漢方薬局での妊活、周期療法とは。

この記事の監修者
片山智子
漢方薬なごみ堂 / 漢方薬剤師
片山 智子
東京・横浜・札幌などで漢方薬の経験を積んで参りました。 女性薬剤師として、女性ならではのデリケートなお悩みをご相談ください。お身体の状態をよく伺った上で、あなたに合った漢方薬をご提案させていただきます。 なかなか相談できない…などと一人で悩まずに、一度ぜひご来店ください。

「漢方薬局の不妊症のための漢方薬ってどのくらいの期間、飲めばいいのだろう?」

と考えている女性の方もいるのではないでしょうか。

 

漢方薬の効果が出て妊娠に至るまでの期間は、人によって違います。早い人だと1か月、長い人だと3年くらいだと言われています。

漢方薬局では不妊症治療に周期療法などを取り入れて、効果的な妊活をしています。漢方薬を使ってみたい人は、検討してみてもいいでしょう。

 

この記事では、漢方薬局の不妊治療にかかる期間、漢方薬局の不妊症周期療法、不妊症周期療法の特徴について、解説します。

この記事を読むと、漢方薬局の不妊治療の詳細が理解できます。

漢方薬局の不妊治療は早いと1周期、1年間が目標

漢方薬の効果が出て妊娠に至るまでの期間は、人によって違います

早い人だと1月経周期、1か月ですが、長い人だと3年くらいかかるとも言われています。

 

年齢や不妊の原因、体質、体の状態、不妊症治療歴等からその人に合わせた方針を立て、必要な漢方薬や量を決めて、妊娠に向けた体づくりをするのが漢方です。

一般的に中医学では、治療期間は発症までの期間と同じくらいかかるという考え方をします。

急に発症した症状であれば短期間で改善することが普通ですが、慢性症状の場合は半年から年単位の期間がかかります。

 

妊娠のために服薬する場合は半年ぐらいから少しずつ身体の変化を実感できることが多いですが、症状や飲んでいる漢方薬の種類、生活習慣の改善度合いによってもいろいろです。

すぐに効果が出なくても、まずは6か月から1年間を目標に服用するつもりでいましょう。

 

漢方薬局の不妊症周期療法について

漢方薬局で取り入れている不妊症周期療法とは、漢方薬を使って月経周期を整えて、妊娠しやすい身体づくりを行う方法です。

不妊治療以外にも、月経痛や月経不順、PMSなどに幅広く使われています。

 

ここでは、漢方薬局の不妊症周期療法について紹介します。

ぜひ参考にしてください。

 

月経期

月経周期の最初の3日〜7日間には、主な粘膜層を全部はがし、経血として体外に排出します。

卵巣から月1個ずつ出される卵子を新しい環境で迎えられるように、子宮内膜を再生する前段階です。

 

この時期には活血薬(かっけつやく)と呼ばれる生薬を用いて、子宮内膜を徹底的にきれいにします。

前周期のホルモンなどの残留による不必要な増殖を防止して、子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患を予防したり治療したりする意味もあります。

 

活血薬と呼ばれる生薬の例は以下のとおりです。

 

【活血薬と呼ばれる生薬】

  • 丹参(たんじん)
  • 川芎(せんきゅう)
  • 紅花(こうか)
  • 牡丹皮(ぼたんぴ)など

 

活血薬と一緒に理気薬(りきやく)を服用すると、子宮の筋肉や血管の運動のリズムを整えるので、スムーズに排出でき、月経痛を和らげられます。

 

理気薬と呼ばれる生薬の例は以下のとおりです。

【理気薬と呼ばれる生薬】

  • 木香(もっこう)
  • 香附子(こうぶし)
  • 紫蘇葉(しそよう)など

 

月経期には、活血薬+理気薬の漢方薬を服用します。

 

低温期(卵胞期)

月経期の後の約1週間から10日間の低温期(卵胞期)には、子宮に新しい粘膜層が再生卵巣では1個の卵胞が成熟する必要があります。

子宮粘膜層へ血液を送り、卵胞から分泌される卵胞ホルモンの作用を受け、栄養素を細胞や組織へ組み込んでいきます。

 

