3Mar
Contents
1.起立性調節障害を知ろう、漢方による体質改善の方法
起立性調節障害(OD)は10代のお子さんに多く、座った状態や、立ちあがった時に脳への血流が低下してしまい、めまいや立ち眩み、頭痛などの体調不良がおこる事を言います。不登校の原因の多くを占めるとも言われ、親御さんやお子さんも、この先どうなってしまうのだろうかといった、不安を感じていらっしゃる方も多いと思います。小児科や、心療内科、精神科のクリニックや病院を診療・ご相談されて、安定剤や、頭痛薬、血圧を上げる薬などを処方されたという方もいるのではないでしょうか。
めまい 立ち眩み 倦怠感 頭痛 不眠 朝起きれない 食欲不振 乗り物酔い 腹痛 動悸、息切れ 午前中は体調が悪く、午後に回復する |
思春期の子供は第二次成長期に入り、ホルモンのバランスの変化と共に、自律神経も変化し、調整が難しくなっておこる事が、要因と考えられます。
また、気候変動に左右される事も多く、雨の日や曇りの日は、気圧の低下と共に、血圧なども下がりやすくなります。
自律神経が機能していれば、血管が収縮して、血圧低下を回避できますが、自律神経の調整機能が乱れていれば、血圧は下がったままになり、起立性調節障害の方は、症状が強く表れます。
血圧や血流、血管の収縮や拡張は自律神経が調整しています。漢方薬で自律神経や、ホルモンのバランスを整えていく事で、起立性調節障害を改善することができます。
2.漢方の対処の仕方、「気・血・水」について解説
起立性調節障害に漢方薬が効く理由を漢方の仕組みから丁寧に解説します。
中医学では身体の構成要素を大きく「気」「血」「水」に分けて考えます。
◆「気」は 身体の生命エネルギー のようなもの。自律神経のバランスに影響します。
「血」や「水」 を巡らす原動力です。気の不足を「気虚」と言います。気虚になると、疲れやすくなったり、やる気が出ない、倦怠感といった症状が出てきます。また「血」をめぐらせる事が出来なくなり、低血圧や、立ち眩み、朝起きれないという起立性調節障害の症状の要因になります。
◆「血」は身体を滋潤したり栄養素を運んだり、 ホルモンのバランスに影響します。
「血」の流れが悪い状態を「お血」と言い、「血」が不足した状態を「血虚」と言います。
「血虚」になると、血液量の減少から、血圧の低下をひきおこし、めまいや立ち眩み、頭痛などの症状の原因になります。
また「血虚」は不眠、不安感といった精神症状を誘発します。
◆「水」は 血液以外の液体を表します。
「水」が滞った状態を「水滞」や「痰湿」といいます。むくみやすくなったり、冷えや腹痛の原因になります。また「水滞」や「痰湿」はめまいや吐き気を誘発する要因になります。
気象病のようにお天気によって、症状が悪化したり、好転する場合は、「水滞」や「痰湿」が原因となっている可能性が高いと言えます。
このように気・血・水の流れが悪くなりバランスがスムーズにとれなくなると、
めまいや倦怠感、立ち眩み、朝起きれない、といった起立性調節障害の症状が出やすくなってきます。
「お血」「血虚」「気虚」「気滞」「水滞」などの体質を「証」といい、その証により、漢方薬での改善処方が決まります。
「気」のめぐりが悪くなると、「血」のめぐりも悪くなり、「血」のめぐりが悪くなると、「水」のめぐりも悪くなる、といったように相互に影響しあっているために、「気虚」と「血虚」が組み合わさっていたり、「血虚」と「水滞」が組み合わさっていたりという方がほとんどです。そのため、自分の証に合った漢方薬を服用することが、改善の鍵になってきます。
「お血」の改善の漢方薬は「活血剤」
「血虚」の改善の漢方薬は「補血剤」
「気虚」の改善の漢方薬は「補気剤」
「気滞」の改善の漢方薬は「理気剤」
「水滞」の改善の漢方薬は「利水剤」
「痰湿」の改善の漢方薬は「化痰剤」です。
漢方の基本的な理論である「気・血・水」のバランスを整えることで起立性調節障害で発生する様々な症状を改善することができます。
3.起立性調節障害に効果が期待できる漢方薬を紹介
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
水分代謝を整える、利水剤が配合されていることで、三半規管の障害を改善し、めまいや立ちくらみを改善する効果があります。水の巡りの異常が関与する諸症状に効果的です。
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
利水剤と、熄風剤で構成されているため、胃腸が弱い方や虚弱体質でめまいや頭痛のある方、乗り物酔いしやすい方向けがあります。
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
虚弱体質で顔色がすぐれず、腹痛や倦怠感、食欲不振などの方に効果があります。
五苓散(ごれいさん)
身体の過剰な水分(水毒)を抜く「利水剤」が配合され、水の偏在を治癒させ、めまいや吐き気、頭痛を改善する効果があります。
