27Jul
夏バテとは?毎年夏になると体調を崩していませんか?
梅雨が明けると本格的な夏がやってきますが、「毎年夏になるとどうしても体調を崩してしまう…」とお悩みではありませんか?「暑いから仕方がない」と諦める前に、今年は漢方の知恵を取り入れて、根本から夏バテを予防・改善してみませんか?
今回は、漢方薬局の視点から夏バテの原因やタイプ別の対策、おすすめの漢方薬について詳しく解説します。
そもそも「夏バテ」とは、夏の暑さや環境の変化に対応できず、体に様々な不調が現れる症状の総称です。「病気というほどではないけれど、なんとなくしんどい」という状態が続きます。
主な夏バテの症状
体がだるい、重い
寝ても疲れが取れない
食欲が出ない、胃もたれがする
下痢や便秘など胃腸の不調
頭痛やめまい
集中力が続かない、イライラする
夏風邪や熱中症との違い
夏バテは長引く「慢性的な体調不良」ですが、
熱中症は高熱や脱水、筋肉の痙攣などを伴う「急性」の命に関わる病態です。
また、夏風邪はウイルス感染によるもので、発熱やのどの痛みなどを伴います。
そういった症状がなく、だるさや胃腸のモヤモヤが続く場合は、夏バテの可能性が高いと言えます。

夏バテの原因とは?暑さだけではありません
夏バテの原因は、実は単純な「気温の高さ」だけではありません。現代の夏バテには、以下のような複数の要因が絡み合っています。
高温多湿による体力消耗: 日本特有のジメジメした暑さは、それだけで体力を奪います。
冷房による冷えと自律神経の乱れ: 猛暑の屋外と冷え切った室内を何度も行き来することで、体温調節を司る自律神経がパニックを起こします。
発汗による水分・ミネラル不足: 大量の汗とともに、体に必要な水分やミネラル(気も一緒に)が失われます。
胃腸機能の低下: 暑さによるストレスや、冷たいものの摂りすぎで胃腸が冷え、消化機能が落ちてしまいます。
睡眠不足: 熱帯夜で寝苦しく、睡眠の質が下がることで疲労が蓄積します。
夏バテになりやすい人の特徴
以下のような特徴に心当たりはありませんか?当てはまる項目が多い方ほど、夏バテのリスクが高いため注意が必要です。
毎年、夏になるのが憂鬱で苦手
冷たいビールやジュース、アイス、そうめんなどをよく好む
暑くなるとすぐに食欲が落ちる
冷房がしっかり効いたオフィスや部屋で過ごす時間が長い方
体温調節機能が低下しやすい高齢者の方
自分のケアが後回しになりがちな子育て中の方
炎天下や屋外で仕事・作業をする機会が多い方
春先からすでに慢性的な疲労を感じている方
漢方で考える夏バテの原因
漢方では、夏バテを単なる「暑さによる疲れ」で片付けず、体がどのようなバランスを崩しているか(証:しょう)で判断します。主に以下の4つのタイプに分類されます。
① 気虚(ききょ)タイプ:エネルギー不足
体の中から元気がなくなっている状態です。暑さでエネルギー(気)が消耗し、とにかく疲れやすく、夏になると動けなくなってしまいます。
② 脾虚(ひきょ)タイプ:胃腸機能の低下
漢方で「脾(ひ)」は消化吸収を担う場所です。ここが弱ると、食欲不振、胃もたれ、食べるとすぐ下痢をする、といった症状が出やすくなります。
③ 陰虚(いんきょ)タイプ:潤い不足
体に必要な水分や「陰(体を冷ます力)」が不足した状態です。もともとの陰虚体質に、大量の発汗によりのどが異常に渇き、体に熱がこもって微熱っぽくなったり、寝汗をかいたりします。高齢の方や、更年期の方に多いタイプです。
④ 水滞(すいたい)タイプ:水分代謝の低下
体内の水分バランスが崩れ、余分な水が溜まっている状態です。冷たいものの飲みすぎなどで水分代謝が落ち、体が重だるい、むくむ、頭が重い、頭痛がするといった症状が現れます。
夏バテに用いられる代表的な漢方薬の一例
| 漢方薬・和漢薬名 | 主な特徴・適応する症状 |
| 清暑益気湯(せいしょえっきとう) | 暑さで気が消耗し、体がだるく食欲がない方に。 こもった熱を冷ます働きもあります。 |
| 藿香正気散(かっこうしょうきさん) | 夏になると食欲が落ち、疲れがどうしても抜けない方に。 胃腸型の夏風邪にも有効です。 |
| 帰脾湯(きひとう) | 夏場の睡眠障害、寝不足で疲れが抜けない方向けです。 |
| 五苓散(ごれいさん) | 水のめぐりを整える。 冷たいものの摂りすぎで、頭重感やむくみ、下痢がある方に。 |
| 生脈散(しょうみゃくさん) | 汗の出すぎに。 大量の発汗で干からびてしまい、のどが渇いて元気がない方に。 |
| 救心感應丸氣(きゅうしんかんのうがん き) | 牛黄・麝香配合の和漢薬。 暑さにより意識が低下したときや、「気つけ」や、動悸・息切れに効果を現します。高齢者の体力低下や、夏バテに。 |
※漢方薬を服用の際は、自己判断せず専門の薬剤師に相談の上、服用を開始してください。

夏バテには漢方薬をいつから始める?
