26May
1.ふらつきが続いて不安な方へ、漢方薬で体調を整える
ふらつきの症状は原因が様々です。そして「足元がふらつく」「頭がふらつく」「立ち上がった時にふらつくなど」ふらつくと一言で言っても症状はいろいろです。
ふらつきがおこる要因として、
メニエルや良性発作性頭位めまい症などのように内耳の問題で起こるものや、突発性難聴の後遺症からのふらつき、高血圧や低血圧、貧血など血流の問題で起こるもの、起立性調節障害のように、午前中に症状が出て、午後から夕方にかけては症状が出ないものもあります。
また女性はホルモンバランスの乱れから、生理前や生理中にふらつきがあるという方もいます。
ストレスによる自律神経の乱れによるものや加齢による筋力低下や機能低下もふらつきの原因となります。
このようにふらつきと一言で言っても原因は様々です。
そのため改善の為の漢方薬はふらつきの原因によって違ってきます。
2.ふらつきの原因を漢方薬の視点でひも解く
中医学では身体の構成要素を大きく
「気」「血」「水」に分けて考えます。
「気」は 体の生命エネルギー のようなもの。
「気」のはたらきは「血」や「水」 を巡らしたり、体を温めたり 色々な外邪(ウイルスや病気)といったものから守る力です。気の不足を「気虚」と言います。気虚になると、「血」を推動する力が弱まり、ふらつきやめまいの原因になります。また気がうまく流れず滞った様態を「気滞」と言います。気滞になるとイライラしやすくなったり、交感神経が優位となる為、脳血流が低下し、ふらつきやめまいの原因となります。
「血」は身体を滋潤したり栄養素を運んだり、 ホルモンのバランスに影響します。
「血」の流れが悪い状態を「お血」と言い、「血」が不足した状態を「血虚」と言います。お血や血虚は、血流悪化をおこし、ふらつきやめまいの症状を誘発する要因となります。
「水」は 血液以外の液体を表します。
「水」が滞った状態を「水滞」や「痰湿」といいます。水分が三半規管に過剰に停滞することで、ふらつきが発生します。
このように気・血・水のバランスがスムーズにとれなくなることで、ふらつきの原因となります。
「お血」「血虚」「気虚」「気滞」「水滞」などの体質を「証」といい、その証により、漢方薬での改善処方が決まります。
ふらつきの原因は血流障害の「お血」、貧血などの「血虚」機能低下の「気虚」、内耳の平衡感覚の障害の「水滞」が多く考えられます。
「お血」の改善の漢方薬は「活血剤」
「血虚」の改善の漢方薬は「補血剤」
「気虚」の改善の漢方薬は「補気剤」
「水滞」の改善の漢方薬は「利水剤」です。
漢方の基本的な理論である「気・血・水」のバランスを整えることでふらつきめまいなどの症状を改善することができます。
3.ふらつきの症状に効果的な漢方薬とは?
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
胃腸を整えたり疲れを改善する補気健脾(ほきけんぴ)のはたらきの漢方薬と水滞を改善するはたらきの利水剤から構成されています。
そのため、胃腸が弱く、ストレスや疲労から、消化不良や胃腸障害があり、自律神経が乱れふらつきを発症するタイプの方に効果的です。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
身体の中に水をためやすい「水滞」タイプの方に効果があります。増えすぎた内耳の三半規管のリンパ液を血管内に吸収させて、ふらつきを改善します。
真武湯(しんぶとう)
足元のふらつき、立ち眩みがする、身体のバランスがとれない、疲れやすく、むくみがあるなど、気虚や水滞がある高齢者のふらつきやめまいに効果があります。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血行不良や貧血が原因のめまいに効果的な処方。産後や授乳中、更年期は血虚になる事が多く、特に冷え性やむくみを伴う場合に効果を発揮します。
釣藤散(ちょうとうさん)
血圧が高めで、頭痛や肩こりに伴うめまいに有効です。
高血圧などの持病がある方や、高脂血症の方などは、血流を促進し、めまいとともに頭痛を緩和できます。
柴苓湯(さいれいとう)
突発性難聴の後遺症で、ふらつきやめまい耳鳴りがある方に有効です。
※これらの漢方薬を組み合わせて服用いただく事もあります。
服用の際は専門の薬剤師にご相談ください。
4.ふらつきを漢方で克服した体験談
75歳
2年前よりふらつきがでるようになった。
それと共に不安感もするようになり、夜寝つきが悪くなった。
一人暮らしという事もあり、体調不良になると不安になり、気持ちも沈む。
お住まいが遠方の為、お電話で詳しく体調や体質などをお伺いし、
漢方薬を配送して服用いただいた。
服用開始から一か月で、ふらつくことがかなり減ってきた。
ふらつきが減ってきて、不安感も感じることが少なくなった。
服用開始から3か月で、ふらつきや不安感は全く無くなった。夜もぐっすり眠れるようになった。
55歳
3年前に突発性難聴になりそれから、頭が時々ふらつくようになった。左の耳だけ耳鳴りがしている。お天気が悪い時や、疲れた時に症状が悪化する。
漢方薬服用開始から、ふらつきの頻度が減ってきた。耳鳴りも以前より気にならなくなった。
服用開始から2か月で、お天気が悪くてもふらつきはほとんど感じなくなり、耳鳴りもたまにする程度に収まった。
5.漢方と実践することで効果がある生活習慣
ストレス管理:毎日のリラックス時間を確保し、ストレスを解消するためにゆっくり入浴したり、瞑想や深呼吸を取り入れる。睡眠を十分とる。過労はふらつきやめまいの引き金になるので、疲れたと感じたら、休養をとる事を心がける。
食生活の改善:栄養バランスの良い食事を心がける。暴飲暴食を避け、胃腸に負担のかからない食事にする。胃腸が悪くなると、身体の水はけが悪くなり、めまいを誘引します。そのため特に胃腸の調子を整えることが重要です。
水分補給:体内の水分バランスを保ち、余分な水分が溜まらないように心がけましょう。冷たい物の過剰摂取はやめましょう。常温または白湯を少しずつとるようにしましょう。
適度な運動:ストレス発散や、血行を良くするためにも、軽い運動をしましょう。座ってできるストレッチなどが良いでしょう。
6.漢方の注意点とおすすめの相談先
ふらつきの改善の為の漢方薬を効果的に服用するためには、自分に適した漢方薬を服用することが大切です。
そのためには、今までの治療歴や、症状の経過、現在の症状、体質、どんな時に、悪化するか、または改善するかなど、詳しくお話を伺う事が大切です。
それにより、ふらつきの原因を見極めその改善の為の漢方薬が、最も適した漢方薬となります。
そのためには漢方薬専門の薬局で薬剤師に相談し、適した漢方薬を服用することが大切です。
なごみ堂では遠方の方は電話相談や、LINE相談も行っています。
お気軽にご相談ください。
7.まとめ
前述のように、ふらつきやめまい改善の漢方薬は、人によって違います。めまいの原因、自分の症状や体質に合った漢方薬を服用するようにしましょう。
生薬から作られる漢方薬は、副作用が少なく、長期間安心して服用いただけます。体質改善し、ふらつきやめまいのない体質を目指しましょう。
漢方薬専門の薬剤師に相談し、服用を開始しましょう。また服用の経過の中で、症状などが変化したら、処方を変えるなどの対応が必要な場合があります。随時専門の薬剤師に相談しながら、漢方薬を効果的に服用しましょう。
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