31Aug
高血圧とは?基準値と放置するリスク
「健康診断で血圧が高いと言われた」「最近、血圧の数値が気になり始めた」ということはありませんか?
西洋医学ではお薬で血圧の数値をコントロールすることが一般的ですが、漢方では「なぜ血圧が上がっているのか」という根本的な原因(体質)に着目します。
まずは、自分が本当に高血圧なのか、そしてそれを放置するとどうなるのかという基本を押さえておきましょう。
高血圧の基準値
血圧は測定する環境によって基準が異なります。
| 測定場所 | 最高血圧(上の血圧) | 最低血圧(下の血圧) |
| 診察室血圧 | 140mmHg以上 | 90mmHg以上 |
| 家庭血圧 | 135mmHg以上 | 85 mmHg以上 |
自覚症状が少ない「サイレントリスク」
高血圧の恐ろしいところは、初期にはほとんど自覚症状がないことです。「どこも痛くないから大丈夫」と放置されがちですが、水面下で血管には常に強い圧力がかかり続け、少しずつダメージが蓄積していきます。
放置した場合の主なリスク
血管が傷つき、硬くなる(動脈硬化)ことで、将来的に以下のような重大な病気を引き起こすリスクが高まります。
脳卒中: 脳梗塞や脳出血など、命に関わったり、後遺症が残ったりする病気
心疾患: 心筋梗塞や狭心症など、心臓の血管が詰まる病気
腎機能低下: 腎臓のろ過機能が落ちる

高血圧の主な原因|生活習慣だけではない
高血圧の原因は、単一の要素だけではないことがほとんどです。
塩分過多・運動不足・肥満: 現代人に最も多い、代表的な要因です。
ストレスや自律神経の乱れ: 緊張状態が続くと交感神経が優位になり、血管が収縮します。
加齢による血管の硬化: 年齢とともに血管のしなやかさが失われ、圧が上がりやすくなります。
睡眠不足や生活リズムの乱れ:体が十分に休まらないと、血圧が高い状態が続きます。
遺伝的要因: ご家族に高血圧の方がいる場合、体質を引き継いでいることがあります。
西洋医学での治療とよくある悩み
降圧薬は、血管を広げたり、体内の余分な水分を排出させたりして、数値を下げる効果があります。脳卒中などの急性リスクを防ぐためには非常に重要な役割を果たします。
しかし、漢方薬局には以下のようなお悩みを抱えた方が多く相談に来られます。
「一度飲み始めたら、一生飲み続けなければいけないの?」という不安
「できればもうしばらく薬を服用しないで様子を見たい。」という不安
お薬を飲んでから「だるさ」や「めまい」を感じるようになった
「数値は下がったけれど、肩こりや頭痛、体の重さはすっきりしない」という体調不良
西洋医学が「数値を下げる」ことを得意とする一方で、「なぜ血圧が高くなっているのかという体の根本的なアンバランス」は、お薬だけでは整えにくいのが現状です。
漢方で考える高血圧の原因|体質ごとのアプローチ
漢方では、高血圧をひとつの病気として見るのではなく、「体内のバランスが崩れた結果、血圧を上げざるを得なくなっている状態」と捉えます。主な体質タイプは以下の4つに分類されます。
① 瘀血(おけつ)タイプ
状態: 血流が滞って、血液の粘調性が高い状態。
特徴: 肩こり、頭痛、シミやくすみが出始める。
② 肝陽上亢(かんようじょうこう)タイプ
状態: ストレスやイライラによって、漢方でいう「肝(かん)」のコントロールが失われ、熱や気が上半身に突き上げている状態。
特徴: カッカしやすい、顔がのぼせる、目が充血する。
③ 水滞(すいたい)タイプ
状態: 体内の水分代謝が悪く、余分な水分が溜まっている状態。余分な水により身体の内圧が増えることで血管に圧がかかります。
特徴: むくみやすい、体が重だるい、めまいがする。
④ 腎虚(じんきょ)タイプ
状態: 加齢や過労により、生命力の源である「腎(じん)」が衰え、血管のしなやかさや体温調節機能が低下している状態。
特徴: 足腰の重だるさ、冷え、夜間の頻尿。
このように、同じ「血圧が高い」という症状でも、原因が違えばアプローチ(処方)は全く異なります。
高血圧に用いられる漢方薬の一例
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
精神的なストレスが多く、イライラや不安、不眠、動悸などがある方におすすめします。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