「夏バテになってから飲むもの」と思われがちですが、実は予防として早めに始めることがとても効果的です。
梅雨頃(5月〜6月)から始める: 毎年必ず夏バテしてしまうという方は、本格的に暑くなる前、あるいは湿気が増える梅雨の時期から体調を整えておくのがベストです。
夏の間だけ服用する: 普段は元気だけれど、7〜8月の猛暑の時期だけ体力が持たないという方は、その期間だけのピンポイント服用でも効果を実感していただけます。
根本的な体質改善を目指す場合: 「夏だけでなく、一年中疲れやすい体質をなんとかしたい」という場合は、秋以降も継続して3ヶ月〜半年ほどかけてじっくり土台を作っていくことをおすすめします。
夏バテを改善する生活習慣
漢方薬の力を最大限に引き出すためには、日頃の養生(ようじょう:生活習慣の工夫)も欠かせません。
冷たい飲食を摂りすぎない: 冷蔵庫から出したての飲み物やアイスは胃腸を直接冷やします。できるだけ常温以上のものを摂りましょう。
睡眠をしっかり取る: 睡眠は「気」と「陰」を補う大切な時間です。夜更かしを避け、寝室の環境を整えましょう。
湯船に浸かる: シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、冷房で冷えた体が温まり、自律神経のバランスが整います。
タンパク質をしっかり摂る: そうめんなどのあっさりしたものや、炭水化物だけで済ませず、豚肉や豆腐、卵など、元気を生み出すタンパク質を意識して食べましょう。
エアコンの設定温度を見直す: 外気温との差が5度以上になると自律神経が乱れやすくなります。
またスーパーやショッピングモールなどは冷房が低めに設定してあります。屋外でかいた汗がいっきに冷えて、体調を崩す要因になります。カーディガンなどを持参して、冷えすぎないように注意しましょう。
症例紹介|毎年夏バテしていた方が元気に過ごせたケース
当薬局にご相談いただき、夏を快適に過ごせるようになった方の事例をご紹介します。
事例1:【40代・女性】夏になると食欲が落ち、家事が手につかなくなる
お悩み: 毎年7月に入ると食欲がおち、そうめんやゼリーしか食べられなくなる。体が鉛のように重く、夕方には横にならないと動けない。
漢方的見立て: 冷たいものの摂りすぎによる「脾虚(胃腸虚弱)」と、エネルギー不足の「気虚」が混ざった状態。
アプローチ: 胃腸の働きを高めながら補気の働きの漢方薬をお飲みいただきました。また、朝一番に白湯を飲むようアドバイス。
経過: 服用を始めて2週間ほどで「お腹が空く感覚」が戻り、3食しっかりお米やおかずを食べられるようになりました。8月の猛暑日も、例年のように夏バテすることなく、元気に家事や仕事をこなせたと喜ばれていました。
事例2:【50代・男性】外回り営業で大量の汗をかき、夜眠れない
お悩み: 仕事柄、夏場は屋外を歩き回るため猛烈な汗をかく。夜になっても体のほてりが取れず、のどが渇いて目が覚めてしまい、疲れが全く取れない。
漢方的見立て: 大量の発汗による「陰虚(潤い不足)」と、体内に熱がこもっている状態。
アプローチ: 体に必要な潤いを補い、無駄な発汗を抑える漢方薬(麦味参顆粒/生脈散など)をご提案。
経過: 飲み始めて数日で、日中の異常な疲労感が軽減。夜間の身体のほてりや、夜中にのどの渇きで起きることがなくなり、朝までぐっすり眠れるようになりました。今年の夏は仕事に影響なく営業回りこなせそうとのこと。
まとめ|夏バテは体質改善で予防・改善を目指せ
夏バテは「暑さのせいだから仕方ない」と放置してしまいがちですが、その背景には「胃腸の弱り」「自律神経の乱れ」「エネルギーの消耗」といった、体の中の不調のサインが隠れています。
漢方は、目先の症状を抑えるだけでなく、あなたの体がなぜ夏に負けてしまうのか、その根本的な原因(体質)を見つめ直して整えていく改善法です。「毎年夏がつらい」「今年こそは元気に過ごしたい」という方は、ぜひお早めに対策を始めましょう。
当薬局では、お一人おひとりの体質やライフスタイルをじっくり伺い、あなたにぴったりの漢方薬と養生法をご提案いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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