1Nov
風邪に使う漢方薬の選び方|症状・時期別の使い分けを解説
「少し寒気がする」「休日に風邪をひいた」「熱は下がったのに、咳やだるさが残る」。そんなとき、家にある漢方薬をどう選べばよいか迷うことはありませんか?
風邪に用いられる漢方薬にはさまざまな種類があり、風邪のひき始め、発熱や喉の痛みが強い時期、治りかけの時期などによって、使い分けることが大切です。
また、同じ症状でも、体力や冷えの有無、汗の状態、胃腸の働きなどによって適した漢方薬が異なる場合があります。
例えば、寒気が強い風邪の初期には葛根湯や麻黄湯、喉の痛みが目立つ場合には銀翹散など、症状に応じて処方を検討します。
この記事では、福岡市南区の漢方薬なごみ堂が、ひき始めの対処、休日に備える常備薬選び、長引く風邪のセルフケアを、代表的な処方とともにご紹介します。
常備薬を選ぶときに
症状が軽く、水分や食事が取れるときは、休養を基本に、体質と症状に合う漢方薬を選びましょう。普段の風邪のひき方や服用中の薬を薬剤師に伝えておくと、休日の備えにも役立ちます。
風邪に漢方薬は使える?基本的な考え方
風邪は、主にウイルス感染によって起こる急性の呼吸器感染症です。鼻水、鼻づまり、喉の痛み、咳、発熱、倦怠感など、さまざまな症状が現れます。
一般的な風邪の多くは自然に回復しますが、その過程でつらい症状が続くこともあります。
漢方医学では、風邪を単に一つの病気として捉えるのではなく、症状の現れ方や身体の状態、発症からの経過を総合的に判断して漢方薬を選びます。

漢方薬と一般的な風邪薬の違い
一般的な風邪薬には、発熱や痛みを抑える解熱鎮痛成分、鼻水を抑える成分、咳を鎮める成分などが配合されています。
一方、漢方薬は複数の生薬を組み合わせたもので、症状だけでなく、体力や冷え、発汗の状態なども考慮して使用することが特徴です。
例えば、同じ風邪のひき始めでも、強い寒気がある方と、汗をかきやすく体力が低下している方では、適した処方が異なることがあります。
ただし、漢方薬も医薬品であり、副作用や飲み合わせの問題がないわけではありません。他の薬を服用している場合は、薬剤師に相談して服用を開始しましょう。
風邪の漢方薬を選ぶ3つのポイント
漢方薬を選ぶときは、次の3つを目安にしましょう。
風邪の症状・時期別にみる漢方薬の使い分け
風邪に用いられる代表的な漢方薬を、症状や時期ごとに整理しました。
| 風邪の時期・症状 | 漢方薬・生薬製品の例 |
|---|---|
| 風邪が気になる時期の健康管理 | バンラン根 |
| ひき始め・寒気が強い | 葛根湯、麻黄湯、小青竜湯 |
| 発熱・喉の痛み・炎症 | 銀翹散、金羚感冒散、天津感冒片 |
| 高熱や全身症状が強い | 柴葛解肌湯 |
| 微熱やだるさが長引く | 柴胡剤 |
| 風邪の後に咳が残る | 麦門冬湯、参蘇飲 |
| 体力や胃腸の状態に配慮する場合 | 香蘇散 |
※処方選びの目安です。製品ごとの効能・効果、対象年齢、持病や飲み合わせを確認して選びましょう。バンラン根の食品は医薬品とは区別して扱います。
1.風邪が気になる時期の健康管理|バンラン根
季節の変わり目や人と会う機会の多い時期は、日頃の健康管理も気になりますね。
漢方薬なごみ堂では、このような時期の健康管理に関するご相談で、バンラン根(板藍根)をご紹介することがあります。
バンラン根は植物由来の素材です。食品として販売される製品は、日々の健康管理に取り入れるものとしてご案内しています。
製品にはエキス状のものや、手軽に利用できるバンランのど飴などがあります。
日頃は手洗いや換気、必要に応じたマスクの着用を心がけ、睡眠や食事も整えましょう。
2.風邪のひき始め・寒気が強い場合|葛根湯・麻黄湯・小青竜湯
「なんとなく体調がおかしい」
「背中がゾクゾクする」
「寒気がする」
このような風邪のひき始めには、葛根湯、麻黄湯、小青竜湯などが候補になります。
漢方医学では、身体を温めたり、発汗を促したりする考え方に基づいて処方を選ぶことがあります。

葛根湯は、風邪の初期に用いられる代表的な漢方薬です。
