月経痛である場合には、患者さんの月経痛を改善する漢方薬を使います。
病院の婦人科領域で処方されることが多い漢方薬には、以下のものがあげられます。
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
これらは俗に「婦人科三大処方」と呼ばれる漢方薬です。
しかし、漢方薬は自分の体質にあった処方を服用することで、効果が表れますので、
漢方専門の医師、薬剤師に相談して、服用する処方を決めることをお勧めします。
排卵の状態
排卵の状態を診るには、基礎体温を測定したり、採血してホルモン量を調べます。
黄体刺激ホルモンが高く、超音波検査で小さい卵胞がたくさんある場合は、多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)の可能性があります。
多嚢胞性卵巣症候群でかつ肥満の場合は、体重が少しでも減ると自然排卵することがあるので、ダイエットをすすめる場合もあります。
卵巣機能が低下している方は排卵誘発剤を使うときも、漢方薬治療を併用することで反応がよくなることはよくあります。
卵子・受精卵の状態
腎虚(じんきょ)とは、子宮・卵巣という生殖機能に関係する腎の働きが弱い状態です。
腎虚だと卵子の質や性機能の低下などが起こり、受精しても成長できない、着床できない、着床しても育たないことがあります。
このような場合には、八味地黄丸や六味地黄丸、亀鹿仙を服用いただく事で、改善をはかります。
着床
受精卵(胚)は子宮の中に到達すると、子宮内膜にもぐり込んで根を張り、成長します。
これを着床といい、通常、着床が妊娠の開始です。何らかの理由で着床しない事を着床障害と言います。
着床し妊娠しても流産を繰り返してしまう場合には、不育症の可能性があります。
着床できない理由によって使う漢方薬は違いますが、血虚(けっきょ)である場合には温経湯、四物湯、腎虚である場合には六味地黄丸や八味地黄丸、腎馬補腎丸などを使います。
ストレス
女性不妊で問題となりやすいのがストレスです。
生殖機能は脳の視床下部でコントロールされていますが、個体の中での優先順位は低く、ストレスが強いと生命維持のため、生殖は後回しになってしまうのです。
ストレスについては、日常生活で軽い運動や入浴というケアでも対処できますが、あわせて漢方薬を使うのも効果的です。
ストレスによる症状は、疏肝解鬱剤の加味逍遙散や半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、四逆散(しぎゃくさん)などで対応します。
まとめ|女性の不妊症を漢方薬での妊活は?
女性の不妊症の原因、原因別おすすめ漢方薬、女性が漢方薬で妊活する場合の注意点について、解説してきました。
服用する漢方薬は原因や服用する人の体質によって違います。使うときには注意点もあるので、それらに配慮しながら服用しましょう。
なごみ堂漢方薬局では、妊娠力をあげるサポートをしています。
自分で判断して合っていない市販の漢方薬を購入して服用しても、もともとの力を削いだり、副作用が起きたりする心配もあります。
病名で選ぶことなく、漢方薬局の東洋医学に詳しい薬剤師などに相談してください。
不妊の原因を見極めるほか、妊娠しやすい体づくりもサポートします。