17Mar
妊娠を希望する女性で、
「検査では何も異常がないと言われたが妊娠しない…」
「体外受精や顕微授精を繰り返しているけど妊娠しない…」
「子宮内膜が薄いと言われた」
このようなお悩みはありませんか?
着床とは、受精卵が子宮内膜に根を下ろし、妊娠へとつながる大切なステップです。
着床が成功するためには、質の良い卵子・精子だけでなく、子宮内膜の状態やホルモンバランス、免疫機能の影響 も大きく関わります。
この記事では「着床を妨げているのは、どういった可能性が考えられるのか」を解説します。病院やクリニック以外でもできることがあります。年齢が高い方の妊娠にいたった事例も紹介していますので、ぜひ参考してみてください。
Contents
1.【不妊・妊活】着床率をあげるためにできること
着床とは排卵した卵子と精子が卵管膨大部で受精し、細胞分裂しながら受精卵から胚となり、卵管内を通って子宮へ移動し、受精から5~7日目に、胚が子宮内膜にもぐりこむことをいいます。
着床がスムーズに進む条件として、
①質の良い卵子、
②元気の良い多数の精子、
③精子や受精卵が通過しやすい卵管
④ふかふかのお布団のような子宮内膜
といった事が一般的には条件にあげられます。
引用元:あすか製薬
しかし、質の良い卵子と元気の良い良好な精子が多数あり、受精し受精卵から良好胚となっても、着床しないケースもあります。体外受精や顕微授精で良好な胚を何度も移植しても妊娠に至らないといった方は、子宮環境やホルモンの状態に問題があると思われます。
例えば、子宮内膜が薄かったり、母体の子宮内に子宮筋腫や、子宮内膜症、子宮腺筋症などがある場合です。子宮内膜はふかふかのお布団のように、厚くて柔らかく、でこぼこしていないことがたいせつです。
また、また免疫系の異常、例えば抗リン脂質抗体症候群、Th1/Th2比高値、甲状腺機能などの異常により、着床できなかったり、着床しても妊娠継続できず、流産してしまう場合もあります。
漢方薬を服用することで、着床に至らない理由を解決し、着床率を上げていく方法をご紹介します。
2.着床率をあげる漢方の考え方「気・血・水」と「肝・心・脾・肺・腎」
東洋医学では、身体の構成要素を 「気」「血」「水」に分けて考えます。
◆「気」は 体の生命エネルギー の ようなもの
気の作用は身体を温めたり(温煦)ウイルスなどから守ったり(防御)粘膜や皮膚から汗や血液が漏れ出る事を防ぐ(固摂)働きがあります。また血液やリンパの流れ(推動)を調整しています。
気の不足した状態を「気虚」と言います。気虚になると、免疫力が低下し、疲れやすくなったり、細菌感染などにかかりやすくなります。また身体を温める機能の低下から冷えを生じたり、固摂作用の低下から出血傾向となり、流産しやすくなります。
ストレスがかかると「気滞」になります。イライラして交感神経が優位と血管が収縮します。
それにより、着床に不利にはたらきます。
◆「血」は身体を滋潤したり 栄養素を運んだり、 ホルモンのバランスに影響
「血」の流れが悪い状態を「お血」と言い、「お血」は血流の悪化から、血液の粘稠度が増大し、凝固の亢進、血栓、癒着、繊維化、などの病態が発生し、卵巣嚢腫、子宮腺筋症や子宮内膜症、子宮筋腫、卵管閉塞などの原因となります。「お血」による子宮筋腫や子宮内膜症は着床を妨げる要因となります。また卵管閉塞は精子や受精卵の通過障害となり、自然妊娠の妨げとなります。
◆「水」は 血液以外の液体を表す
「水」が滞った状態を「水滞」や「痰湿」といいます。水が身体の中で停滞してしまう事で、むくみやすくなり、身体が冷えやすくなります。身体の冷えは、着床に不利に働きます。また水滞になると子宮内膜もむくみやすくなり、着床の妨げとなります。
また中医学では身体の機能を肝・心・脾・肺・腎 の五臓に分類します。
生殖機能は五臓の中では「腎」に含まれ、生殖機能の低下は、「腎虚」と考えられます。
腎虚は卵巣機能の低下や、黄体機能の低下を引き起こします。
「気虚」「血虚」「お血」「腎虚」などを証といい、その方の体質を表します。
「気虚」の改善には「補気剤」
「お血」の改善には「活血剤」
「腎虚」の改善には「補腎剤」
といったように、これらの証によって、改善の為の漢方薬が決まってきます。
◇例えば、卵子と精子は問題ないが、子宮内膜症や子宮筋腫があり、着床しづらい方は、「お血」があると考えられ、活血剤を中心とした漢方薬が有効となります。
◇子宮内膜が厚くならず、妊娠に至らないという方は「血虚」があると考えられ、補血剤が効果があります。
◇卵巣機能低下があり、卵子を良くしたいという方は「腎虚」を改善する補腎剤が有効です。
このように、なぜ妊娠に至らないかは人によって様々ですので、それを見極めるために、詳しく体質や体調を聞き、適切な漢方薬を服用することが大切です。
