14Jul
不安感を覚えるのは誰にでもあることですが、不安になる要因がないのに不安が止まらなかったり、日常生活に支障をきたすほどの不安が続く場合、それは「不安神経症」かもしれません。
・夜になると不安が強まる
・狭い場所にいると動悸がする
・胸の圧迫感、息苦しさ、倦怠感がある
・やる気が出ず、精神的にも疲れきっている
こうした症状は、心の問題というより身体のバランスの乱れによって起きている可能性があります。
東洋医学では、こうした状態を「肝気鬱血」「心脾両虚」「気滞」と捉え、体の内側から整えていくことで不安感の改善を図ります。この記事では、不安感の原因と漢方薬による改善方法、実際の体験談、生活習慣の工夫まで詳しく解説します。
1.止まらない「不安感」を漢方薬で改善
不安に感じることは誰にでもある事ですが、不安に感じる要因が無い状況でも、過度に不安感を感じる場合は不安神経症と考えられます。
◆漠然とした不安感や焦燥感がある。
◆災害など悪いことがおきてしまうんではないか、といつも考えてしまう、
◆病気にかかってしまうのではと不安になり、過剰に心配してしまう。
◆夜が不安で一人でいることに不安を感じる。
◆飛行機、エレベーターなど狭い場所にいると不安を感じる。
◆不安感と共に、動悸や息切れ、胸が圧迫される感じがする。
◆精神的疲れと共に、疲労感や、倦怠感、やる気が出ないといった症状がある。
これらの症状が長く続き、日常生活にも支障をきたすようであれば、何らかの対策が必要です。
東洋医学では
「肝気鬱血」や「心脾両虚」「気滞」の状態になると、不安感や焦燥感、憂鬱感などを感じるようになると考えます。
2.不安感の原因とは?漢方薬の視点から解説
※身体の機能を(肝・心・脾・肺・腎)に分けます。
「肝」は「疏泄を主る」とされ、精神、情緒をのびやかに保つ働きがあり、
肝の疏泄が停滞した状態を「肝気鬱血」と言い、情緒が安定せず、不安感や抑うつ感などが生じやすくなります。
また「心」は精神、意識などの精神意識活動であり、
心血が消耗された「心脾両虚」の状態になると、不安感や、焦燥感、不眠や動悸、思考力の低下などの症状が出てきます。

※また中医学では身体の構成要素を、(気・血・水)に分けて考えます。

「気」が滞ると身体の機能が低下し、自律神経の失調や消化機能や呼吸器系の異常がおこり、不安感や、悪心嘔吐、胸苦しい感じや、動悸といった症状が出てきます。
3.不安感に使われる代表的な漢方薬
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
「肝気鬱血」に対しての処方。不安・焦り・イライラ・動悸を伴う自律神経の乱れタイプに効果が期待できます。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
イライラ・抑うつ感・更年期や生理前の不安に効果が期待できます。
抑肝散(よくかんさん)
神経過敏・怒りっぽい・不安感が強い方におすすめしています。子供の夜泣きにも使われます。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
喉のつかえ感・胃腸の不調とともに感じる不安感に効果が期待できます。
帰脾湯(きひとう)
心と脾を補い、不眠・夢見がち・疲労・不安を伴う場合に効果が期待できます。
天王補心丹(てんのうほしんたん)
虚弱で慢性的な不安感・動悸・不眠がある方におすすめしています。
これらの処方を組み合わせて服用いただく場合もあります。
※服用の際には漢方専門の薬剤師にご相談ください。

4.漢方薬で不安感が改善した体験談
42歳(男性)
半年前ぐらいから、漠然とした不安感を感じるようになった。
胸を棒で押されているような、つかえた感じがする。そわそわしてじっとしていられない。
吐き気を感じるときもあり、食欲がない。
仕事のストレスが続いているのが原因と思われる。
漢方薬を服用開始から一か月で不安感や焦燥感、動悸などは治まってきた。食欲も以前より出てきた。漢方薬服用から2か月で、以前とほぼ変わらない精神状態になった。
78歳(女性)
3年前にご主人がなくなり、その後しばらくして、夜眠れなくなった。不安感も感じるようになり、動悸や頭のふらつき、最近は思考力の低下などを感じるようになり、このままでは良くないと思い、ご相談に来られた。食欲も気力も無く家事もままならないとの事。お子さんたちには迷惑をかけたくないので、以前のような体調に戻したいとの事。
漢方薬を服用開始して一か月で、以前より眠れるようになった。それと共に不安感や、焦燥感も減ってきた。食欲も出て、外出しようという気力も出てきた。家事も以前のようにこなせるようになった。
5.不安感を和らげる生活習慣
ストレスケアの工夫
呼吸法、瞑想、アロマなど、自分に合ったストレスケアの方法を生活にとり入れる。ストレスの原因がはっきりしている場合は、その場所から離れることも大切です。職場や学校などであれば、お休み期間をとるようしましょう。
食事の見直し
ビタミンB群、鉄分、良質なタンパク質を積極的にとる。食欲がない時は無理せず食べやすいのど越しの良いものを食べる。
冷えを防ぐ
温活で自律神経の安定を図る。湯船につかり、リラックスできる環境を作る。
適度な運動
ヨガや外でのウォーキングは気持ちをリフレッシュでき、気のめぐりが良くなります。
睡眠環境を整える
早い時間に布団に入るようにし、夜間はなるべくスマホは見ないようにしましょう。遅く寝ても朝は決まった時間に起きるようにして、体内リズムを整えましょう。

6.漢方の注意点とおすすめの相談先
「不安感」とひとことで言っても、どんな時に不安になるか、不安感以外に、不眠や動悸、イライラなどがあるか、また胃腸症状の胸のつかえや、吐き気、息苦しいなど、症状は様々です。漢方薬を効果的に服用するには、自分の症状や体質に合った漢方薬を服用することが大切です。
漢方薬を服用する場合は専門の漢方薬局で詳しく症状と体質を伝えて、自分に適した漢方薬を服用しましょう。
7.まとめ
「不安感」という症状は、気持ちの問題ではなく、身体の機能異常です。症状が長期続くようであれば、気の持ちようで解決できるものではないので、何らかの対処が必要です。
漢方薬は自然由来の生薬からできており、副作用が心配な方も安心して長期服用できます。
またすでに病院に通っていて、薬が処方されており、いずれはその薬をやめたいという希望の方もいらっしゃると思います。最初は病院の薬と併用しながら徐々に漢方薬だけにしていく事も可能です。お悩みを相談していただくことで解決へとサポートしていくことができます。
漢方薬は、毎日自宅で服用することで、症状の改善ができます。
一人で悩まずお気軽にご相談ください。
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