特に女性に多く、ホルモンバランスや自律神経の乱れからくる、のぼせ、イライラ、肩こりを伴う高血圧に向いています。
釣藤散(ちょうとうさん)
朝方に頭痛がすることが多く、めまいや肩こり、のぼせがある方におすすめします。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
比較的体力があり、顔が赤く、イライラして落ち着かない、のぼせや不眠がある方の熱を冷まします。
六味丸(ろくみがん)
加齢に伴う高血圧で、腰痛、夜間に何度もトイレに起きるといった症状がある方に向いています。
※漢方薬を服用する場合は必ず専門家に相談の上、開始してください。

漢方薬は血圧をどのように整えるのか
漢方薬は、血圧を無理やり引き下げる薬ではありません。
以下のような身体の調整機能を高めることで、血圧を整えていきます。
血流をサラサラにする(瘀血の改善)
自律神経を安定させ、血管の緊張を緩める(ストレス緩和)
余分な水分を排出して血液量を適正にする(水分の調整)
このように、身体のアンバランスを一つずつ取り除くことで、結果として血圧が自然で安定した状態へと落ち着いていく手助けをします。数値のコントロールと同時に、頭痛や肩こり、不眠といった「体全体の不調」が一緒に楽になっていくのが漢方の大きなメリットです。
漢方薬の効果が出るまでの期間
漢方薬の効果の現れ方には個人差があります。
数週間~1ヶ月: イライラ、のぼせ、肩こり、頭痛などの「症状や体調の改善」から先に変化を感じることが多いです。
数ヶ月~半年以上: 体質そのものを変えて血圧を安定させるには、ある程度の継続が必要です。
漢方薬による体質改善は、毎日の食事や睡眠などの生活習慣のプロセスの延長線上にあります。お薬だけに頼るのではなく、生活習慣の見直しと並行してじっくり取り組むことが大切です。
高血圧を改善するための生活習慣
漢方の力を最大限に引き出し、血圧の上がりにくい体を作るために、今日からできるセルフケアです。
減塩(無理のない範囲で): 出汁(だし)や酸味(レモン・酢)、スパイスを上手に使い、美味しく塩分を減らしましょう。
血圧を優しく整える「水分の取り方」: 高血圧対策として「水分をたくさん飲む」ことが推奨されることもありますが、漢方では「体の代謝能力を超えて飲みすぎると、かえって血圧を上げる原因(水滞:すいたい)になる」と考えます。以下のポイントを意識してみましょう。
冷たい水は避ける: 冷たい飲み物は内臓を冷やし、血管を収縮させて血圧を上げます。水分補給は「常温」か「温かい白湯(さゆ)」が基本です。
ちびちび、こまめに: 一度にゴクゴク飲むと、血液のボリュームが急激に増えて血管に負担がかかります。1回につきコップ半分〜1杯程度を、喉が渇く前に少しずつ飲みましょう。
巡りを良くするお茶を選ぶ: 水分代謝を促す「ハトムギ茶」「小豆茶」や、気の巡りを良くして血圧を落ち着かせる「菊花茶(きくかちゃ)」「緑茶(温かいもの)」などもおすすめです。
適度な運動: 激しい運動は避け、じんわり汗をかくウォーキングなどを毎日20分〜30分。汗をかくことで、余分な塩分や水分を自然にデトックスできます。
ストレスケア: 1日の終わりに深呼吸をする、趣味の時間を持つなど、リラックスして交感神経(血管を縮める神経)を鎮める時間を。
良質な睡眠: 睡眠不足は血圧上昇の天敵です。夜更かしを避け、寝室の環境を整えましょう。
体を冷やさない: 特に下半身の冷えは血流を悪化させ、上半身に熱や血を上らせます。入浴はシャワーで済ませず、湯船に浸かって芯から温まりましょう。
8.まとめ|高血圧は体質から整えるという考え方も
高血圧は、あなたの体が発している「生活リズムや体内のバランスが乱れているよ」というサインかもしれません。
病院のお薬で数値を管理することはもちろん大切ですが、それと同時に「血圧が上がりにくい体」を内側から作っていくアプローチとして、漢方は非常に力強い味方になります。
「薬をこれ以上増やしたくない」
「できれば薬に頼りたくない」
「血圧は下がったけれど、体調がすっきりしない」
「自分の体質に合った根本的なケアが知りたい」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの体質をじっくりとお伺いし、最適な漢方薬とライフスタイルをご提案いたします。
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