3.着床率をあげることが期待できる漢方薬
帰脾湯(きひとう)
補血剤と補気剤からできており血液を補い、疲れや、だるさに効果がある。気持ちをリラックスさせる働きもある為、妊活によるストレスにも効果がある。
温経湯(うんけいとう)
散寒剤、活血剤から構成されているため、冷えや血流改善に効果がある。
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
排卵障害や、多嚢胞性卵巣などで、月経周期が長く、冷えなどの機能低下がある方に効果がある。
腎馬補腎丸(じんばほじんがん)
鹿茸などの動物生薬が配合されている補腎剤。冷えがあり、卵巣機能低下や男性不妊、黄体機能低下の方に効果がある。
これらの漢方薬を服用される方の状況にあわせ、組み合わせて服用いただく事もあります。
服用される場合は、専門の薬剤師にご相談ください。
4.着床率をあげるためにできること(生活習慣)
ストレッチやヨガ、ウォーキングなどの適度な運動は血流改善になるため、習慣化しましょう。
食事は動物性たんぱく質を多くとり、ビタミンやミネラルの補給の為、野菜も適度にとりましょう。
糖質に偏った食事は、たんぱく質やビタミンミネラル不足になる為、ひかえましょう。
良質な睡眠は良い卵子や精子を作ることに必須です。早寝早起きを習慣にしましょう。身体を冷やすような、食べ物や飲み物はひかえましょう。
ストレスがかかると交感神経が優位となり、血管が収縮し、着床に不利に働きます。できるだけリラックスできる環境を作りましょう。
5.妊娠にいたった、着床率があがった改善事例
40歳妊娠希望でご相談
体外受精で採卵を8回、移植を6回されていましたが、妊娠に至らず。
AMH0.7と卵巣機能が低く、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症があり、生理痛もひどい。
卵巣機能改善の為に補腎剤、子宮環境改善の為に活血剤を服用いただいた。
漢方薬服用開始から3か月後に採卵し、3個凍結。
さらにその3か月後、凍結胚を移植。
移植の時は、補血剤や補腎剤を服用した。
妊娠し、現在は安定期に入っている。
考察:低AMHから卵巣機能改善を目的とした、補腎剤と、子宮筋腫や子宮腺筋症がある事から、子宮環境改善の活血剤を服用いただき、良好胚が凍結できました。移植の時は、子宮をふかふかのお布団のような環境にするため補血剤などを服用いただき、妊娠されました。
卵巣機能と、子宮環境を改善することで妊娠しました。
41歳妊娠希望でご相談
採卵7回、胚移植8回、2度流産
不育症の検査で、Th1/Th2高値、抗リン脂質抗体症候群と診断されAMH0.5と卵巣機能低下のご相談。
補腎剤を中心に服用いただいた。
漢方薬服用開始から6か月後に採卵。1個凍結、さらに6か月後に1個凍結。
2個移植して、妊娠された。妊娠中も漢方薬を服用いただき、元気な赤ちゃんをご出産。
考察:卵巣機能低下と不育症の診断を受けた方でした。採卵までは卵巣機能を上げる目的の漢方薬を服用いただき、移植前からは、免疫調整を目的にした漢方薬を、服用いただきました。漢方薬服用前は、8回の移植をし、2回の流産の経験のある方でしたが、漢方薬を服用し、元気な赤ちゃんを無事に御出産され良かったです。
7.まとめ 着床率をあげる相談ならなごみ堂
妊娠に至らない要因は人それぞれです。卵子の問題や、精子の問題、卵管や、子宮筋腫、子宮内膜症、免疫系、凝固因子など・・・
それが複雑に組み合わさっている方もいらっしゃいます。
なごみ堂では、それぞれのご夫婦の妊娠に至らない要因を見極める為に、月経周期や、生理痛のあるなし、オリモノの状態、子宮筋腫や内膜症などの有無、冷えや、睡眠状況、イライラや不安感といった、精神状態などをお聞きします。また病院で治療や検査をされている方は、検査結果や治療経緯などを詳しくお伺いします。そしてそれぞれのご夫婦に適した漢方薬を服用して頂きます。
お話をうかがう事で、妊娠できない要因を明確にすることができ、妊娠への道筋が見えてきます。話をしていただく事で、身体だけでなく気持ちも前向きになります。
不妊治療や妊活は、孤独な戦いになりがちです。うまく治療が進まない時や、良い結果が出ない時、他の方の経験談を聞いたり、悩みを共有できる相談場所があると、気持ちが楽になったり、リセットでき、不妊治療成功につながります。
なごみ堂は漢方薬を処方させて頂くだけでなく、ご夫婦と共に不妊治療や妊活を成功させるためのチームのような存在でありたいと思います。
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