27Apr
この記事では、免疫力とは何かという基本から、低下する原因、未病との関係、漢方で考える体質の乱れ、日常生活でできる整え方まで、初めての方にもわかりやすく解説します。
免疫力とは?まず正しく理解する
「最近風邪をひきやすくなった」「風邪をひくと長引く」「疲れがなかなか抜けない」「眠りが浅い」
このように感じる方が増えています。そこでよく耳にする免疫力という言葉ですが、免疫力は「高ければ良い」というものではありません。過剰免疫になれば、アレルギーや自己免疫疾患の原因にもなります。つまり免疫力はバランスよく働いていることが大切です。
免疫とはウィルスや細菌などの外敵から身体を守る仕組みです。また身体の中では毎日小さながん細胞が発生していますが免疫機能が働くことで、増殖、癌を発症することなく、健康な身体を維持しています。
また私たちの身体には生まれつき備わっている、「自然免疫」と後天的に獲得される「獲得免疫」があり、これらが連携して身体を守っています。
しかしこのバランスが崩れると、感染症にかかりやすくなったり、アレルギーなど過剰な反応がおこることもあります。
免疫力が低下すると起こりやすい症状としては
風邪をひきやすい
疲れやすい
肌荒れ
消化不良、胃腸障害
などが現れます。

免疫力が低下する原因とは
自然免疫は生まれつき備わった防御システムですが、その働きは日々の身体の状態によって大きく左右されます。近年、自然免疫の中心的役割のNK(ナチュラルキラー)細胞の存在が注目されています。NK細胞はウィルスに感染した細胞や、癌細胞をいち早く察知して、攻撃排除する働きを持っています。このNK細胞は睡眠不足や、強いストレス、加齢などの影響を受けて、低下することが知られています。
また自然免疫と深くかかわっているのが「腸内環境」です。腸内細菌と免疫は密接に連携しています。腸内環境が整っていると、異物に対する過剰な反応をおさえつつ必要な防御を行うというバランスの良い免疫が維持されます。そのため、食生活の乱れや、ストレスによる胃腸機能の低下も免疫バランスの低下につながります。
検査では異常がないのに不調が続く理由
「疲れやすい」「風邪をひきやすい」といった不調で医療機関を受診しても、血液検査や画像検査では異常が見つからないため、気のせいですといわれてしまうことが少なくありません。
こうしたサインは身体のバランスが崩れ始めている初期段階とも言え、放置するとやがて明確な病気へと進行する可能性があります。身体はすでにバランスを崩しているものの「病気」と診断される前の未病の状態にあると考えられます。未病の背景には、ストレスや生活習慣の乱れ、加齢、冷えなどが関与し、自律神経やホルモン、免疫のはたらきが微妙に乱れている状態といえます。
漢方薬ではこの「未病」の段階で適切に対処することが大切と考えます。
漢方で考える免疫力|気・血・水のバランス
未病とは「まだ病気と診断される段階ではないが、健康とも言い切れない」血液検査や画像検査では明らかな異常が見つからない・・・そのようなグレーゾーンが未病です。
そのようなとき身体の中ではどのような状態になっているかを、漢方で考えると、
「気血水」のバランスが崩れ、五臓(肝心脾肺腎)の機能が低下していると考えられます。

「気」は身体のエネルギーとして、血や気を巡らすはたらき、防御する働き、身体を温めるはたらきがあります。「気虚」になることで、バリア機能が低下し、「血」や「水」の循環機能が低下し、身体が冷えやすくなったり、疲れやすくなります。
「血」は栄養を滋潤する働きから、「血虚」になると身体に栄養がいきわたらなくなり、疲れや、身体の消耗が発生します。
「水」の滞り「水滞」は身体のむくみや、冷え、身体全体の機能低下につながります。
また五臓の
「脾虚」は胃腸機能低下や、気力低下、内臓下垂などにつながり、
「腎虚」は加齢による機能低下をもたらします。
漢方薬はこれらの「気血水」のバランスを整え、五臓の機能を正常化することで、免疫力を高めていきます。
