2Jun
「なんとなくふらつく」「朝から体がフワフワする」「立ち上がった瞬間にふらっとする」…このような症状にお困りではありませんか?
ふらふらする原因は一つではありません。更年期によるホルモンの変化、内耳の異常、自律神経の乱れ、貧血、血圧の変動、ストレス、過労など多岐にわたります。また、ふらつき方も人それぞれで、「朝だけ」「生理前に」「疲れた時に」「頭を動かすと」と、日常生活の中で突然起こることも。
西洋医学で異常が見つからなかった場合でも、漢方では体の内側から整えるアプローチが可能です。漢方では「気・血・水」の乱れがふらつきの根本原因と考え、それぞれに合った処方で改善を目指します。
この記事では、ふらつきのタイプ別の原因と、それに合わせた代表的な漢方薬、改善事例、さらにセルフケアのポイントまで詳しくご紹介します。
1.ふらふらする不調に漢方薬で整えよう
ふらふらする、ふらつき、めまいといった症状でお悩みの方は多いのではないでしょうか。
症状の出方は様々です。
※立ち上がった時にふらふらする
※朝起きてしばらくはふらふらする
※足元がふらふらする
※生理中や、生理前にふらふらする
※血圧が高い時にふらふらする
※頭を動かすとふらふらする
※貧血でふらふらする
原因や要因は、メニエール病、良性発作性頭位めまい症、突発性難聴の後遺症、高血圧、脳血流障害、更年期障害、自律神経失調症、起立性調節障害、貧血などが考えられます。
ふらつく、ふらふらするといった症状は、同じように思えても、人によって原因は様々です。そのため漢方薬も原因により改善の処方も違ってきます。
2.ふらふらする原因とは?漢方薬の視点でひも解きましょう
東洋医学では、 身体の構成要素を 「気」「血」「水」に分けて考えます。 この 「気」「血」「水」のバランスが整っていることで体の健康状態を保っています。
「気」は 体の生命エネルギーのようなもの。
「血」や「水」 を巡らしたり、体を温めたり 色々な外邪(ウイルスや病気)といったものから守る力です。「気虚」になると、疲れやすくなったり、ふらふらなどのめまいや立ち眩みを誘引しやすくなります。ストレスにより気のめぐりが悪くなり、「気滞」になるとイライラしやすくなったり、交感神経が優位となる為、心拍数が上昇しめまいやふらつきが生じやすくなります。
「血」は身体を滋潤したり 栄養素を運んだり、 ホルモンのバランスを整える働きがあります。
「血」の流れが悪い状態を「お血」と言い、「血」が不足した状態を「血虚」と言います。お血や血虚になる事で、脳への血流が低下し、めまいやふらつきをおこしやすくなります。
「水」は 血液以外の体にある液体を表します。
「水」が滞った状態を「水滞」や「痰湿」といいます。それが三半規管に過剰にたまる事で、めまいやふらつきがおこります。
漢方薬はこれらの「気・血・水」の流れを改善し自律神経のバランスを整える事で 身体を健康な状態へと導きます 。
「気滞」や、「お血」、「水滞」など原因は1つでも、気・血・水はお互いに、影響しあうため、気滞、お血、血虚などが同時に発生している事も多く、めまいやふらつきを時間と共にこじらせてしまう場合もあります。
これらの体質を「証」といい、その証により、漢方薬での改善処方が決まります。
例えば
「お血」証の改善の為の漢方薬は活血剤、
「水滞」証の改善の為の漢方薬は利水剤、
「血虚」証の改善の為の漢方薬は補血剤です。
「お血」の証なのか、「水滞」の証なのか、「気虚」の証なのかなどを見極めることで、改善の為の漢方薬が違ってきます。
そのため漢方薬を服用される際は、漢方薬専門の薬剤師に相談されることをお勧めします。
3.「ふらふらする」症状によく使われる漢方薬は
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
利水剤の漢方で構成されているため、水の巡りが悪く、フワフワするような感覚に効果があります。
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
胃腸が弱く、めまいやふらつきを感じやすい方に適しています。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
補気剤から構成されており、気力や体力が落ち、倦怠感・ふらつきがある場合に効果が期待できます。
芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)
不正出血や月経過多などで貧血があり、そのためにふらつきがある方に適しています。
人参養栄湯(にんじんようえいとう)
虚弱体質で疲れやすく、立ちくらみがある方に適しています。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
ストレスによる自律神経の乱れやふらつきに効果があります。
4.漢方薬でふらふらが改善した体験談
51歳女性
半年前より、めまいやふらつきがある。日常的に倦怠感や、不眠、肩こり、下痢などもある。
年齢的に、生理周期がバラバラで、不正出血も時々ある。
婦人科で診てもらったが、年齢的なものなので、めまいや倦怠感は様子をみましょうと言われた。
仕事をしているがめまいや倦怠感から、きつくて休むこともある。
漢方薬は理気剤や活血剤を服用いただいた。一か月服用でふらつきや倦怠感などの症状が良くなり、
日常生活も楽になった。仕事も問題なく行けている。
74歳女性
2週間前より、ふらつきやめまい、吐き気がありクリニックでめまい止めの注射や投薬を受けていたが、改善せず。1年前にもめまい発作をおこし、3回入院した。いったん収まってもまた発症するのが怖いという事で、漢方薬を服用したいとご相談に来られた。
漢方薬は利水剤と補気剤を服用いただいた。
一か月服用いただいて、ふらつきやめまい、吐き気はなくなった。
その後も半年経過したが、めまいはおこらず、体調も良い。
5.ふらふらする状態を整える生活習慣
◆冷え対策と温活
身体が冷えると血流やリンパの流れが低下してめまいやふらつきを誘発します。
白湯を飲む、腹巻をしてお腹を冷やさない、お風呂はシャワーで済ませず、ゆっくり湯船につかる。
◆栄養バランスを整えた食事
鉄分・たんぱく質・ビタミン、ミネラルを多く含んだ食事を心がける。
水分の摂りすぎ(特に冷たい飲み物)に気をつける。
◆睡眠の質を上げる
7~8時間の睡眠時間を確保するよう心がける。
自律神経の安定に軽い運動やストレッチなどを日常生活に取り入れる。
6.漢方の注意点とおすすめの相談先
めまいやふらつきのの原因は人によって様々です。
原因を見極め、その改善の為の漢方薬を服用することが、改善の近道です。
そのためには、自覚症状だけでなく、体質、今までの症状や、治療経過、どんな時に、症状が悪化し、どんな時に好転するか、などの情報を詳しくお聞きすることが大切です。
ですから、漢方専門の薬局で相談して服用開始することをお勧めします。
漢方薬の効果は、早い方ですと服用開始から1~2週間くらいで症状が改善されます。
症状の経過をみながら、漢方薬の処方を変更する場合もありますので、漢方薬専門の薬剤師に相談しながら服用することをお勧めします。
7.まとめ
漢方薬は自然由来の生薬から出来ており副作用が少なく、長期間安心して服用いただけます。
めまいやふらつきは日常生活にも支障をきたし、悪化すると、家事や仕事も出来なくなってしまいます。ふらつきの症状は、自律神経や、血流悪化、ホルモンバランス、内耳の三半規管の問題など、いろいろな要因が考えられます。漢方薬でそれらの不調を改善することで、めまいやふらつきの症状を改善するだけでなく、それ以外の症状の改善につながります。
漢方薬は自宅で朝晩服用することで、体質改善しふらつきやめまいの出ない身体に導きます。
一人で悩まず、お気軽ご相談ください。
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