寒気があり、汗をかいていない状態で、首筋や肩のこわばり、頭痛などがある場合に使用が検討されます。
風邪の初期によく知られた処方ですが、すべての風邪に適しているわけではありません。
麻黄湯は、強い寒気、節々の痛み、咳や喘鳴を伴う風邪のひき始めに用いられます。
特に、比較的体力があり、汗をかいていない状態などが判断材料になります。
小青竜湯は、水っぽい鼻水、くしゃみ、鼻づまり、咳などが現れる場合に用いられる漢方薬です。
風邪だけでなく、アレルギー性鼻炎などにも用いられます。
小青竜湯も麻黄を含みます。高齢の方や体力が低下している方は、服用前に薬剤師と適した処方を確認しましょう。
3.発熱・喉の痛みが目立つ場合|銀翹散・金羚感冒散・天津感冒片
風邪のひき始めから時間が経過すると、寒気よりも発熱や喉の痛み、咳などが目立つ場合があります。
漢方医学では、このような症状を熱や炎症の状態と関連づけて考え、使用する処方を検討します。
代表的なものとして、次の製品があります。
- 銀翹散(ぎんぎょうさん)
- 金羚感冒散(きんれいかんぼうさん)
- 天津感冒片(てんしんかんぼうへん)
これらは喉の痛みや熱感などに対して紹介されることがあります。
銀翹散は、喉の痛みが目立つ風邪の初期などに用いられる漢方処方です。
例えば、唾を飲み込むと喉が痛む、喉に熱感があるといった症状がある場合は、処方を検討する際の判断材料になります。
なお、金羚感冒散や天津感冒片については、販売製品ごとの構成生薬や効能・効果を確認する必要があります。同じものとして一律に扱わず、製品表示に従って選びましょう。

葛根湯と銀翹散はどう使い分ける?
葛根湯と銀翹散は、風邪のときに検討される漢方薬ですが、注目する症状が異なります。
葛根湯
寒気や首筋のこわばりなどがある場合
銀翹散
喉の痛みや熱感が目立つ場合
常備薬を考えるときも、「寒気から始まるか」「喉から始まるか」を薬剤師に伝えると選びやすくなります。
風邪の漢方薬は、発症からの日数だけでなく、今どのような症状が出ているかを確認して選ぶことが重要です。
4.高熱や全身症状が強い場合|柴葛解肌湯
風邪の中には、高熱、頭痛、寒気、強い倦怠感、筋肉痛など、全身に症状が現れるものもあります。
こうした症状に対して、漢方医学では柴葛解肌湯(さいかつげきとう)という処方が検討される場合があります。
柴葛解肌湯は、葛根湯や小柴胡湯に関連する漢方医学の考え方を取り入れた処方として知られています。
発熱や寒気などの初期症状に加え、症状が全身に及ぶ場合などに用いられてきました。
高熱や全身症状が強いときは、体温だけでなく、水分が取れるか、呼吸が苦しくないかも確認しましょう。
症状が強い・悪化する場合の対応は、後半の「セルフケアの範囲を超えるサイン」にまとめています。
5.微熱やだるさが長引く場合|柴胡剤
風邪の急性期が過ぎても、微熱や倦怠感、食欲不振などが続く場合があります。
このような状態に対し、漢方医学では柴胡剤(さいこざい)と呼ばれる処方群が検討されることがあります。
柴胡剤とは、柴胡という生薬を含む漢方処方の総称です。
風邪の回復期にみられる体調不良などについて、症状や体質を確認したうえで選択される場合があります。
回復期は予定を詰め込まず、睡眠と休養を優先し、食べやすいものを少量ずつ取りましょう。
体温や食欲、症状が続いている日数を記録しておくと相談に役立ちます。同じ薬を漫然と続けず、改善が乏しければ薬剤師と対応を見直しましょう。
6.風邪の後に咳だけ残る場合|麦門冬湯・参蘇飲
熱や鼻水などの症状が落ち着いても、咳だけが続くことがあります。
風邪の後に咳が長引く場合には、咳の性質や痰の状態を確認することが重要です。
麦門冬湯は、喉の乾燥感があり、痰が少ない咳や、切れにくい痰を伴う咳などに用いられる漢方薬です。
特に、風邪の後に乾いた咳が残る場合などに検討されます。
参蘇飲は、胃腸が弱く、体力が低下している方の風邪症状や咳などに用いられる処方です。
風邪の経過や体力、胃腸の状態などを考慮して選びます。
喉の乾燥を避け、こまめに水分を取り、煙などの刺激を控えましょう。咳が出る時間帯や痰の状態を伝えると、処方選びに役立ちます。長引く咳を風邪と決めつけないことも大切です。
