16Mar
「急に強い尿意が起こる」「トイレが近くて外出が不安」「夜中に何度も目が覚める」——
このような症状に悩まされていませんか?
過活動膀胱は、膀胱に十分な尿がたまっていなくても急に収縮してしまうことで、頻尿や尿意切迫感、夜間尿、尿もれなどを引き起こす疾患です。特に中高年に多いとされていますが、産後や強いストレスをきっかけに発症するケースもあります。
西洋医学では薬物療法が中心ですが、副作用や長期服用への不安から、別の選択肢を探される方も少なくありません。
この記事では、過活動膀胱の原因や西洋医学的治療、そして漢方での考え方や改善事例、生活習慣のポイントまでわかりやすく解説します。
過活動膀胱とは?どのような症状か
過活動膀胱とは、膀胱が過敏になって膀胱に尿が十分にたまっていないにもかかわらず、意思とは関係なく、膀胱が収縮する状態です。そのため、急に尿意をもよおしたり、頻繁にトイレに行きたくなったりということがおきやすくなります。
主な症状は以下のように分類され
◯尿意切迫感
急に強い尿意が起こる
◯昼間の頻尿
日中起きているときも頻繁に尿意をもよおしトイレに行く
◯夜間尿
寝ているときに2回以上尿意で目が覚める
◯切迫性尿失禁
急に尿意がおこり、トイレまで我慢できず漏れてしまう
男女ともに起こりますが、特に中高年に多い傾向にあります。

過活動膀胱の原因|なぜ尿意がコントロールできなくなるのか
◯膀胱の神経の過敏
膀胱の神経が膀胱に少しの尿が溜まっただけでも、過敏に反応するため、溜まった尿が少しでも、強い尿意が発生します。
◯加齢による変化
年齢とともに、膀胱の容量が小さくなります。
また女性はエストロゲンの低下に伴い粘膜が弱り、萎縮しやすくなり
男性は前立腺肥大により、尿道を圧迫し、過活動膀胱につながりやすくなります。
◯自律神経の乱れ
排尿は自律神経(交感神経、副交感神経)がコントロールしています。
睡眠不足やストレスで、自律神経のバランスが崩れると、急な尿意や、頻繁な尿意が おきやすくなります。また過去に急な尿意に襲われた、漏らしてしまった、といった嫌な経験が、症状を悪化させる大きな要因になっている場合もあります。
西洋医学での治療とよくある悩み
西洋医学での治療は抗コリン薬などの薬物療法がありますが、口の渇きや、便秘、目のかすみなどの副作用があり、服用に抵抗がある方もいらっしゃいます。
また長期服用による、認知機能の低下が懸念される事もあり、特に高齢者は注意が必要です。
漢方で考える過活動膀胱の原因
過活動膀胱の原因を中医学的に考えると以下のように考えられます。
◇腎虚
五臓(肝、心、脾、肺、腎)での腎とは泌尿器系、ホルモン、神経系を司ります。
よって腎虚になると頻尿や多尿、夜間尿、尿失禁が起こりやすくなります。また腎虚はになると、ホルモン分泌が減少する事により、膀胱の柔軟性が減少し、尿意をもよおしやすくなります。
◇気滞、肝気鬱血
過去の尿意や排尿に関するいやな経験がストレスとなり、症状の悪化を招く事があります。
またストレスにより自律神経が乱れることで、尿意を感じやすくなることがあります。
◇気虚
気虚になると、内臓全般が下垂傾向になり、膀胱を圧迫して、尿意を感じやすくなることがあります。
出産後や、更年期、高齢者に多い傾向があります。
◇陽虚
身体が冷えることで、膀胱の神経が過敏になりさらに尿意を感じやすくなります。
「腎虚」「気滞」「肝気鬱血」「気虚」「陽虚」などの体質のゆがみを漢方薬で調整する事で、過活動膀胱による頻尿を改善していきます。
過活動膀胱に用いられる漢方薬の一例
八味地黄丸(はちみじおうがん)
加齢や冷えを伴う頻尿。腎虚や陽虚タイプに効果的です。
清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
不安やストレスが原因と思われる頻尿に効果が望めます。
猪苓湯(ちょれいとう)
排尿違和感や炎症傾向があり、膀胱炎を機に、頻尿が改善されない方向けです。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
気虚などによる内臓下垂による、頻尿に効果がある。産後や病後などの体力低下に伴う頻尿。
※これらの処方を組み合わせて服用いただく場合もあります。
漢方薬は体質に合わせて服用することが大切です。服用の際は、漢方薬専門の薬剤師に相談し服用開始してください。