この時期に使用するのは、陰を補う滋陰薬(じいんやく)や補血薬(ほけつやく)と呼ばれる生薬です。

 

滋陰薬や補血薬と呼ばれる生薬は以下のとおりです。

 

【滋陰薬と呼ばれる生薬】

  • 山薬(さんやく)
  • 熟地黄(じゅくじおう)など

 

【補血薬と呼ばれる生薬】

  • 当帰(とうき)
  • 芍薬(しゃくやく)など

 

月経期で失われた血液を回復させ、末梢の血流量を増やして、栄養素やホルモンが子宮と卵巣へ届くように促します。

子宮の収縮や出血が不用意に起きないように安定させる働きもあるので、滋陰薬+補血薬の組み合わせは妊娠・出産に役立ちます。

 

排卵期

月経周期の中間にある数日間には、卵巣は成熟卵胞から卵子を排卵し、黄体を作り、低温期から高温期(黄体期)へ移行します。

血液中の卵胞ホルモン濃度が増えると脳は卵胞の成熟を知り、卵巣へホルモンで指令を出し、排卵を促し成熟卵胞を黄体に変化させます。

黄体からはホルモンが分泌されて、高温期へ移行するのです。

 

この時期に使う生薬は、活血薬と理気薬です。

この2つを再び使うことでホルモン分泌の連係プレイを円滑に確実にし、排卵や黄体への変化へとつなげます。

 

高温期(黄体期)

月経周期後ろ半分の約2週間の高温期の役目は、受精卵が発育しやすい環境を整えることです。

子宮内膜に再びできた分泌腺の働きによって栄養素いっぱいの分泌液を蓄え、黄体ホルモンの働きにより、子宮内膜へ血液をたくさん運ぶように促します。

この時期にはエネルギー代謝も高まるので、基礎体温は月経期や卵胞期より0.3〜0.5℃高く維持されます。

 

この時期に使う生薬は、補陽薬です。

 

補陽薬と呼ばれる生薬は以下のとおりです。

 

【補陽薬と呼ばれる生薬】

  • 桂皮(けいひ)
  • 附子(ぶし)
  • 黄耆(おうぎ)など

 

不妊治療の周期療法では、妊娠に適した条件を整えるために、数多くの漢方処方から選び抜かれたものだけを使います。

 

以下に不妊症と周期療法の説明がありますので、読んでみてください。

不妊症周期療法の特徴

ここでは、周期療法の特徴について解説します。

 

時間をかけた女性の体づくりを目標にしている

不妊症周期療法は、女性の体調を長期的に整えることが目標です。

周期療法は月経周期に着目して女性の体内環境を整えます

 

卵子は身体の中で作られているので、受精し妊娠・出産に至ることのできる質の良い卵子であるためには、まず女性の体が健康であることが大切です。

普段の食事や運動、ストレス管理などの生活習慣の改善に取り組むことで、妊娠しやすい状態に自然に導かれます。

 

西洋医学の治療と併用できる

西洋医学の治療と併用可能です。

西洋医学で行われている生殖治療は以下のとおりです。

 

  • ホルモン療法
  • タイミング法
  • 排卵誘発剤
  • 人工授精
  • 体外受精
  • 顕微授精

 

保険適用での体外受精や顕微授精には、回数や年齢制限があります。

制限内で治療成果を出すためにも治療に先行もしくは並行して漢方薬を始めることは理にかなったことです。

保険適用外の自費診療で治療を受ける方も、漢方薬を妊娠力アップのために活用してもいいでしょう。

 

まとめ

この記事では、漢方薬局の不妊治療にかかる期間、漢方薬局の不妊症周期療法、不妊症周期療法の特徴について、解説してきました。

漢方薬局では不妊症治療に周期療法を考慮しつつ、効果的な妊活をしています。

 

漢方薬を選ぶ場合には、病名ではなく証(体質や症状の状態、月経周期など)に合わせて選ぶのが正しい方法です。

自己判断して病名で選ぶことなく、漢方薬局の漢方薬専門の薬剤師などに相談してください。

男性の質の良い精子のためにということで、ご夫婦でいらっしゃる方もいます。

漢方薬は妊娠しやすい体づくりにも使えます。

不妊でお悩みの方はなごみ堂薬局まで、ご相談ください。