7.体力がなく胃腸が弱い場合|香蘇散
風邪に用いられる漢方薬の中には、体力が比較的低下している方に対して検討される処方もあります。
その一つが香蘇散(こうそさん)です。
香蘇散は、胃腸が弱く、気分がすぐれない、軽い風邪症状があるといった場合に用いられることがあります。
漢方医学では、同じ風邪でも、その方の体質や体力に合わせて処方を選ぶという考え方があります。
小児や妊娠中の方は、年齢や妊娠の状況を薬剤師に伝え、使用できる製品と用量を確認しましょう。
葛根湯と麻黄湯の違いは?風邪の初期における選び方
葛根湯と麻黄湯は、どちらも風邪のひき始めに知られている漢方薬です。
しかし、使用を検討する症状には違いがあります。
| 比較項目 | 葛根湯 | 麻黄湯 |
|---|---|---|
| 使用を検討する時期 | 風邪の初期 | 風邪の初期 |
| 主な特徴 | 寒気、首や肩のこわばり | 強い寒気、節々の痛み、咳や喘鳴 |
| 発汗の状態 | 汗をかいていない状態など | 汗をかいていない状態など |
| 体力の目安 | 比較的体力がある方 | 比較的体力が充実している方 |
| 注意点 | 麻黄を含む | 麻黄を含む |
どちらも麻黄を含むため、動悸、不眠、血圧への影響などに注意が必要です。
また、漢方薬は処方名だけでなく、製品ごとの効能・効果や服用上の注意を確認することが大切です。
休日に備える常備薬と、風邪のセルフケア
十分な睡眠と休養を取り、水分をこまめに補いましょう。食欲が落ちたときは、消化しやすいものを無理のない量で。寒気があれば心地よい範囲で保温し、無理に汗をかこうと厚着を重ねる必要はありません。
- 普段の風邪のひき方と、使う人の年齢・体質に合う処方を薬剤師と選ぶ
- 用法・用量、使用期限、保管方法を箱や説明書で確認する
- 改善しない場合に服用をやめて相談する目安も確認しておく
ひき始め用の薬を、回復期までそのまま飲み続けるとは限りません。症状が変わったら、薬を重ねる前に相談しましょう。休日の相談先や営業時間も、事前に確認しておくと安心です。
風邪と漢方薬に関するよくある質問
漢方薬を安心して使うために
服用中のお薬や持病、妊娠・授乳の有無を薬剤師に伝え、製品の用法・用量に沿って使いましょう。お子さまや高齢の方も、体質や年齢に合うものをご相談いただけます。複数の漢方薬や風邪薬を併用するときは、成分の重複を確認します。
漢方薬にも、まれに副作用が生じる場合があります。気になる症状が現れた場合は服用を中止し、医師・薬剤師に相談してください。
セルフケアの範囲を超えるサイン
水分が取れない、症状が強い・長引く・再び悪化する場合は、医療機関への相談をおすすめします。インフルエンザ・新型コロナが疑われる場合、特に高齢の方や妊娠中の方、基礎疾患のある方、乳幼児は、早めに医師と対応を確認しましょう。
強い呼吸困難、突然の強い胸痛、意識がおかしい・反応が乏しいときは、119番など緊急の対応が必要です。
まとめ|風邪の漢方薬は症状と体質に合わせて選ぶことが大切
風邪の漢方薬は、寒気、発熱、喉の痛み、鼻水、咳などの症状に加え、発症からの経過や体力、胃腸の状態などを考慮して選びます。
例えば、風邪のひき始めに用いられる葛根湯や麻黄湯、喉の痛みが目立つ場合に検討される銀翹散、風邪の後に咳が残る場合に用いられる麦門冬湯など、さまざまな処方があります。
大切なのは、「風邪だからこの漢方薬」と決めるのではなく、現在の症状や身体の状態に合った処方を選ぶことです。
休日に慌てないためにも、元気なうちに自分や家族に合う常備薬を相談しておきましょう。
福岡市南区の漢方薬なごみ堂では、体質や症状に応じた漢方薬のご相談を承っています。
漢方薬なごみ堂へご相談ください
「ひき始めに何を備える?」「咳やだるさが残っている」など、お気軽にご相談ください。いつから、どんな症状があるか、汗・食欲の状態、持病、服用中のお薬をお伝えいただくとスムーズです。
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