3Nov
「寝ても疲れがとれない」「朝から疲れている」「家事や仕事をする気力がわかない」――
こうした慢性的な疲労や倦怠感に悩んでいませんか?
もしかすると、それはただの「疲れ」ではなく、身体の機能が失調しているサインかもしれません。この記事では、疲労タイプ別の漢方の考え方や、おすすめの処方、改善事例まで、丁寧にご紹介します。
1.疲れが取れない…その倦怠感、ただの疲労ではないかもしれません
慢性的な倦怠感や疲れ、「寝ても疲れがとれない」「夕方疲れて一度寝ないと家事ができない」「朝から疲れてる」といったお悩みの方も多いのではないでしょうか。
以前はなかったこのような疲れの症状は、体調不良を知らせる、シグナルかもしれません。
□以前より疲れやすい
□寝ても疲れがとれない
□眠りが浅く寝ても熟睡感がない
□頭がぼーっとしている
□物忘れが多い
□不安感や焦燥感がある
□イライラしやすい
□気力が出ない
□食欲がない
□頭痛や肩こり、関節痛など痛みが多い
□むくみやすく身体が重だるい
□風邪や熱中症などをきっかけに疲労感や体調不良が続くようになった
上記のような項目に多く当てはまるり、数か月続いてい続いている方は、慢性疲労症候群と考えられます。
中医学では、このような慢性疲労を「虚労」といい、臓腑の慢性的な疲労や、気血や陰陽が不足することが要因となり、多くの慢性疲労を呈する証候の総称です。
病機(原因)として考えられることは、
生まれ持っての体質
過労、睡眠不足、
強いストレス
飲食不節(食べ過ぎ、偏食、飲酒過度)
大病の後や、こじれた風邪、コロナの後やインフルエンザの後
などが考えられます。
「臓腑失調」や「気血陰陽不足」を漢方薬で改善することで、疲れにくい体質の身体にしていきます。

2.疲労・倦怠感のタイプ(中医学では証といいます)別にみる漢方の考え方
「気虚」元気がない、疲れやすい、気力がない、息切れする、横になりたがる
「脾胃気虚」空腹感がない、食欲がない、消化が悪い、下痢、軟便
「衛気虚」風邪をひきやすく治りにくい、寝汗やいやな汗をかく
「心血虚」寝つきが悪い、眠りが浅い、夢をよく見る、動悸、焦燥感、不安感、思考力の低下
「肝血虚」めまい、目の乾燥感、筋肉のひきつり、月経不順、月経血の減少
「肝気鬱血」イライラや気分の落ち込みなど、情緒の不安定
3.倦怠感の改善に使われる漢方薬の一例
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
全身の気を補い、慢性疲労に対応(気虚)タイプに向いています。
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
気血を補うはたらきから、術後や病後の体力回復に。しかし補血剤が胃に負担がかかることもあり、胃腸虚弱の方は、適していない場合もあります。(気血両虚)タイプに向いています。
帰脾湯(きひとう)
疲れているのに眠れない、夢が多い、不安感、動悸など。(心血虚)タイプに向いています。
玉屏風散(ぎょくへいふうさん)
汗をかきやすい、風邪をひきやすい(衛気虚)タイプに向いています。
加味逍遥散(かみしょうようさん)
精神的ストレスによる倦怠感に(肝気鬱血)タイプに向いています。
六君子湯(りっくんしとう)
胃腸虚弱による疲労感に(脾胃気虚)タイプに向いています。
これらの漢方薬を組み合わせて服用いただくこともあります。
※服用の際は漢方薬専門の薬剤師にご相談ください。

4.漢方薬が選ばれる理由|根本からの体質改善
慢性的な疲れや倦怠感の改善は、漢方薬の得意分野のお悩みといえます。
病院や医療機関に行っても、薬の処方で対応できるものでもありません。
ドリンク剤などは、その時は一時的に回復したような気がしても、その時だけでおおもとの体調が改善していなければ、
やせ馬に鞭を振っているようなもので、いずれは回復できなくなり、かえって体調を悪化させ、こじらせることになります。
漢方薬は疲れがとれない、疲れやすい、倦怠感などが生じている原因である、身体の機能低下や、機能異常を根本から改善することで、疲れにくい、疲れても回復しやすい体質へ改善します。
5.漢方薬を始める前に|自分に合う処方を見つけるには?
慢性疲労や倦怠感は同じようであっても、原因やタイプは人によって違います。
漢方薬を効果的に服用するには、自分のタイプ(証)に合った処方を服用することが、とても大切です。
そのためには漢方薬専門の薬局で、詳しく症状や体質、何が原因と思われるか、どんな時に好転し、どんな時に悪化するか・・・など詳しく伝えることが大切です。
なごみ堂では適した漢方薬をお選びするため、詳しくお話をお伺いします。
遠方でご来店が難しい場合は、お電話で詳しく体質や体調などをお伺いします。
お気軽にご相談ください。
6.改善事例
45歳 男性
<<ご相談内容>>
2年前に転職して、就労時間が長くなってきたころから、疲れがとれなくなってきた。
頭痛や肩こり、頭が締め付けられる感じ、耳の詰まった感じもある。
風邪をひきやすくなり、治りにくい。
寝汗をかいて、夜中何度もおきて着替える。
熟睡感がないため、次の日の身体もきつい。
このままだと、仕事が続けることもできなくなるため体調を改善したいとご相談に来られた。
<<漢方薬服用後>>
漢方薬服用から一か月で、寝汗をかかなくなった。
そのため睡眠の質が上がり、次の日の倦怠感もとれてきた。
漢方薬服用から2か月で、頭の締め付けや、耳の詰まった感じもなくなり、
体調が通常に戻ってきた。
仕事も支障なくこなせるようになった。
58歳 女性
<<ご相談内容>>
6か月前に熱中症になり、いったんは回復したが、そのあとから、疲れがとれなくなった。
食欲も減ってきて、無理に食べると、胃にもたれて身体がきつくなる。
夕方になると、微熱が出たり、頭痛がしたりと、余計に体調が悪くなる。
体重も6か月で5キロ以上減って、体力もなくなった。
寝つきが悪く、寝付いても夜中に目が覚めて、その後寝れない。
睡眠不足から、さらに次の日に倦怠感が増す。
<<漢方薬服用後>>
漢方薬を開始一か月経過で、以前より食事がとれるようになった。食事がとれるようになったことで、気力が出て、体力が少しついた気がする。
漢方薬服用から2か月で、睡眠がとれるようになり、身体が楽になり、夕方の微熱や頭痛もなくなった。
漢方薬服用から3か月で、慢性疲労や倦怠感、体調不良がほぼなくなり、以前の通常時の体調に戻ることができた。
7.まとめ|疲労感をがまんせず、漢方で根本からアプローチ
慢性的な、疲れや倦怠感は身体からのSOSです。放置していると、疲れ以外の症状や病気に発展する場合があり、なるべく早いうちの改善が必要です。
しかしながら、疲れの原因や状況は人それぞれなので、その人に適した、対処が必要です。
疲れは身体が「虚」しており「気」や「血」を巡らす力が低下し、身体の機能が失調した状態です。
漢方薬で身体の機能を回復し心身ともに活力のある毎日を取り戻しましょう。
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