20Oct
「妊活に年齢は関係ない」と信じたい反面、現実には35歳を過ぎると妊娠率が下がり始めるという事実があります。
高齢不妊とは、加齢によって妊娠する力(妊孕性)が男女ともに低下し、妊娠の可能性が下がる状態のこと。
特に女性は卵子の質や数の低下、ホルモン分泌量の減少、血流の悪化といった変化が起こりやすく、AMHの低下や卵巣機能の衰え、不育症のリスクにも直結します。
だからこそ大切なのは、妊娠の可能性を少しでも高める「体の土台作り」。
この記事では、高齢不妊の原因や特徴とともに、漢方による体質の改善アプローチを実例を交えてご紹介します。
1.高齢不妊とは?妊娠が難しくなる理由
高齢不妊とは、加齢により、男女ともに妊孕性(妊娠する力)が低下することをいいます。特に女性は35歳を過ぎるころから、卵子の質や量の低下がはじまり、低AMH(抗ミュラー管ホルモン)となり、卵巣機能の低下などが不妊の原因になります。
また身体の機能低下から、ホルモン分泌の低下や、血流の低下なども始まり、酸化や老化の原因になります。
また子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症などがある方は、生理回数が重なるたびに悪化するため、加齢によってそれらが悪化するため、着床障害や、不育症のリスクが高くなります。
2.高齢妊活のカギは「身体のベース作り」から
若いうちは、少しくらいの体調不良などはものともせず、妊娠、出産が可能とも言えますが、年齢が上がっていくと、身体の全体機能が低下してくるため、心身ともに充実していることが大切です。
冷えや、血行不良、睡眠不足、ストレス、自律神経の乱れなどの負の要因を取り除き、身体の機能を上げていくことが高齢妊活を成功に導くカギとも言えます。
漢方薬は血流改善のための「活血剤」や、ストレスをうまく流していく「理気剤」、卵巣機能改善を目的とした「補腎剤」などを組み合わせて、妊孕性を高めていきます。
3.漢方薬が高齢不妊におすすめされる理由
※中医学では身体の構成要素を(気 血 水)に分けて考えます。

ストレスなどにより、「気」の流れが停滞した状態を「気滞」といいます。
「気滞」になると血管が収縮して血流が悪くなります。
「血」の流れが停滞している状態を「お血」といい、冷えや肩こりの原因になります。
また「お血」が慢性的に続くと、子宮筋腫や、子宮内膜症の原因、卵巣機能の低下につながります。
「血」が消耗された状態を「血虚」といいます。
「血虚」になると「血」の体内の組織や器官に潤いと栄養を供給するはたらきが低下し、子宮内膜が厚くならないなどの要因になります。
身体の水はけが悪い状態を「水滞」といいます。
むくみや冷えの原因となります。
「理気剤」や「活血剤」「利水剤」などの漢方薬で(気 血 水)の流れを良くすることで、身体の機能を改善していきます。
※また中医学では身体の機能を五臓(肝 心 脾 肺 腎)に分けて考えます。

「腎」の機能が低下した「腎虚」の状態になると、卵巣機能が低下していきます。
漢方薬の「補腎剤」を服用いただくことで、卵巣機能を改善します。
4.高齢不妊に効果が期待できる漢方薬や中成薬の一例
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
冷え性、貧血など「血虚」のタイプに適しています。血を補い、血流を改善していきます。
亀鹿二仙膠(きろくにせんきょう)
「腎」を補い、ホルモンバランスを整えていきます。卵巣機能が低い方に、また男性女性共に服用できます。
温経湯(うんけいとう)
高齢女性の生理不順・冷え・不眠がある方向けです。子宮・卵巣の冷えを温め、内側から若々しくしていきます。
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
瘀血(おけつ)タイプで、子宮内膜症や子宮筋腫などがあり、子宮内の炎症を改善したい方向けです。子宮内の血の巡りを良くし着床環境を整えてくれます。
これらの漢方薬や中成薬を組み合わせて服用いただく場合もあります。
※服用の際は漢方薬専門の薬剤師にご相談し服用開始してください。

5.高齢不妊で授かった事例紹介
43歳
<<ご相談内容>>
第2子希望
40歳の時、第一子希望で漢方薬を服用いただき、自然妊娠された方が、
できればもう一人お子さんを授かりたいとご相談に来られた。
仕事をしながら、子育て、家事をされており、疲れや疲労感、イライラがある。
<<漢方薬服用後>>
漢方薬を服用開始して、イライラが減ってきて、以前より疲れを感じなくなった。
生理痛もなくなり、全体的に体調がいい。
漢方薬服用から6か月で第二子を自然妊娠されました。
40歳
<<ご相談内容>>
結婚されて3年経過。
人工授精5回、体外受精は採卵7回、移植6回している。
一度妊娠判定が出たが、初期流産。
AMH0.7、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症と診断されている。生理痛がひどい。イライラ、睡眠が浅く、疲れやすい。
卵巣機能低下と、子宮内にも筋腫などがあり、厳しい状況。
<<漢方薬服用後>>
初回相談時、凍結胚が一個あり、移植したが陰性判定。
陰性判定後は、活血剤や、破血剤など、子宮内の血流改善の漢方薬を服用いただいたところ、生理痛がかなり改善された。
そののちは、採卵に向けて、補腎剤を中心に服用いただき、胚盤胞を3個凍結ができた。
その後、最初の移植で陽性判定が出た。妊娠中も順調に経過し、元気な赤ちゃんを出産された。
6.漢方薬の活用タイミングと注意点
病院で不妊治療をされている場合も、漢方薬を併用して服用いただけます。
漢方薬を有効に服用いただくには、自分に適した処方を服用することが大切です。
そのため専門の薬剤師に相談して服用を開始しましょう。
病院で受けた検査やその結果を薬剤師に伝えることで、より適した漢方薬を選ぶことができます。
また病院でどんな治療をしているか、どんな薬を処方されているかを伝えて、病院の治療に沿った、病院の治療をバックアップできる内容の漢方薬を服用するようにしましょう。
体外受精を予定している場合は、採卵前に適した漢方薬、移植前に適した漢方薬がありますので、体外受精のおおよその予定が決まっていれば、それを伝え、適切な漢方薬を服用するようにしましょう。
7.高齢不妊に悩む方へ:まずは漢方相談から始めませんか?
高齢での妊活や不妊治療は、身体の機能を高め、心身ともに充実させることが大切です。
また治療を繰り返していく過程で、精神的に追い詰められている方も多くいらっしゃいます。
友達にもなかなか相談できず、時間がないことに、焦りばかりがつのる方もいらっしゃいます。
そんな時、自分の身体の事や不安な気持ち、またそれを改善するための漢方についてなど、相談できる場所があれば、それだけでも気持ちが前向きになれるのではないでしょうか。
漢方薬を服用したいとは思うが、自分に適した漢方薬がわからない、といった方も多いと思います。
自分の身体の状態や、今までの治療経緯、検査結果などを伝え、相談することで、何がたりなくて、結果につながらないのかが整理でき、見えてくるものもあります。
まずはお気軽にご相談ください。
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