漢方薬はどのくらいで効果が出るのか
頻尿の症状が出始めて何年も経過した人と、数週間前から症状が出始めた方では、改善までの期間は当然違ってきます。慢性度が高い方は、改善にも時間がかかります。
おおよその目安としては、漢方薬服用開始から、2週間から4週間で効果を感じられる方が多いです。しっかり体質が改善され、再発しないようになるには、3から4か月を目安としてください。
また過活動膀胱は後で書きますが、生活習慣の改善も大切です。生活習慣も見直しながら、漢方薬を服用することで、症状の改善をスムーズに進めることができます。
漢方薬なごみ堂でのお客様の実例
41歳
<<ご相談内容>>
第2子を出産後、頻尿になった。産後すぐは体調の変化もあり、仕方がないと思っていたが、産後半年たっても頻尿は変わらない。
産休が終わり仕事に復帰しないといけないが、教師という仕事柄このままでは仕事に支障をきたす。
産後は頻尿以外にも、疲れやすい、だるい、抜け毛、ふらつきなどがあり、体調が良くない。育児や家事も身体がきつくてつらい。漢方薬で頻尿やその他症状を改善して、仕事に復帰したいとご相談に来られた。
<<漢方薬服用後>>
漢方薬は、補気剤、補血剤、補腎剤を服用いただいた。漢方薬服用開始から、2週間経過で、頻繁だった尿意の回数が少なくなってきた。服用開始から3か月で、頻尿は全くなくなった。だるさや、疲れ、抜け毛、ふらつきなども、そのころには全くなくなり、出産前と変わらぬ体調に戻れ、家事や育児も無理なくこなせるようになった。安心して職場に復帰することができると、喜んでいただけた。
<<考察>>
妊娠出産という女性にとっての大きな身体の変化で、体質にも変化が起こり、気血が消耗され、腎虚を引き起こしたと思われます。
気血を補う補気剤や、補血剤、ホルモンバランスを整える補腎剤を服用いただくことで、体質が以前のように回復し、症状の改善が見られました。
63歳
<<ご相談内容>>
3か月前に電車に乗って、急に尿意をもよおしたが、停車駅まで我慢できないのではないかと感じ、あやうく漏れそうになった。それ以降、出かけるときに、またそうなるのではないかと不安になる。すぐに膀胱に尿がたまったような気がして、トイレに行くが、行っても多くは出ない。いつもトイレを探して行動するようになった。友達との旅行の予定があるが、トイレのないバスや、長距離の移動が不安と相談に来られた。
<<漢方薬服用後>>
漢方薬は補腎剤と、理気剤を服用いただいた。
服用から1か月で、尿意をもよおす回数が減ってきた。骨盤底筋を鍛える体操もなるべくするようにした。服用開始から2か月経過で、頻尿も改善され、出かける前の不安感などもなくなり、トイレばかりを探すこともなくなった。漢方薬服用から3か月経過で友達とバス旅行に行った。
楽しく行くことができた。
<<考察>>
加齢による腎虚と、過去の嫌な経験による、不安感が重なり、過活動膀胱になったと思われます。補腎剤や、理気剤を服用いただくことで、速やかに改善されました。
過活動膀胱を悪化させない生活習慣
◇体を冷やさない
下半身を冷やさないように、カイロなどを活用する。
入浴は湯船につかり、身体の深部まで温める
冷たい飲食物は、身体から熱をうばいます。冷えの原因になるためなるべく控える。
◇カフェイン、アルコール、刺激物の摂取をなるべく控える
◇骨盤底筋を鍛える
骨盤底筋を鍛えることで、膀胱を支える筋力が上がります。ケーゲル体操(骨盤底筋体操)を日常の生活に取り入れるようにしましょう。運動することで、ストレス発散にもなります。
まとめ|頻尿や尿意の悩みに漢方薬による体質改善という選択肢
過活動膀胱の症状は、生活の質を大きく左右するにもかかわらず、「恥ずかしい」「年齢のせいだから仕方ない」とそのままにしてしまう方も少なくありません。
しかし、膀胱の過敏さや、ホルモンバランスの変化などは、東洋医学で考えると、腎虚、気虚、気滞などの、体質の変化やゆがみによるもので、改善につながる方法は必ず見つかります。
漢方では、症状だけでなく、体質、生活リズム、ストレス状態まで含めてうかがうことで、病院では解決が難しいお悩みに対しても、より幅広く対応できます。
お悩みに寄り添いながら、無理なく改善できるよう改善の方法を一緒に考えていきます。
お悩みの方はお気軽にご相談ください。
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