帰脾湯(きひとう)
補気剤と補血剤からなる気血双補剤の為、顔色が悪く、倦怠感や頭のふらつきがあるかた、
夜になっても目がさえてなかなか眠れないといった方に効果があります。
4.漢方のちからで体質改善につなげよう。服用のポイントと注意点を解説。
起立性調節障害の症状は多種多様です。そのために効果的に漢方薬を服用するためには、体質を知る事が大切です。日によって悪化したり、好転したりと症状の出方に変化があります。現在の症状以外にも、体質や、どんな時に症状が悪化するか、どんな時に好転するかなど詳しく問診する事で自分の体質が「水滞」なのか、「お血」なのか、「気虚」なのかまたは「血虚」と、「気虚」が組み合わさって様々な症状が出ているのか、等を見極め、その改善の為の漢方薬を服用することが大切です。
場合によっては処方を組み合わせて服用いただく事もあります。
症状の改善は早い方だと、漢方薬の服用開始から1週間で見られることがあります。症状に変化が出た場合は、処方を随時変更した方が良い時もあります。そのため、漢方専門の薬剤師に相談しながら服用することをお勧めします。
漢方薬は植物性の生薬からできており、副作用の心配が少なく、長期間安心して服用できます。
また起立性調節障害は生活リズムを整えることで、改善し、再発を防ぐ要因になります。23時までには布団に入るようにし、なるべく朝起きれる状況を作る。
筋力低下は血圧低下を招きやすいので、体調の良い、午後から夕方にかけて、
ウォーキングなどを行うといった生活習慣の見直しも大切です。
5.起立性調節障害の改善例
事例(小学生)
発症時期:4年生になったころから、朝頭痛や立ち眩みがするようになった。だんだんと症状がひどくなり、起こしても全く起きれない、起きてもそのまま、横になっていないとつらい、座っていられないといった症状になった。処方後経過:漢方薬を服用開始してから、午前中のめまいや立ち眩みが徐々に改善され、服用開始から一か月で、朝起きれるようになった。
現在の状態:通常に学校に通えている
事例(中学生)
発症時期:中学生2年になった春頃から、頭痛、めまい、寝つきが悪い、動悸、
朝起きれない、倦怠感などの症状が出るようになって、最初は早退していたけれど、だんだんと学校に行けない日があるようになってきた。病院では血圧を上げる薬や、頭痛薬が出ているけれども、朝おきれない、倦怠感がとれない。
処方後経過:漢方薬を服用開始から2か月で、朝から学校に行けるようになり、夜ぐっすり寝れるようになった。動悸やめまい、倦怠感などもほとんど感じなくなった。
事例(高校生)
発症時期:高校2年生の頃から、朝、頭痛とめまいがするようになり、最初は頭痛薬で、やり過ごしていたが、勉強や部活が大変になってきて、朝起きれなくなってきた。特に生理前になると、イライラや頭痛、不眠がひどく、精神的に不安定になる。学校に行かなくてはと思うが、身体が思うように動いてくれない。
処方後経過:漢方薬服用から、一か月で、生理前のイライラは改善された。夜眠れるようになったので、次の日の身体が以前より楽になった。
現在の状態:朝も通常の時間に起きて学校に行けるようになった。部活や勉強にも集中できるようになった。
6.起立性調節障害のお悩み相談
Q体調が悪い日といい日の差が大きく、当日になってみないとわかりません。サボりと見られていないか心配です。
A気象変化によって体調が変化するという事は、近年よく知られています。低気圧になると、血圧も下がりやすくなり、立ち眩みやめまいが発症しやすくなります。
Q症状がこのまま続くのではないかと思ってしまいます。将来が不安です。
A体調不良の時は誰しも不安になるものです。漢方薬で自律神経を改善することで、不安も少しづつやわらいでいきます。
7.まとめ 福岡で起立性調節障害に悩んだら、なごみ堂へ
起立性調節障害でお悩みの、親御さん、お子さんは多いと思います。
その症状が多種多様で、発症時期や、経過など、千差万別です。
そのために、解決方法が見つからず悩みを抱えている方も多いと思います。
起立性調節障害は自律神経機能の低下をメインとして、心理的なストレスなどの要因も組み合わされて、発症します。
漢方薬は、自律神経のバランスを整え、気血水のバランスをとりながら、体質改善していく事で、起立性調節障害の様々な症状を改善します。
自律神経の機能低下の改善は漢方薬の得意分野と言えます。
効果的に漢方薬を取り入れる為には自分の体質に適した漢方を服用することが重要です。身体を整えることで、再発を防ぐこともできます。
自然由来の成分で作られた漢方薬は、副作用が少なく、お子さんも長期間安心して服用できます。
漢方専門の薬局で相談し、自分に合った漢方薬を服用して、心身ともに健やかな身体を手にいれましょう。
最後になごみ堂の営業日と電話番号のご紹介です。
ーーなごみ堂のご案内ーー
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