免疫力を整えるために用いられる漢方薬や中成薬
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
胃腸が弱く、疲れやすく風邪をひきやすい方。気虚タイプ向けです。
帰脾湯(きひとう)
体力低下・回復力低下。睡眠が浅い。気血両虚タイプ向けです。
玉屏風散(ぎょくへいふうさん)
風邪予防・体表の防御強化。気虚タイプ向けです。
防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)
むくみやすく、すぐに疲れる。水滞タイプ向けです。
亀鹿仙(きろくせん)
加齢による免疫力や体力低下の方に。腎虚タイプ向けです。
これらの漢方薬や中成薬を組み合わせて使う場合もあります。服用を開始される際は、漢方薬専門の薬剤師に相談の上服用を開始してください。
漢方薬はどのくらいで変化を感じるのか
漢方薬を服用してどのくらいで変化を感じるかは、個人差があります。早い方は一週間以内に身体が楽になった、疲れにくくなった、といった変化を感じます。症状の重さや、悩まれていた期間の長さにもよりますが、2週間から1か月の間で変化を感じる方が多いと思います。
免疫力の低下の改善には、体質改善の意味合いもありますから、症状が改善しても3か月から4か月は服用されることをお勧めします。
免疫力を高める生活習慣
日々の生活習慣は免疫の土台を作っています。
まず意識したいのは「身体を冷やさない」ことです。体温が下がると血流が低下し、免疫細胞が働きにくくなります。
次に「質の良い睡眠」です。睡眠中は免疫細胞が活性化し身体の修復が行われます。寝不足が続くと、疲れが抜けにくくなったり、風邪をひきやすくなります。就寝前のスマートフォンの使用を控える、決まった時間に寝る、といった習慣が免疫の安定につながります。
「胃腸を整える食事」も欠かせません。漢方では消化吸収を担う「脾」のはたらきが免疫のベースとなります。暴飲暴食や冷たい物のとりすぎは避け、温かく消化の良い食事を心がけましょう。発酵食品は腸内環境を整えるうえで有効です。
「適度な運動」も重要です。軽いストレッチやウォーキングなど無理のない運動を継続することで、血流が改善し、免疫細胞が働きやすくなります。
そして「ストレスケア」です。強いストレスは自律神経バランスを乱し、免疫の働きを低下させます 。深呼吸 や趣味の時間を持つ など 自分なりのリラックス方法を見つけることも大切です。
漢方薬を取り入れる際の注意点
自己判断での服用は避ける
大切なのは 「体質にあった 処方を選ぶこと」です。 漢方薬は同じ症状であってもその人の体質 (気、血、水)などのバランスによって適するものが違ってきます。自己判断で選ぶと効果を感じないだけでなく、かえって体調を崩す場合もあります。
即効性を求めすぎない
漢方は体の土台を整えていくことを目的としています。西洋薬のようにすぐに症状を抑えるものとは違います。 数日で変化を感じる場合もありますが、多くは 一定期間 継続することで徐々に体質が整ってきます。
持病がある方や常時飲んでいる薬がある方
持病がある方や、複数の薬を服用している方は、薬剤師にご相談のうえ服用開始して下さい。
まとめ|免疫力は「高める」より「整える」ことが大切
免疫力は単に「高める」を目指すものではありません。過剰に働けばアレルギーや炎症につながり、不足すれば感染しやすくなったり、疲れやすくなります。大切なのはそのバランスです。
日々の生活や体質の影響を受けながら、揺らぐ免疫機能は、無理に引き上げるのではなく、本来の状態へ整えていくことが、長く安定した健康につながります。
漢方薬は身体全体のバランスをみながらその人に合った方法で体質を整えていきます。生活習慣の見直しと合わせて体質改善する事で、免疫の力を引き出すことにつながります。
ご自身にあった生活改善や、漢方を知りたい方はどうぞお気軽にご相談ください。
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